効果的なプロジェクトの振り返り方法|5つのフレームワークや意識したいポイントを解説

プロジェクトが終了した時点で振り返りの時間を設けている企業や組織も多いのではないでしょうか。プロジェクトの振り返りは、プロジェクトの計画段階からタスクの進行、最終的な成果までを客観的に捉えることによって、良かった点や課題点を浮き彫りにして、次回のプロジェクトを成功させるためのヒントとなります。

本記事では、効果的なプロジェクトの振り返り方法や5つの実践的なフレームワーク、そして振り返りの際の注意点について解説します。


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プロジェクトの振り返りの目的

プロジェクトを振り返る最大の目的は、PDCAサイクルを素早く回すためです。プロジェクトには多くのメンバー・タスク・ステークホルダーが関わっているため、問題点や課題が見過ごされてしまいがちです。

また、最終的な成果のみでプロジェクトを判断してしまうと「何が良かったのか」「次のプロジェクトにどのように活かすのか」といった成果を握る主要因が不明確になってしまいます。

プロジェクト全体や各メンバーの良かった点や悪かった点、そしてそこから次回のプロジェクトで意識的に注力すべきことを洗い出すことで、プロジェクトの計画〜実行〜改善のサイクルを効果的に実践することができます。

プロジェクトの振り返りはいつ行うべき? 

プロジェクトの振り返りはプロジェクトが終了した後だけでなく、プロジェクト進行中であっても定期的に行うことをおすすめします。

とくに数ヶ月に及ぶようなプロジェクトでは、課題点を早期に発見し期間内に改善することによって、プロジェクトの進行に大きく役立ちます。

プロジェクトの振り返りに役立つ5つのフレームワーク 

プロジェクトを振り返る際には、なんとなく行うのではなく一定のフレームワークに当てはめて議論することで、課題点や次回に活かすべきことを明確にしやすくなります。

プロジェクトの振り返りに活用される代表的なフレームワークは、以下の5つです。

  • KPT法
  • YWT法
  • Star fish法
  • WorldCafe法
  • TimeLine法

それぞれの特徴や進め方について、詳しく見ていきましょう。

KPT法

KPT法とは、「Keep」「Problem」「Try」の頭文字を取った言葉で一般的に「ケプト法・けーぴーてぃー法」と呼ばれます。もともとはシステム開発の領域で使われていましたが、現在ではビジネス全般で活用されるフレームワークです。

KPTは、それぞれ以下のような意味を持ちます。

  • Keep:プロジェクトで成果が出て今後継続すること
  • Problem:プロジェクトで発生した課題
  • Try:次回のプロジェクトで取り組むべきこと

プロジェクトにおいて良かった点・悪かった点を明確にすることで、次のプロジェクトを進行する際に取り組むべきことを明らかにします。複雑なフレームワークではなく、KPTの3つの論点に絞ってディスカッションができるので、振り返りに時間がかからないのがメリットです。

YWT法 

KPTと並び、プロジェクトの振り返りに頻繁に活用されるフレームワークが「YWT法」です。YMT法は、日本能率協会コンサルティングが提唱した日本発のフレームワークです。YWTとは、それぞれ「やったこと(Y)」「わかったこと(W)」「次にやること(T)」の3つを意味します。

YWTの特徴は、実際に行った事実ベースの事象から新たな発見を得られる点です。プロジェクト期間中の各メンバーの取り組みをチーム全体で共有することによって、「なぜ最終的にこのような結果になったのか」を流れに沿って考えていくことができます。

特にプロジェクトの遅延が発生した際には、プロジェクトの開始から終了までを時系列で追っていくことで、どこに問題があったのかを発見することができます。

Star fish法 

Star fishとは、英語で「ヒトデ」を意味する言葉で、5つの項目に分けてプロジェクトを評価するフレームワークです。

  • Keep Doing:すでに実践しており、今後も継続すること
  • More of:すでに実践しており、今後さらに注力していくこと
  • Less of:実践しているがあまり効果が得られないこと
  • Stop Doing:今すぐに辞めるべきこと
  • Start Doing:次回から実践したいこと

KPT法やYMT法より、更に細分化してプロジェクトを振り返るのが特徴です。例えば、プロジェクトで実践したことの中でも「Keep Doing」と「More of」の2つに分けて考えることによって、次回のプロジェクトの戦略立案やリソースの分配を具体的にイメージすることができます。

World Cafe法 

World Cafe(ワールドカフェ)法とは、会議やミーティングといった堅苦しい雰囲気ではなくカフェをしているようにくつろいだ状態でプロジェクトに関して議論するフレームワークです。

一般的に10〜100人単位の中規模や大規模のプロジェクトの振り返りに活用され、メンバーをいくつかのグループに分けて開催します。各グループで話し合いたい議題を選び、プロジェクトの振り返りを行います。その後、グループをローテーションさせて、同様の議論を行います。

短時間で多くのメンバーと情報共有を得られることや、緩やかな雰囲気のためアイデアや意見を出しやすいというメリットがあります。World Cafe法は、あくまでも振り返りの形式に関するフレームワークのため、実際に議論を行う際にはKPT法やYMT法と組み合わせて実践するのも効果的です。

TimeLine法

TimeLine(タイムライン)法とは、プロジェクト期間中のメンバー全員の出来事を時系列に並べるフレームワークです。月単位や年単位に及ぶプロジェクトでは、プロジェクト開始当初にあったトラブルやミスを忘れてしまいがちです。

そのため、プロジェクトの進行と同時に出来事を記録しておくことで、後々の振り返りに大変役立ちます。特に、同様のタスクをこなすメンバーが複数人いる場合は、それぞれの業務の進行にどのような違いがあるのかを明らかにすることで、効率の良い業務方法を見つけ出すことが可能になります。

プロジェクトを振り返る際のポイント

プロジェクトの振り返りを行う際には、いくつか注意すべき点があります。個人のミスを追求することや主観的な議論に終始しないためにもプロジェクトマネージャーは以下の3点について意識することが大切です。

次のプロジェクトにつなげることを意識する

プロジェクトを振り返る時間を設ける最大の理由は、次回のプロジェクトを円滑に進めることに他なりません。そのため、今回のプロジェクトで悪かった点や課題点を話し合うだけでなく、次のプロジェクトでどのように改善していくのか、具体的な施策案を提案する必要があります。

例えば、プロジェクトの遅延が発生したのであれば、遅延の原因となった出来事を見つけ出します。その上で、進捗管理が適切だったのか、情報共有がなされていたのか、リカバリが適切に行われたのかといった議論を行いましょう。

もし進捗管理が適切でなかったのであれば、新たにプロジェクト管理ツールの導入を検討する、ステータスを共有する仕組みやルールを設けるといった対策案に落とし込みましょう。

個人の責任を追求しない

プロジェクトの振り返りを行う際には、どうしても個々のメンバーのミスやスキル不足といった点に目がいきがちです。しかし、プロジェクトの振り返りは次回のプロジェクトを円滑に進めるためのものであって、個人の責任を追求するものではありません。

そのため、特定のメンバーのスキル不足という課題があったとしても、その人を追求するのではなく、メンバーのアサインは適切だったのか、サポートができる体制が整っていたのか、スキルアップのための教育システムは十分だったのかといった議論を行うことが大切です。

振り返りの結果を第三者に評価してもらう

プロジェクトのチームメンバーのみで、プロジェクトを評価するのではなく、第三者からの意見を求めることを忘れないようにしましょう。プロジェクトに関わったメンバーは、どうしても結果や原因に対して客観的に捉えることが難しくなります。そのため、第三者からレビューをもらうことで、今まで気がつかなかった課題を明らかにしやすくなります。

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「特定のタスクに想定以上の時間がかかっている」「メンバーによって業務効率が異なる」といった、プロジェクトの問題点や課題を発見することに役立ちます。

また、チームのメンバーがいま・何の業務に取り組んでいるのかをリアルタイムで見える化できるので、プロジェクトマネージャーはタスクの遅延にいち早く気がつくことができます。

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