本記事では「プロジェクト管理とは何か」について解説いたします。
管理をする目的や具体的な手法についても解説いたしますので、これからプロジェクト管理に取り組まれる方はぜひ参考にしてみてください。
目次
プロジェクト管理とは
プロジェクト管理とは、プロジェクトを成功させるために必要な「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」などのリソースを適切に管理することを意味します。
プロジェクト管理では「より品質の高いモノ・サービスを期日どおりに完了させる」ことが最終的な目標になります。
そのためには企業のリソースである「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」を活用して、予算や納期などの要件をクリアする必要があります。
また、プロジェクト通じて得られる利益を最大化するために、各プロセスにおける無駄をなくしつつ、業務を改善していく過程も必要となるでしょう。計画が遅れるようであればタスクを見直したり、挽回策を練り直したりして期日内に完了できるように管理をしていきます。
プロジェクト管理の要素について
プロジェクト管理では、上述のとおりにヒト・モノ・カネ・情報を管理することが重要です。さまざまな側面での管理が必要になりますが、プロジェクト管理に関するノウハウが体系的にまとめられた「PMBOK（Project Management Body of Knowledge）」では、具体的に下記のような管理が必要だと述べられています。
- 統合管理
他の知識エリアをとりまとめ、プロジェクト全体を統一するための管理 - コスト管理
プロジェクトを予算の範囲内で完了させるための管理 - 調達管理
必要となる資材・・サービスなどを外部から調達するときの引き合いから、プロジェクト完了までの管理 - リスク管理
プロジェクト中のトラブルの予測や対策を立てる管理 - スコープ管理
プロジェクトの目標に対し必要な作業内容や成果物を決めておく管理 - 資源管理
プロジェクトで必要な資源の洗い出しや調達をする一連の流れを管理 - コミュニケーション管理
メンバー間における情報ニーズが円滑に行われていることを管理 - スケジュール管理
プロジェクトを所定の時期までに完了するように各プロセスの進捗を管理 - 品質管理
プロジェクトの工程や成果物の品質を管理 - ステークホルダー管理
プロジェクトメンバーや顧客、関係者間での情報伝達の管理
▼プロジェクト管理に必要な項目については、下記記事で詳細を解説していますのであわせて参考にしてください
▼また、PMBOKの概要や活用方法は下記記事で解説していますのであわせて参考にしてください
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プロジェクト管理を行うメリット
プロジェクト管理を行う大きなメリットは、QCD（品質・コスト・納期）の可視化ができることです。プロジェクト管理を行うおもなメリットについて、以下で解説します。
プロジェクトの品質を担保できる
プロジェクト管理を適切に行うことで、成果物の品質を担保することができます。プロジェクトのプロセスやタスクを把握することで、品質に対して「誰が責任を担っているのか」が明確になります。
また、プロジェクト管理の一環として成果物の品質をチェックするタイミングも管理できるため、納品する前に問題に対するケアを行うことができるでしょう。
プロジェクトの利益を最大化できる
プロジェクト管理を行うことで、コストを可視化できるため、利益の最大化につなげられることも大きなメリットです。プロジェクトを通じて得られる売上に対して、かかるコストが少なくなれば、当然ですが得られる利益は大きくなります。
コストにはさまざまな種類がありますが、一般的に比率が大きいのは外注費や人件費です。プロジェクト管理のなかでチームメンバーの稼働状況や予算管理を行うことで「想定以上の費用が発生していないか」を確認することができます。プロジェクトの規模が大きくなれなるほど外注費・人件費はかかるため、事業やプロジェクトごとの収支状況を正確に把握するためには欠かせない取り組みだといえます。
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期日までにプロジェクトを完了できる
プロジェクト管理を行うことで、しっかりと期日内にプロジェクトを完了できる可能性が高くなります。
プロジェクト管理を行う際には、プロジェクトのスケジュールやプロセスについて、チーム内で共通認識を持つために可視化をします。そして、それをもとにプロジェクトの進捗状況の管理や監視を行うため、期日内でプロジェクトを完了できる可能性も高まるでしょう。
プロジェクト管理を適切に行うことは、効率的なプロジェクトの進行にもつながるのです。
プロジェクト管理を進めるステップ
プロジェクト管理に取り組む際には、一般的に下記4つのフェーズで進めます。
- プロジェクトの目標を決定する
- プロジェクトの計画を立てる
- プロジェクトの管理と監視を行う
- プロジェクトの完了と振り返りを行う
プロジェクトの目標を決定する
プロジェクト管理を行う際には、必ず目標を決めておきましょう。達成しなければならない目標に対して、必要な作業内容や成果物を決めて、メンバー間で共通認識を持つことがプロジェクト管理においては重要になります。
プロジェクトの計画を立てる
プロジェクトの目標が決まったら、次は具体的な計画段階へと進みます。
まず、プロジェクトを進行するための大枠のスケジュールを決定します。そして、プロジェクトを完了させるために必要なタスクの洗い出しを行い、実行する優先度を決定し、タスクの完了までに必要となる時間の見積もりを行いましょう。タスクの洗い出しや管理を行う際は、WPS（Work Breakdown Structure）というフレームワークの利用が効果的です。
▼WBSについては下記記事で作成方法を解説していますので、あわせて参考にしてみてください
また、プロジェクトが複雑な場合や規模が大きい場合には、ロードマップの作成やプロジェクトスコープを明確にしておきましょう。プロジェクトスコープとはざっくり言うと、作業範囲を定義することです。
▼ロードマップについては下記記事で目的や作成方法を解説していますので、あわせて参考にしてみてください
プロジェクトスコープを定義する際には、まずステークホルダーでの話し合いの結果を踏まえ、成果物を得るために必要となるプロジェクトのプランやルールを決めます。そして、プロジェクトの要件を整理して、テキストにして整理をします。そのうえで、プロジェクトの作業範囲・要件・計画を明確に定義します。プロジェクトに対する共通認識を持つことで、管理もスムーズに行うことができるでしょう。
▼プロジェクトスケジュールを管理する方法については、下記記事で解説していますので参考にしてみてください
プロジェクトの管理と監視を行う
プロジェクトがスタートしたら「想定通りに進んでいるのか」を管理するために、定期的に確認をします。
どれだけ緻密にプロジェクトの計画を立てたとしても、進行してみると想定外の事象は発生するものです。もし当初の想定と乖離しているようであれば、計画の修正や配置の調整などを行うといった対処が必要です。
想定外の状態にいち早く気づくためには、プロジェクトの進捗をしっかりと把握しなければなりません。そのため、メンバーからの定期的な報告を求めたり、情報共有のミーティングを実施したりといったコミュニケーション環境を整えることがプロジェクト管理を行ううえでとても効果的です。
プロジェクトの完了と振り返りを行う
すべてのプロジェクトの計画が完了したら、より精度の高いプロジェクト管理を行うために振り返りを行いましょう。失敗や成功の要因を検証し、今後のプロジェクトの参考にできるようにレポートにまとめておきます。
振り返りには「KPT法」や「Star fish法」など、さまざまな方法があります。
■KPT法
- Keep：プロジェクトで成果が出て今後継続すること
- Problem：プロジェクトで発生した課題
- Try：次回のプロジェクトで取り組むべきこと
■Star fish法
- Keep Doing：すでに実践しており、今後も継続すること
- More of：すでに実践しており、今後さらに注力していくこと
- Less of：実践しているがあまり効果が得られないこと
- Stop Doing：今すぐに辞めるべきこと
- Start Doing：次回から実践したいこと
このようなフレームワークを活用して、次回のプロジェクトに活かせそうな効果的な振り返りを行いましょう。
▼効果的なプロジェクトの振り返り方法は下記記事でご紹介していますので、あわせて参考にしてみてください
プロジェクト管理を円滑に行うポイント
プロジェクトを成功させるためには、円滑にプロジェクト管理を行う必要があります。ここからは、プロジェクト管理を円滑に行うポイントについて解説していきます。
方向性をチームで統一する
参加するメンバーが、プロジェクトの全体状況や自分たちが取り組むべきことを理解して、同じベクトルに向かって動くことが重要です。
目的や目標を理解することができないままプロジェクトを進めてしまうと、メンバー間での連携が取れず、プロジェクトが失敗する可能性があります。プロジェクトの途中で「このプロジェクトの目的や目標は何だったのか」を今一度、振り返ることも効果的です。
リアルタイムでの情報共有・コミュニケーション
プロジェクト管理において、リアルタイムでの情報共有やコミュニケーションは重要です。
とくに関係者の多いプロジェクトでは、初対面同士の人がいても珍しくありません。リアルタイムでの情報共有とコミュニケーションを行わないと、プロジェクトの工程でムダが発生してしまい、高い成果を得ることは難しくなることでしょう。
▼プロジェクト管理で活用できる情報共有ツールは下記記事を参考にしてみてください
自社に合ったツールを導入する
リアルタイムでの情報共有・コミュニケーションを行うためには、プロジェクト管理ツールの導入をおすすめします。
ツールを導入する際には、自社にとって機能と費用が見合ったものを取り入れる必要があるでしょう。
▼おすすめのプロジェクト管理ツールは下記記事でご紹介していますので、あわせて参考にしてみてください
プロジェクト管理を計画的に行う方法
プロジェクト管理を計画的に行う方法として何らかのツールを使うこともあります。
ここでは、普段から使い慣れたExcelを活用する方法と、プロジェクト管理を専用としたツールのいずれかを利用した場合について解説していきます。
Excelを活用する
Excelであれば、プロジェクト管理に合わせた表などを手軽に作成することができ、特別な技術がなくても管理することができます。
また、インターネット上に無料もしくは低価格で購入ができるテンプレートも多数存在しているため、カスタマイズをすれば費用を抑えつつ活用ができるでしょう。
たとえば、上記のガントチャートはMicrosoft公式から配布されているテンプレートを活用して作成したものです。
ガントチャートは0から作成すると手間がかかりますが、このようにテンプレートを活用すればすぐに導入ができるので、手始めに導入したいという方にはおすすめです。
プロジェクト管理ツールを使う
スケジュールやタスクなどの管理ツールとして、プロジェクト管理ツールを使うことも一つの手段でしょう。
プロジェクト管理ツールであれば、Excelでは難しかった「タスクの関連付け」や「期日漏れのタスクの通知」などの機能が備えられています。
多くのツールでは費用がかかりますが、少人数での利用や機能必要な機能を最低限備えたツールであれば比較的低価格で利用することができます。
▼無料から使えるプロジェクト管理ツールもありますので、詳しくは下記記事をご参照ください
また、プロジェクト管理ツールのなかにはGoogleアプリやMicrosoft Teamsと連携させることで、業務効率化をより促進できるツールも存在します。
たとえばMicrosoft Teamsをプロジェクト管理やタスク管理に特化したプロジェクト管理ツールと連携させることで、Outlookで行ったメールの内容をプロジェクト管理ツールのタスクに自動で変換することができるでしょう。
プロジェクト管理でツールを導入するメリット
プロジェクト管理ツールを導入するメリットを解説いたします。
プロジェクトの進捗状況を一目で把握できる
プロジェクト管理ツールは進捗状況を一目で把握することができます。
たとえば、進捗管理として使用されるガントチャートで可視化をすることで、計画通りにプロジェクトが行われているのかを把握することが可能です。
プロジェクトの途中で何か問題が発生した場合でもすぐに気づくことができるため、迅速な対応で大幅な業務効率の改善が期待できるでしょう。
情報共有やコミュニケーションに活用できる
メンバー間での情報共有をチャット形式で行うことで、円滑にコミュニケーションをとることができるでしょう。
また、プロジェクト管理ツールであればリアルタイムで情報が更新されるため、情報共有がしやすく状況に応じた適切な対処をすることができます。
プロジェクト管理ツールを選ぶポイント
プロジェクト管理ツールを選ぶポイントについて解説していきます。
チーム全員が使いこなせる操作性
チーム全員が操作しやすいツールであるかを確認する必要があります。
機能は優れていても操作が難しければ、かえって生産性を低下させてしまう可能性もあります。
視覚的に使いやすく直感的に扱うことができるツールから、まずは無料トライアルなどで導入してみると良いでしょう。
容量や人数を加味した料金
ツールによって料金が変わる場合もあるため、自社にとって適切な料金であるかを確認することも必要です。
ツールを導入する前に「どのような機能が必要になるのか」「何人が使うことになるのか」をあらかじめ明確にしておきましょう。
おすすめのプロジェクト管理ツール4選
おすすめのプロジェクト管理ツールを以下でご紹介いたします。
Backlog
出典：Backlog
Backlogは、さまざまな職種のメンバーが関わるプロジェクトを進める際に力を発揮する、シンプルな操作性が魅力のプロジェクト管理ツールです。
タスク管理・ドキュメント管理のWiki・ファイル管理・バージョン管理・コミュニケーションツールといたプロジェクトに必要となる基本的な機能が、Backlog1つで利用できます。
公式サイト：Backlog（バックログ）｜チームで使うプロジェクト管理・タスク管理ツール
Trello
出典：Trello
Trelloは、付箋感覚でチームでの情報共有がスムーズに行えるプロジェクト管理ツールです。主に以下の要素で構成されています。
- ボードメニュー：全体を管理
- ボード：プロジェクト単位の情報を管理
- カード：タスクやアイデアを管理する基本単位
- リスト：カードを管理
視覚的な要素で構成されているため、プロジェクトのリアルタイムを一目で把握できます。
公式サイト：どこにいてもチームのプロジェクトを管理 | Trello
Redmine
出典：Redmine
Redmineは、オープンソースで提供されているプロジェクト管理ツールです。
コストをかけずに、今すぐプロジェクト管理ツールを導入したいという場合におすすめです。タスク管理・プロジェクトの進捗管理・問い合わせ対応の記録など、さまざまな機能が利用できます。
参考サイト：日本のRedmineコミュニティ — Redmine.JP
Notion
出典：Notion
Notionは、プロジェクト管理ツールとしても利用できるコネクテッドワークスペースです。ドキュメント作成・タスク管理・ナレッジ管理などを1つにまとめることができ、自分の業務に合ったオリジナルのツールを作ることも可能です。
分散した情報やプロセスを一元管理することで、生産性アップや業務効率化を実現します。
公式サイト：Notion – Your wiki, docs & projects. Together.
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タスク管理やスケジュール管理以外にも、プロジェクトごとの収支管理（人件費管理）を行いたい企業様もいるでしょう。
とくにWeb制作やシステム開発会社などのプロジェクト型ビジネスの現場では「プロジェクト（案件）ごとに赤字になっていないか」を把握しておくことは、経営上非常に重要なことだといえます。
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必要以上に時間をかけている業務があれば、詳細を確認して改善策を検討するなど、業務改善に向けた次の一手を検討することが可能です。
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