工数とは?意味・計算方法・単位・管理のポイントなどについて解説

「工数」は、システム開発業界や製造業界などの幅広い分野で、作業人数と作業時間を管理する指標として用いられています。

しかし「工数」とは何か、なぜ重要なのかについて、今ひとつよくわからないという方もいらっしゃるでしょう。

そこで本記事では、工数の意味について基礎からわかりやすく解説します。工数が重要な理由や、単位・計算方法・管理のポイントまで理解できますので、ぜひ参考にしてください。


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工数とは

まずは工数とは何かについて解説します。工数の概要・単位・重要性・計算方法といった基礎知識について理解するところから始めましょう。

工数とは作業完了のために必要な人数と時間

工数とは、プロジェクトを完了するまでに必要となる「人数」と「時間」を表す指標のことです。

工数を把握することは、利益を確保するため、そしてスケジュール通りに作業を進めるためにとても重要なことです。そのためシステム開発業界や製造業界などの業界で、作業量を示す指標として用いられています。

工数管理はプロジェクトの成否に直結する

工数管理とは、文字どおり工数を管理すること。工数管理はマネジメント業務の基本であり、重要なスキルでもあります。

適切な工数管理を行ってプロジェクトを成功に導くためには、正確な計算に基づく工数の見積もりが大切です。人件費の削除につながるからといって、無理に工数を低く見積もれば、計画どおりに作業は進められません。

そうなれば、プロジェクトが計画通りに完了できないだけでなく、コストが増加したり、クライアントからの信頼を損ねたりなど、企業の損失につながる可能性が高いでしょう。

▼工数管理とは何か?必要な理由や手順については下記記事を参考にしてください

▼工数管理のやり方については下記記事を参考にしてください

工数管理の単位

工数管理では、下記のような単位が使用されます。

  • 人時
  • 人日
  • 人月

人時は「チームメンバー1人が1時間でこなせる作業量」を表す単位です。人時は英語で「Man hour」、MHという統一した単位で表します。「人時生産性」という言葉で、個々人のパフォーマンスを比較する際にも用いられます。

人日は「チームメンバー1人が1日でこなせる作業量」を表す単位です。人日は英語で「Man day」、MDというという統一した単位で表します。人日で計算をする場合には1日分の作業時間を何時間とするか、事前に定めておきましょう。

人月は「チームメンバー1人が1ヶ月でこなせる作業量」を表す単位です。人月は英語で「Man month」、MMという統一した単位で表します。作業完了までに数ヶ月を要する、比較的中〜大規模のプロジェクトで用いられます。

▼それぞれの言葉の意味や使い方は下記記事を参考にしてください

工数の計算方法

工数は「工数 = 作業時間 ✕ 作業人数」といった式で計算します。仮に工数が20人月で5ヶ月の作業時間であれば、作業人数は4人になります。

それでは仮に、プロジェクトが完了するまでに20人月かかる見積もりで、納期が2ヶ月だった場合には、必要なメンバーは何人となるでしょうか。

この場合は「工数 ÷ 作業期間 = 作業人数」といった式で計算します。そのため、必要なメンバーは10人であることがわかります。

工数管理はなぜ必要なのか

工数管理は、利益の確保・プロジェクトの進捗把握・クライアントやチームメンバーからの信頼担保のためにとても重要な取り組みです。

工数管理は利益の確保につながる

工数管理によってプロジェクト全体を可視化することで、企業の利益確保につながります。

プロジェクトにかかるコストが請求金額を上回れば、当然ですがそのプロジェクトの収支は赤字になります。正確性に欠ける工数管理によって、納期の遅れが発生すれば、さらにコストは増加するでしょう。

また、作業量に対して過剰な人員を配置してしまうことで、人件費が増え、利益を圧迫してしまう可能性もあります。

工数管理を適切に行うことで、人員配置の不備による過剰な人件費の発生を防げます。仮に余計なコストがかかっていた場合でも、すぐに特定して改善に取り組むことが可能です。

▼工数管理を行い、請求金額を見直して売上20%アップを実現した事例は、下記の記事からご確認ください

プロジェクトや作業の進捗を把握できる

工数管理を行うことで、プロジェクトの責任者は進捗状況をひと目で把握することができます。

複数のプロジェクトが並行している場合には、それぞれのプロジェクトの正確な把握が難しくなりがちです。

工数管理を行うことで、それぞれの進捗状況をスムーズに把握できるため、特定のメンバーにかかる負担を削減したり、プロジェクトの遅延を防ぐことが可能です。

正確な見積もりにより信頼が得られる

工数管理によって正確な見積もりができれば、結果としてクライアントやチームメンバーからの信頼を得られます。

チームの生産性や状況を把握していない見積もりは、プロジェクトが失敗する原因の1つです。仮に納期の遅延が発生すれば、クライアントからの信頼を損なう原因となります。

そして正確性にかける見積もりによって、タスクがスケジュール通りに進まず、先の見えないプロジェクトになれば、チームメンバーからの信頼も失ってしまいます。チームのモチベーションが下がり、生産性の低下につながる場合もあるでしょう。

適切な見積もりを行うためには、日頃からの工数管理が重要です。

▼工数管理の重要性については、下記の記事も参考にしてください

工数管理を行う方法

工数管理には、エクセルで行う方法と、ITツールを活用する方法があります。それぞれの特徴について解説します。

エクセルで行う

工数管理は、エクセルやスプレッドシートで行えます。別途ツールを導入する必要がないため、導入のハードルが低い点が特徴です。

ただし、エクセルの場合は複数人が同時に操作できない点がデメリットです。また、複雑な関数を使用している場合、特定のメンバーしかメンテナンスができないといった課題が挙げられます。

工数データを逐一集計し、分析するのは手間と時間がかかるため、大規模な組織やプロジェクトには向いていません。小規模なチームや、とりあえず工数管理をやってみたいという場合におすすめです。

▼エクセルで工数管理を行う方法については、下記の記事を参考にしてください

ITツールで行う

ITツールを効果的に活用することで、工数入力や集計にかかる負担を抑えることができます。

ITツールを導入する際には、下記のポイントに注意をして選びましょう。

  • 工数の集計・管理が簡単
  • 外部ツールとの連携が可能
  • 無料トライアルができる

工数管理ツールTimeCrowdでは、「誰が・どの業務に・どれくらい時間をかけているのか」を可視化できます。

TimeCrowdトップページ画像

タスクの開始時と終了時にワンクリックで打刻をすることで、タスクごとの所要時間を簡単に記録することができます。ブラウザ・アプリ・Chrome拡張機能から操作ができるほか、Google カレンダー やOutlook カレンダーと連携することで自動で打刻を行えます。

また、管理者はわざわざデータを集計・加工することなく、レポート画面からリアルタイムで確認ができます。

▼(例)TimeCrowdのレポート画面

Trello・Asana・Salesforceなどの他社サービスとの連携も可能です。Slackと連携して作業履歴を追加したりなど、貴社の業務フローに合わせたカスタマイズができます。

少しでもご興味のある方は、下記のサービス資料から詳細な機能や料金プランをご確認ください。

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また、2週間の無料トライアルをご用意しているため、操作性が気になる方は下記のフォームからお申し込みください。

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▼おすすめの工数管理ツール・アプリについては、あわせて下記の記事も参考にしてください

工数見積の方法

工数見積を行う際には、下記3つの方法があります。

  • 類推法
  • 係数法(パラメトリック法)
  • ボトムアップ法
  • 3点見積り法

類推法

類推法とは、過去の類似プロジェクトから類推して工数見積を行う方法です。

過去の実データに基づいて類推を行うため、現実的な見積もりが可能です。

ただし、実データがなければ工数を見積もることができません。そのため、日頃から工数管理ツールを活用して、タスクごとの所要時間を記録しておくことが重要です。

係数法(パラメトリック法)

係数法(パラメトリック法)とは、係数モデルを使用して工数見積を行う方法です。

システム開発では、COCOMOやCOCOMO Ⅱ、FP法といった係数モデルを使用します。

  • COCOMO、COCOMO Ⅱ:方程式によって工数を見積もる手法。ソースコードの行数、開発期間などを方程式に当てはめて計算する
  • FP法:ユーザーが使う機能(ファンクション)に点数(ポイント)をつけて工数を見積もる手法

ボトムアップ法

ボトムアップ法とは、プロジェクトに必要な作業やタスクを明確にしてから工数を洗い出す方法です。

実際の作業内容をもとに工数見積を行うため、より正確な見積もりができますが、タスクの洗い出しに時間を要します。また、不確定要素が多いプロジェクトには不向きな手法だといえます。

3点見積り法

3点見積り法とは、最頻値・楽観値・悲観値といった3つの値を作業ごとに設定し、工数を計算する方法です。

  • 最頻値:最も現実的であると想定される値
  • 楽観値:問題なくスムーズに進んだ場合の値
  • 悲観値:最も遅延している、最悪の場合の値

上記の値を下記の方程式に当てはめます。

  • (楽観値+最頻値×4+悲観値)÷ 6

▼工数見積の方法については、下記の記事を参考にしてください

工数管理・工数見積のポイント

工数管理や工数見積を行う際のポイントについて解説します。

事前にヒアリングを行う

見切り発車でプロジェクトをスタートさせるのではなく、必要となるタスク・人数・稼働時間を正しく見積もってからスタートさせましょう。

たとえばシステム開発の現場では、クライアント側も見積もりの段階で最終的なゴールを描けていないケースもあります。まずはヒアリングを行い、クライアントの要求や要件を実現可能な内容に落とし込みましょう。

しっかりとヒアリングを行い、チームの状況を加味したうえで提案を行うことで、工数見積の精度が向上します。

チームメンバーのスキルとキャパシティを見極める

工数管理を行う際には、チームメンバーのスキルやキャパシティを見極めましょう。

チームメンバーのスキルによって、1日の作業量は異なります。また、それぞれの作業に向き不向きもあるでしょう。

そのようなスキルや特性の違いを考慮したうえで、人員配置を行い、進捗をチェックします。必要に応じて調整を行うことで、プロジェクトをスムーズに進められるでしょう。

スケジュールにバッファを設ける

スケジュールにバッファを設けることで、余裕を持って工数管理を行えます。

余裕のないスケジュールのままでは、想定外のトラブルが発生した際に一気に計画が崩れてしまいます。メンバー個人の業務負荷で解消するか、スケジュールを後ろ倒しにするかしか解決策がなく、周囲からの信頼を失ってしまう恐れもあるでしょう。

そのため、事前にトラブルが起こることを想定したうえで、スケジュールに余裕を持って計画しておくことをおすすめします。

▼プロジェクトのスケジュール管理については下記の記事を参考にしてください

工数管理の企業事例

工数管理を行い、業務改善に活かした企業事例をご紹介します。

メンバーの稼働を把握して、時間の使い方を見直した企業事例

Webマーケティングやサイト制作、システム開発などを行っているヴァンテージIT株式会社では、従来まで日報でメンバーの工数管理を行っていましたが、データの正確さや入力のしやすさを高めるため、工数管理ツールTimeCrowdの導入を決めました。

その結果、時間の使い方が可視化されたことで、メリハリをつけて業務に取り組めるようになったようです。また、業務上のボトルネックを特定して業務改善にも役立てられています。

▼ヴァンテージIT株式会社の企業事例は下記の記事からご確認ください

工数データを収集して、業務改善のボトルネックを特定した企業事例

インターネット事業を手掛けるGMOペパボ株式会社では、従来までメンバーの工数をスプレッドシートで管理していました。しかし、データの集計や加工、分析に手間がかかっていたことから、集計したデータを自動でグラフ化できるTimeCrowdでの工数管理に切り替えました。

▼(例)TimeCrowdのレポート画面

同社では、管理業務に関する負担を大幅に削減できたほか、集計した時間データを分析して業務改善に活用されています。

▼GMOペパボ株式会社の企業事例は下記の記事からご確認ください

工数管理を行い、人員配置や業務改善に取り組んだ企業事例

ビジネスチャットツール「Chatwork」を提供している株式会社kubell(旧Chatwork株式会社)では、従来までWBSとスプレッドシートを活用した工数管理に取り組んでいました。しかし、社内での定着が難しかったという背景から、TimeCrowdでの工数管理に切り替えました。

シンプルな操作性でタスクごとの所要時間を記録できるため、作業時間を簡単かつ正確に把握することができるようになったようです。また、集計したデータを分析し、人員配置や業務の改善に活用されています。

▼株式会社kubell(旧Chatwork株式会社)の企業事例は下記の記事からご確認ください

最適な工数管理でプロジェクトを成功に導こう

工数管理は、マネジメントの基本であり、ビジネスパーソンにとって重要なスキルのひとつです。プロジェクトの成功や利益の確保、信頼の確保には欠かせない取り組みだといえます。

工数管理はエクセルでも取り組めますが、工数入力や集計に時間がかかるため、中〜大規模の組織では専用のITツールの導入がおすすめです。

最適な工数管理を行い、プロジェクトを成功に導きましょう。

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