生産性向上や利益率向上の観点から、社内で工数管理を取り入れる企業様が増えてきました。なかでもシステム開発・Web制作・コンサルティング業界などでは、既に工数管理を導入されている企業様も多いのではないでしょうか。
そもそも工数とは、プロジェクトやタスクを終わらせるまでに必要な「時間」や「人数」などのことを意味します。工数管理は、スケジュールの予実確認やプロジェクトの損益計算のためには欠かせないものです。
本記事では工数管理について、その意味やメリット、具体的な導入方法についてご紹介いたします。
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目次
工数管理とは
工数管理とは、プロジェクトやタスクを終わらせるまでに必要な「時間」や「人数」などを管理する作業のことを指します。
1人が1ヶ月あたりに取り組める作業量を人月(にんげつ)という単位を用いて、作業工数を見積もる「人月計算」を行うのが一般的です。たとえば、1人あたり1ヶ月20日間の稼働日数があれば1人月は20日。つまりプロジェクト内に5人の担当者がいる場合には100人月と算出できます。
工数管理はスケジュールの予実確認やプロジェクトの損益計算のために、システム開発の分野でよく用いられてきた管理手法のひとつです。現在では生産性向上の観点から、プロジェクトマネジメントの一環としてさまざまな分野で活用されています。
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工数管理は意味がない?
「工数管理は意味がない」と唱える人もいるでしょう。たしかに「管理者に負担をかけてしまう」「管理すること自体が目的になってしまう」など、さまざまな問題点も抱えています。実際、管理する際には専任の担当者を置く必要がありますし、作業報告を頻繁に行ってもらうために現場担当者にも負担をかけてしまうことは事実です。
しかし、管理方法さえ工夫すれば負担は最小限に留められます。また、工数管理はこれらのデメリットを上回るメリットを企業にもたらします。
実際に、弊社(タイムクラウド株式会社)が行った調査によると、工数管理を行ったことで半数以上が「作業進捗の正確な把握」に効果を実感するなどのメリットを感じられています。
>>詳しい調査内容は下記記事をご確認ください
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工数管理のメリット
具体的に、工数管理がもたらすメリットについてご紹介いたします。
コストを正確に把握できる
工数管理を行えば「プロジェクトや作業ごとにかかった人件費」を把握できるため、赤字の原因をいち早く特定できるでしょう。
とくに原価の大半を人件費が占める制作会社・開発会社・士業などの現場ではプロジェクトごとの損益管理は経営上、重要な指標となります。赤字のプロジェクトを見直すだけで売上が大幅に増加するケースもあるため、非常に大きなメリットだと言えるでしょう。
▼プロジェクトごとのコストを見直して売上げがアップした事例はこちらからご確認ください
進捗状況を全体に共有できる
工数管理を行えばプロジェクトの進捗状況をひと目で確認できます。
管理表を部署や会社全体で共有すれば、プロジェクトの進捗状況を逐一担当者に確認する手間も省けるでしょう。また工数を可視化することで「誰がいつまでに対応するのか」が明確になります。作業納期が明確となるため、スケジュール意識の向上にも役立つはずです。
プロジェクトの成功確率を高められる
日頃から工数管理を行っていれば、プロジェクトの途中でもPDCAサイクルを回すことができます。
進捗状況が滞っている場合「人が足りないから」「担当者のスキルが足りないから」など、きちんと原因を特定したうえで早急に改善策を検討することが可能です。プロジェクトを成功させるためにもPDCAを回せることは非常に重要なことだと言えます。
工数管理のやり方
工数管理のやり方は主に2通りあります。
WBS
WBSとは「Work Breakdown Structure」の略称で、作業分解構造図のことを指します。プロジェクトに必要なタスクを細かく分類して、作業工程を構造化するものです。
たとえば「新製品を販売する」という目標がある場合「製造会社に依頼をする」「販売手段を策定する」などのタスクが洗い出せます。前者はさらに「依頼する製造会社を洗い出す」「各社と打ち合わせをする」などのタスクに分解できますし、後者はさらに「集客シュミレーションを算出する」「各チャネルごとに代理店に相談をする」など、細かなタスクに分解できるでしょう。
WBSを活用すれば、このように各工程で取り組むべきタスクが明確となるほか、作業の抜け漏れを防ぐことができます。
▼WBSの意味や作成するメリットについては下記記事もあわせて参考にしてみてください
ガントチャート
ガントチャートとは、プロジェクトの進捗状況を管理する表のことです。
WBSは細分化したタスクリストを指すのに対して、ガントチャートはそれをビジュアル的に可視化したグラフのことを指します。そのため、ガントチャートを作成するにはWBSの作成が必須です。分解された各タスクの右側に時間軸や進捗状況を記載します。
ひと目で進捗状況を確認できることから、プロジェクトマネジメントの効率化に役立つでしょう。
▼ガントチャートの意味や作成するメリットについては下記記事もあわせて参考にしてみてください
工数管理の導入方法
工数管理の具体的な導入方法についてご紹介いたします。
エクセルで管理する
一般的にはエクセルで管理することが多いでしょう。Microsoftの公式サイトからテンプレートをダウンロードできますので、ぜひ活用してみてください。
また、工数管理表を関係各者内で共有したい場合、セキュリティ的に問題がなければGoogle スプレッドシートの活用がおすすめです。こちらも「Google スプレッドシートのホーム画面上部>テンプレートギャラリー」からテンプレートを活用できます。
▼Excelで工数管理を行いたい場合は下記記事も参考にしてください
ITツールを導入する
「セキュリティ的にGoogle スプレッドシートは使えない」「できるだけ管理に工数をかけたくない」という場合にはITツールの導入がおすすめです。利用費用こそかかりますが、多機能で操作性が高く形骸化する心配がありません。
ツールを選ぶ際には下記3つのポイントを抑えておきましょう。
- 費用は予算内か
- 現場社員が使えそうか
- 無料トライアル期間はあるか
- 導入後のサポートは丁寧か(日本語で対応可能か)
工数管理におすすめのツール・システム
おすすめの工数管理ツールをご紹介いたします。
プロジェクト全般を管理したい場合
工数管理だけではなく進捗状況の確認やチャット機能など、ツールひとつで包括的にプロジェクト管理のできるツールがおすすめです。たとえば「backlog(株式会社ヌーラボ)」が代表例。主な機能は下記の通りです。
- 担当者や期日の設定
- 作業進捗の見える化
- テキストや絵文字を使ったチャット
- プロジェクトの課題共有
- SVNやGitを使ったソースコード管理
出典:backlog
「カンバンボード」「ガントチャート」「バーンダウンチャート」など、目的に応じて最適な手法でプロジェクト管理を実現できます。
Web制作会社やシステム開発会社のみならず、官公庁や金融機関などの厳重なセキュリティが求められる業種からも活用されています。最初の30日間は無料でトライアルできるので、興味のある方はぜひご検討ください。
工数管理に特化したい場合
工数管理だけに特化したシンプルなツールを導入したい場合「CrowdLog(株式会社クラウドワークス)」がおすすめです。
出典:CrowdLog
ドラッグ&ドロップで工数管理ができるため作業担当者に負担がかかりません。
また、Google CalendarやOutlookとの連携も可能なため、タスクの入力作業を効率化することもできます。プロジェクトの損益管理や空き工数なども瞬時に把握が可能。ビジュアル化されたグラフから、管理工数の負担も軽減されるでしょう。
労務管理も合わせて行いたい場合
従業員の労務管理も一緒に行いたい場合は、勤怠管理システムを搭載したツールがおすすめです。有名どころでは「TeamSpirit(株式会社チームスピリット)」が挙げられるでしょう。
出典:TeamSpirit
工数管理と勤怠管理を合わせることで、従業員の勤務状況を正確に把握することが可能です。
長時間労働が発覚した場合はアラートが表示されるなど、働き方改革の促進にも役立ちます。集計したデータは給与計算システムと連携できるため、労務管理の業務負担が大きく軽減されるでしょう。
▼勤怠管理システムを搭載した工数管理ツールは下記記事もご参照ください
その他|従業員の時間管理を行いたい場合
より正確に工数管理を行いたい場合は時間管理ツール「TimeCrowd(タイムクラウド株式会社)」がおすすめです。
出典:TimeCrowd
従業員の働き方を工数やタスクごとではなく、業務時間単位で確認することができます。社員ごとに人件費を設定すれば、各プロジェクトの人件費計算も可能です。
テレワークで「誰が・いつ・何をしているのか」が分からず困っている企業様に最適なツールです。従業員の働き方を「記録して見える化する」ことに特化したツールなので、操作がシンプルで形骸化する心配もありません。
法人向けプランは1人あたり月額880円からご利用いただけます。2週間の無料トライアル期間もありますので、ぜひご検討ください。
時間管理ツール「TimeCrowd」の資料をダウンロード▼TimeCrowdを導入して業務改善を実現した事例
工数管理を実施する際の注意点
工数管理を実施する際には下記3つの点に注意してください。
実施する目的を明確にする
まず最初に、工数管理を実施する目的を明確にしてください。ただ闇雲に取り組んでも、管理すること自体が目的となってしまいます。
「タスクの抜け漏れを防ぐため」「スケジュール管理を徹底するため」「各担当者に当事者意識を持たせるため」など、目的を明確にすれば、現場からも反感は買われずスムーズに導入ができるでしょう。
関わるメンバー全員が納得感を持って取り組めば、より意味のある工数管理を実現できます。
専任の管理者を置く
専任の管理者を置けば管理が形骸化するリスクを減らせるでしょう。
管理者となる人はこまめに工数管理表に目を通す必要があります。タスクスケジュールが予定よりも遅れている場合は担当者に確認もしなければなりません。
臆せず社内でコミュニケーションの取れる人材が管理者に適していると言えます。
▼工数管理を形骸化させない方法
現場視点を考慮する
ムリな工数設定は作業担当者の負担を大きくしてしまいます。必ず現場の実態に沿った工数管理を行いましょう。
とくに最近では、働き方改革の推進から時間外労働の上限規制が設けられています。時間外労働の上限は⽉45時間・年360時間で、原則として例外は認められません。
標準労働時間内の稼働で達成できることを前提に、工数管理を設定してください。
まとめ|工数管理に取り組みプロジェクトを成功に導こう
工数管理を行うことで「コストを正確に把握できる」「進捗状況を共有できる」「プロジェクトの成功確率を高められる」といったメリットがあります。社内で取り入れる際にはITツールの導入がおすすめです。多機能で操作性が高く形骸化する心配もないでしょう。
✓労務管理も合わせて行いたい
✓工数の管理に特化したい
✓労務管理も合わせて行いたい
など、貴社のニーズに合わせてツールの導入をご検討ください。
また、従業員の時間管理を行いたい場合は「TimeCrowd」の導入もおすすめです。テレワークでも「誰が・いつ・何をしているのか」を把握することができます。実際の稼働時間からプロジェクトごとの人件費計算も可能なので、工数管理ツールと合わせて導入をご検討ください。
時間管理ツール「TimeCrowd」の資料をダウンロード▼おすすめの工数管理ツールは下記記事で詳しくご紹介していますので、こちらもぜひ参考にしてください