失敗しない工数見積の手法やポイントを解説|おすすめのツールや企業事例も紹介

「プロジェクト前に工数を見積もっていたはずなのに、納期に遅延してしまう」

「受託案件で適正な金額を請求しているはずなのに、なぜか赤字になってしまう」

工数見積が不十分だったり抜け漏れがあったりすると、現実的なスケジュールを組むことができず、納期に遅れたり赤字になったりする恐れがあります。工数見積のポイントをおさえ、精度を高めることが重要です。

この記事では、工数見積について以下の内容を解説します。

  • 工数見積が失敗する原因
  • 工数見積の手法
  • 工数見積の精度を高めるポイント

ぜひ工数見積をする際の参考にしてみてください。

工数見積が失敗する原因

工数見積はプロジェクトをスムーズに遂行し、納期を遵守したり生産物の品質を維持したりするために必要です。プロジェクトのエラーを減らすことで労働環境が改善され、従業員の満足度や生産性の向上にもつながります。

しかし「工数を見積もったはずなのに途中で遅延やエラーが起きる」「いつも納期ギリギリになってしまう」ということは往々にして起こり得ます。

工数見積が以下の原因で誤っていたり不十分だったりすると、エラーが起こりやすくなります。

  • 未知の要素が多く、具体性に欠ける
  • クライアントとの要件定義やヒアリングが不足している
  • バッファを設けていない

工数見積が失敗してしまう原因について、1つずつ解説します。

未知の要素が多く、具体性に欠ける

工数見積を行う担当者にプロジェクトや技術に関する知識が足りないと、未知の要素が多くなり具体性を欠いた見積もりをしてしまう原因になります。

また、タスクを明確に細分化できていない場合も同様です。精度の高い工数見積ができなくなってしまいます。

これを解消するには、プロジェクトや技術・開発に関する知識や、工数見積のスキルを身につけることが必要です。

ただし、工数見積のスキルがあったとしても「前回と同じで大丈夫」と勘で見積もってしまうと失敗の原因になります。似たプロジェクトであれば前回と同じで問題ない部分もありますが、細部はプロジェクトによって異なるため、きちんと確認してから工数を見積もることが重要です。

クライアントとの要件定義やヒアリングが不足している

クライアントとの要件定義やヒアリングが不足した状態で工数見積をすると、イレギュラーが発生しやすくなります。

クライアントとの要件定義や認識合わせが不十分だと、途中で仕様が変更されたり、追加で開発を依頼されたりするなどイレギュラーな事態が発生しやすくなります。

要件定義やヒアリングをしっかり行ったうえで工数見積をし、出来上がったらクライアントと共有して認識を合わせることが重要です。やむを得ず追加開発や仕様変更がある場合は、その分納期が伸びることを伝えておく必要があります。

バッファを設けていない

バッファを設けず工数見積をした場合、イレギュラーな事態や遅延に対応できずプロジェクトが失敗する原因になります。

未知の要素がない状態で工数見積もりをするのが理想ですが、プロジェクト開始前は内容が明確に定まっていない部分もあります。未知の部分が途中で明らかになったり変更になったりしてもいいように、計画段階でバッファ(スケジュールやリソースの余裕)を設けておくことが重要です。

バッファを設けることで余裕を持たせた工数見積ができるので、トラブルやイレギュラー、遅延に対処しやすくなります。

工数見積の手法

工数見積に用いる手法には、主に以下の4つがあります。

  • 類推法
  • 係数法(パラメトリック法)
  • ボトムアップ法
  • 3点見積もり法

どの手法が最適かはプロジェクトによって異なります。状況やプロジェクトの種類によって、適切に使い分けることが重要です。

類推法

類推法は、過去の類似のプロジェクトから類推して工数を見積もる方法です。過去のデータをもとに工数を見積もるので、比較的容易に工数見積ができるメリットがあります。

TimeCrowdを利用すれば「プロジェクトごと(タスクごと)に・どの業務に・どれくらいの時間をかけたのか」というデータを集計できます。新たなプロジェクトを計画する際に、過去のプロジェクトの工数データを簡単に算出することが可能です。

TimeCrowdトップページ画像

プロジェクトメンバーがタスクの開始時・終了時にワンクリックで打刻をするだけで、リアルタイムでデータ集計ができるので、当初の工数見積と差が生じてもすぐに対処ができる点が特徴です。

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係数法(パラメトリック法)

係数法(パラメトリック法)とは、特定の係数モデルを使用して工数を見積もる方法です。

システム開発の場合は、COCOMOやCOCOMO Ⅱ、FP法といった係数を用います。

  • COCOMO/COCOMOⅡ
    COCOMO(constructive cost model)/COCOMOⅡは、ソースコードの行数で工数を見積もる方法です。開発の規模や工数、期間を方程式にあてはめて計算します。計算式は、開発の難易度やリスクによって異なります。
  • FP(ファンクションポイント)法
    FP法は、ユーザーが使う機能(ファンクション)を分類し、それぞれに点数(ポイント)をつけて工数見積をする方法です。開発難易度の高い機能であれば、その分点数が高くなり、工数が増える計算になります。
    FP法による工数見積は発注者にとってわかりやすく、認識のすり合わせがしやすいというメリットがあります。比較的高い精度で工数見積ができるという点もメリットですが、データが足りないと使えない手法であるという点がデメリットです。

ボトムアップ法

ボトムアップ法は作業を明確に細分化してから工数を見積もる方法で、WBS法とも呼ばれます。

タスクを全て洗い出してから工数を見積もるので、抜け漏れを防ぎやすくなるというメリットがあります。ただし、作成に時間がかかるという点がデメリットです。また、未確定要素が多い場合には使用できない方法です。

▼WBSについては、以下の記事で詳細を解説していますので、あわせてご参照ください。

3点見積もり法

3点見積もり法とは、作業ごとに3つの値(最頻値・楽観値・悲観値)を設定して工数を計算する手法です。

  • 最頻値:想定される最も現実的な値
  • 楽観値:全てが問題なく進んだ場合の値
  • 悲観値:最も遅延した、最悪の場合の値

上記の値を設定し、以下の計算式にあてはめて工数にかかる時間を算出します。

  • (楽観値+最頻値×4+悲観値)÷6

工数見積を失敗しないための5つのポイント

工数見積に失敗しないためには、以下の5点を重視して工数見積を行う必要があります。

  • WBSでタスクを細分化する
  • クリティカルパスを設定する
  • バッファを適切に設定する
  • レビューを行い認識をすり合わせる
  • ツールを活用する

工数見積のポイントについて、1つずつ解説します。

WBSでタスクを細分化する

1つ目のポイントは、WBSを作成してタスクを細分化することです。工数見積の精度を高めるには、タスクを細分化して正確に把握することが不可欠です。

タスクを細分化する際は、小規模プロジェクトなら数時間〜1日程度を目安に1つのタスクとして数えるのがおすすめです。大規模プロジェクトなら、数日〜1週間程度のタスクを1つの単位とするのが目安となります。

▼WBSの作成方法については以下の記事で詳細に解説しているので、あわせてご覧ください。

クリティカルパスを設定する

2つ目のポイントは、重要なタスクをクリティカルパスとして設定することです。

タスクの中で最も時間がかかり、遅延するとプロジェクト全体に影響を及ぼす工程をクリティカルパスとして設定します。そのうえでスケジュールやリソースに余裕をもたせながら工数見積をすると、イレギュラーにも対応しやすくなります。

バッファを適切に設定する

3つ目は、バッファを適切に設定することです。

バッファを設けずに工数見積をすると、トラブルやイレギュラー、遅延に対応できなくなります。プロジェクトには思わぬエラーがつきものなので、バッファを設定してスケジュールやリソースに余裕を持たせることが重要です。

ただしバッファが長すぎると納期が伸びすぎる、コストがかかりすぎるなどのデメリットがあるので適切な長さで設定する必要があります。

バッファの設定方法には、主に以下の2つの手法があります。

  • PERT法
    →タスク同士の依存関係を明らかにして期間を見積もる方法
  • 不確実性コーン
    →プロジェクトが進むにつれて予想と現実の誤差が縮まっていくことを前提として、バッファを算出する方法

レビューを行い認識をすり合わせる

4つ目のポイントは工数見積をした後チームメンバーとレビューを行い、認識をすり合わせることです。

1人だけで工数見積を行うと、誤差があっても気づかないことがあります。メンバーとレビューを行い、見積が現実的かどうかを協議することで、工数見積の精度を高められます。

また、クライアントとも協議して開発内容やスケジュールの合意をとることも重要です。変更や追加が発生した場合は、納期が伸びることをきちんと伝えておく必要があります。

ツールを活用する

5つ目のポイントは工数見積の精度を高めるために、ツールを活用してタスクの所要時間を把握しておくことです。

タスクの所要時間把握にはTimeCrowdがおすすめです。シンプルな操作性でタスクごとの所要時間を集計できるほか、CSVでダウンロードできるのでプロジェクト終了後の分析にも役立ちます。

特にWeb制作やシステム開発といったプロジェクト型の現場では、類似案件の計測データを参考にすることでおおよその工数を見積もることができます。TimeCrowdで所要時間を集計しておくことで、データを蓄積できるという点がメリットです。

工数見積の精度を高めることで、クライアントに対して適切な請求や見積ができるようになります。

TimeCrowdを業務改善や売上向上に役立てた事例を、2つ紹介します。

【SORA株式会社様の事例】

TimeCrowdを利用して工数を可視化し、請求金額に反映させたことで売上が20%アップした事例です。

工数を可視化することで見積もりと実態との乖離を減らせるので、請求金額の適正化につながります。また、業務時間の記録を残すことで、請求金額の内訳を明示できるという点もメリットです。

【株式会社CloudQ様の事例】

TimeCrowdを活用して収支管理と業務時間の可視化を行ったことで、開発効率が15%上昇した事例です。

収支計算や業務時間の可視化を行うことで具体的な改善点が把握でき、会社全体の開発効率アップにつながりました。

まとめ:工数見積にはTimeCrowdがおすすめ

工数見積の精度を高めるためには、タスクを細分化し、各タスクにどれくらい時間がかかるのかを把握しておく必要があります。

タスクの所要時間の把握にはTimeCrowdがおすすめです。タスクの開始時と終了時に打刻をするだけのシンプルな操作性で所要時間を集計し、ログを残すことができます。収支計算に役立てられるので、赤字になっているプロジェクトを特定して改善につなげることが可能です。

TimeCrowdは3,500社以上の導入実績をもとに、導入・運用サポートを行っています。お客様のビジネスモデルや業務フローに適した運用を提案させていただきますので、詳細が気になる方は下記資料をご確認ください。

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