CVP分析とは?図解でわかるやり方と、利益が動く4つの変数

損益分岐点を計算してみたものの、その数字で何を決められるのかが分からない。CVP分析について調べていると、こうした行き止まりに突き当たることがあります。

原因のひとつは、多くの解説がCVP分析を損益分岐点という一点を求める手順として説明していることにあります。本来のCVP分析は、費用と売上と利益の関係を見て、条件が変わったときに利益がどう動くかを確かめるための道具です。

この記事では、CVP分析の意味と公式、CVP図表の読み方を図解で整理したうえで、費用の大半が人件費である受託・支援会社が実際に使う形まで踏み込みます。単価を1割下げたら、稼働率を1割上げたら、人を1人増やしたら、利益はいくら動くのか。そこまで出せると、CVP分析は計算から判断の道具に変わります。

CVP分析とは?原価・営業量・利益の関係を見る分析手法

CVP分析とは、Cost(原価)・Volume(営業量)・Profit(利益)の3つの関係を分析する手法です。頭文字を取ってCVP分析と呼ばれ、日本語では損益分岐点分析とも呼ばれます。

CVP分析で分かることは、大きく3つあります。

  • いくら売れば赤字にならないか(損益分岐点)
  • 目標の利益を出すにはいくら売上が必要か(目標利益達成売上高)
  • 売上や費用が変わったとき、利益がどれだけ動くか(感度分析)

損益分岐点分析という呼び方が広く使われているため、CVP分析は損益分岐点を求めるための手法だと理解されがちです。実際には、損益分岐点はCVP分析で分かることのひとつにすぎません。利益がゼロになる点だけでなく、その前後で利益がどう変化するかまで見るのがCVP分析の範囲です。

この記事では前半で損益分岐点までの計算を確認し、後半で条件を動かしたときの利益の変化を扱います。

CVP分析で使う4つの要素(固定費・変動費・限界利益・限界利益率)

CVP分析は、費用を固定費と変動費の2つに分けるところから始まります。

固定費は、売上の増減に関係なく発生する費用です。正社員の給与、事務所の家賃、システムの利用料などが該当します。

変動費は、売上に比例して増える費用です。製造業なら材料費、小売業なら仕入原価。受託・支援会社では外注費や案件ごとの実費が中心になります。

この2つに分けたうえで、次の2つの指標を計算します。

限界利益は、売上高から変動費を引いた利益です。売上が1単位増えたときに、いくらが会社に残るかを表します。

限界利益率は、限界利益が売上高に占める割合です。売上100万円のうち90万円が限界利益なら、限界利益率は90%になります。

限界利益 = 売上高 − 変動費
限界利益率 = 限界利益 ÷ 売上高 × 100
変動費率 = 変動費 ÷ 売上高 × 100(限界利益率 = 100% − 変動費率)

限界利益は、固定費を回収するための原資と考えると分かりやすくなります。売上から変動費を引いて残った金額で家賃と人件費を払い、それでも残った分が利益になる。この順序がCVP分析の土台です。

なお、固定費と変動費の分け方そのものは、実務ではかなり悩ましい論点になります。この記事では判定の基準(売上に比例して増えるかどうか)だけ押さえて先に進みます。

【図解】CVP図表の読み方と2つの描き方

CVP分析の結果は、CVP図表(損益分岐点図表)と呼ばれるグラフで表せます。横軸に売上高または営業量、縦軸に金額を取り、売上高の線と総費用の線を引いたものです。

2本の線が交わる点が損益分岐点です。ここより右側では売上高の線が総費用の線を上回り、その差が利益になります。左側では逆に総費用が売上を上回り、差が損失になります。

CVP図表には描き方が2種類あり、どちらを使うかで読み取りやすい情報が変わります。

固定費を下に置く描き方

固定費を横一直線に置き、その上に変動費を積む描き方です。固定費が売上に関係なく一定であることが視覚的に分かり、損益分岐点の位置も読み取りやすくなります。教科書やビジネス書でよく見るのはこちらです。

変動費を下に置く描き方

変動費を下に置き、その上に固定費を積む描き方です。売上高の線と変動費の線に挟まれた部分が限界利益になるため、限界利益が面積として見えるのが特徴です。限界利益で固定費を回収していく構造を説明するときは、こちらのほうが直感的です。

CVP図表の2つの描き方。固定費を下に置く描き方と変動費を下に置く描き方の比較

同じデータでも、見せたいものによって描き方を選べます。損益分岐点の位置を示したいなら固定費を下に、限界利益の大きさを示したいなら変動費を下に置くと伝わりやすくなります。

CVP分析のやり方4ステップと公式一覧

CVP分析の手順は4つのステップに整理できます。

ステップ1:費用を固定費と変動費に分ける(固変分解)

損益計算書や試算表の費用を、売上に比例して増えるかどうかで振り分けます。

ステップ2:限界利益率を計算する

売上高から変動費を引いて限界利益を出し、売上高で割ります。

ステップ3:損益分岐点売上高を計算する

固定費を限界利益率で割ります。限界利益で固定費をちょうど回収しきる売上高が求まります。

ステップ4:目標利益から必要な売上高を逆算する

固定費に目標利益を足したうえで、限界利益率で割ります。

CVP分析で使う公式は次のとおりです。

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率
損益分岐点販売量 = 固定費 ÷ 1単位あたり限界利益
目標利益達成売上高 =(固定費 + 目標利益)÷ 限界利益率
損益分岐点比率 = 損益分岐点売上高 ÷ 実際の売上高 × 100
安全余裕率 =(実際の売上高 − 損益分岐点売上高)÷ 実際の売上高 × 100

損益分岐点比率は、実際の売上のうちどこまでが赤字回避に使われているかを示します。安全余裕率はその裏返しで、売上が何%落ちるまで赤字にならないかを表します。この2つは足すと100%になります。

この記事では以降、次のモデルケースを使って計算していきます。

項目 数値
メンバー エンジニア5名
月間の総労働時間 800時間(5名×160時間)
稼働率(請求できる時間の割合) 70%(請求可能時間 560時間)
平均時間単価 8,000円
月間売上高 448万円
変動費(外注費・実費) 44.8万円(変動費率10%)
限界利益 403.2万円(限界利益率90%)
固定費(人件費・家賃・システム) 300万円
営業利益 103.2万円

公式に当てはめると、損益分岐点売上高は300万円 ÷ 0.9 = 約333万円。実際の売上448万円に対して損益分岐点比率は74%、安全余裕率は26%です。売上が26%落ちるまでは赤字にならない状態です。

目標利益から必要な売上高を逆算する

損益分岐点は赤字にならないラインであって、目指す水準ではありません。実務で使うのは、目標の利益から逆算した売上高のほうです。

計算には目標利益達成売上高の式を使います。仮に月150万円の営業利益を目標にすると、必要な売上高は(300万円 + 150万円)÷ 0.9 = 約500万円。現状の448万円との差は約52万円です。

時間単価8,000円で換算すると、月に65時間ほど請求できる時間を増やすか、同じ時間で単価を上げる必要がある、という水準になります。目標を金額のまま置いておくより、必要な時間量まで落としたほうが打ち手を考えやすくなります。

人件費が費用の大半の会社では、CVP図表の形が変わる

ここまでは一般的なCVP分析の説明です。ただ、受託開発やWeb制作、広告運用、コンサルティングといった事業で自社の数字を当てはめると、図の形が教科書と違ってきます。

先ほどのモデルケースをCVP図表にすると、総費用の線がほぼ水平になります。固定費が300万円ある一方で、変動費は売上の10%しかないためです。売上が増えても総費用はわずかしか増えません。

変動費率60%の製造業と変動費率10%の受託会社でCVP図表の総費用線の傾きを比較した図

CVP分析の解説記事で使われる例は、多くが製造業や小売業です。材料費や仕入原価が売上に比例して増えるため、総費用の線がはっきりと右肩上がりになります。変動費率が60%なら、売上100万円増えても60万円は費用として出ていきます。

一方、人の時間を売る事業には売上に比例して増える材料がありません。外注費と実費を除けば、費用のほとんどが人件費と固定的な経費です。素直に固変分解すると変動費率が1割前後になり、限界利益率が90%を超えることも珍しくありません。

つまり、自社の図が教科書と違う形になるのは、計算を間違えたわけではありません。費用構造そのものが違うため、CVP図表の形も変わるということです。

このあと見ていくように、図の形の違いは利益の動き方の違いにそのまま現れます。どの打ち手が効くかも、費用構造によって変わります。

固定費型のビジネスは利益がブレやすい(経営レバレッジ係数)

総費用の線が水平に近いということは、売上の増減がほぼそのまま利益の増減になるということです。

これを数値で表したものが経営レバレッジ係数です。限界利益を営業利益で割って求めます。

経営レバレッジ係数 = 限界利益 ÷ 営業利益

モデルケースでは403.2万円 ÷ 103.2万円 = 約3.9。売上が1%変動すると、営業利益は約3.9%変動するという意味です。

実際に売上が10%落ちた場合を計算してみます。売上448万円が403.2万円に下がると、限界利益は403.2万円から362.9万円へ40.3万円減ります。固定費300万円は変わらないため、営業利益は103.2万円から62.9万円へ。売上10%の減少で、利益は39%失われます。

売上が10%落ちると営業利益が39%失われることを示す図。経営レバレッジ係数は約3.9

固定費の比率が高い事業は、損益分岐点を超えると利益が大きく伸び、割ると急速に沈みます。売上が読みづらい受託ビジネスで、好調な月と不調な月の利益差が想像以上に大きくなるのは、この構造によるところがあります。

裏を返せば、固定費を増やさずに売上を伸ばせれば、増えた分の大半がそのまま利益になります。同じ人件費のまま時間の使い方を変えることに利益改善の余地がある、というのがこの構造から導かれる示唆です。

ヴァンテージIT株式会社では、業務ごとの時間を可視化したうえで時間の使い方を見直し、利益ベースで約400万円/月(1人あたり約60万円/月)の成長につながりました。同社のWEBマーケティング事業部の責任者は、成果につながった具体的な打ち手を次のように振り返っています。

具体的には「広告クリエイティブの作成に多くの時間をかけたほうが、より高い成果を期待できる」という仮説のもと、クリエイティブの作成量を従来の約10倍まで増加させる方針で進めました。結果として、顧客のトップライン拡大と自社の利益向上に繋げられたことに大きな成果を感じています。

売上を伸ばす打ち手として、費用を増やすのではなく時間の配分を変えることを選んだ例です。固定費が一定のまま限界利益が増えれば、その分がほぼ利益として残ります。

4つの変数を動かす — 受託会社のCVP感度分析

CVP分析の使いどころは、損益分岐点を求めた先にあります。どの変数をどれだけ動かすと利益がいくら変わるかを並べて比べることです。

受託・支援会社で動かせる変数は、主に次の4つです。

  • 時間単価(契約単価の水準)
  • 稼働率(労働時間のうち請求につながる割合)
  • 人員数(=固定費の大きさ)
  • 外注比率(=変動費率)

モデルケースでそれぞれを10%動かすと、営業利益は次のように変わります。

動かす変数 変化 営業利益 基準との差
基準 103.2万円
時間単価 8,000円 → 8,800円 143.5万円 +40.3万円(+39%)
稼働率 70% → 77% 143.5万円 +40.3万円(+39%)
固定費 300万円 → 270万円 133.2万円 +30.0万円(+29%)
外注比率 変動費率10% → 9% 107.7万円 +4.5万円(+4.4%)

時間単価・稼働率・固定費・外注比率を10%動かしたときの営業利益の変化を比較した図

ここから読み取れることが3つあります。

単価と稼働率は同じだけ効く

どちらも売上を10%増やす効果を持つため、利益への影響は同じです。違うのは実現の方法で、単価は交渉が必要になり、稼働率は社内の業務配分で動かせます。上限の考え方も違い、稼働率には100%という天井がありますが、単価には理屈上の上限がありません。

外注費の削減はほとんど効かない

変動費率が10%の会社では、外注費を1割削っても利益は4%しか増えません。コスト削減の対象として真っ先に挙がりやすい項目ですが、費用構造から見ると効果は限定的です。変動費率が60%の製造業ならこの順位は逆転します。どのレバーが効くかは費用構造で決まる、というのがCVP分析から得られる示唆です。

増員は稼働率とセットで考える必要がある

人を1名増やすケースは、少し複雑になります。固定費が300万円から350万円に増える一方、総労働時間は800時間から960時間に増えます。新メンバーも稼働率70%で稼働できれば売上は537.6万円になり、営業利益は133.8万円(+30.6万円)。

ただし新メンバーの立ち上がりが遅く、稼働率が50%にとどまった場合、営業利益は110.8万円(+7.6万円)まで縮みます。増員の効果は、その人の稼働率次第で4分の1になるということです。

稼働率という指標は、受託ビジネスのCVP分析では単価と並ぶ主要な変数になります。

稼働率をCVP分析の変数に入れる

製造業のCVP分析には、営業量として販売数量という軸があります。時間を売る事業でこれに相当するのは、請求できる時間の量です。

請求可能時間 = 総労働時間 × 稼働率
売上高 = 請求可能時間 × 平均時間単価

この2つの式を挟むと、CVP分析を時間の軸で捉え直せます。モデルケースの損益分岐点売上高333万円を、平均時間単価8,000円と総労働時間800時間で割り戻すと、稼働率52%が損益分岐のラインになります。現状の稼働率70%との差は18ポイントで、これが赤字までの余裕にあたります。

稼働率を横軸にしたCVP図表。損益分岐稼働率52%と現状の稼働率70%

稼働率52%を下回れば赤字、上回れば黒字。この形にすると、売上高という現場が直接動かせない単位が、稼働率という動かせる単位に変わります。

そしてもうひとつ重要なのは、正社員の人件費は固定費なので、請求につながらない時間はそのまま損益分岐点を押し上げるということです。稼働率が下がるほど、同じ人件費で稼げる売上が減り、赤字までの距離が縮まります。

MASTER key株式会社では、営業担当が担っていた業務を工数データで分解したところ、請求につながらない事務作業に時間が流れていたことが分かりました。同社のRPO事業部の課長は、次のように話しています。

従来はキャリアパートナー(営業担当)が、求職者の応募対応から面談設定、推薦状の作成、日程調整など、事務作業に含まれる業務まですべて1人で担っていました。しかしTimeCrowdでデータを取ってみると、キャリアパートナーはこうした事務作業に月160時間も費やしていることが判明したんです。

月160時間は、ほぼ常勤1人分の労働時間にあたります。同社はこのデータを根拠に、求職者の応募から面談設定までを専門に行うCS担当を1名採用し、営業担当を面談業務に集中させました。結果として面談化率は導入前の約35%から60%まで向上し、売上インパクトは月120万~150万円に相当したといいます。

人を1名増やす判断を、感覚ではなく工数データで裏づけた例です。採用によって固定費は増えますが、その分だけ営業担当をコア業務に回せれば利益は伸びます。前の章で見た増員の計算と同じ構図で、判断の材料になったのは月160時間という非請求業務の実態でした。

CVP分析で判断する3つの場面

感度分析の数字が揃うと、日常の判断にそのまま使えます。受託・支援会社でよくある3つの場面で見ていきます。

値下げ要請を受けるかどうか

単価を10%下げると、モデルケースの営業利益は103.2万円から62.9万円へ、39%減ります。

では、この目減りを稼働率で埋めるとしたら何ポイント必要か。単価7,200円で元の限界利益403.2万円を確保するには、請求可能時間が622時間必要です。稼働率に換算すると78%で、現状の70%から8ポイント上げる必要があります

8ポイントの改善が現実的かどうかは会社ごとに違います。ただ、要請を受けるか断るかを感覚で決めるのと、この数字を持って決めるのとでは、社内の議論の質が変わります。値引きの条件として稼働の増加を交渉材料にする、という選択肢も見えてきます。

人を増やすかどうか

1名増員すると固定費が50万円増えます。損益分岐点売上高は固定費を限界利益率で割って求めるため、増える額は50万円ではなく約56万円。333万円から389万円に上がります。この56万円は、時間単価8,000円で約70時間分の請求可能時間に相当します。

1名増員すると損益分岐点売上高が約333万円から389万円に上がることを示す図

つまり増員の判断は、月70時間分の仕事を追加で請求できる見込みがあるかという問いに置き換えられます。前の章で見たとおり、新メンバーの稼働率が想定より低ければ効果は縮みます。採用の前に、既存メンバーの非請求時間を減らすほうが早いケースもあります。

どの案件を優先するか

売上100万円で150時間かかる案件Aと、売上60万円で60時間の案件Bがあるとします。金額ではAが大きいものの、限界利益を投入時間で割ると、Aは1時間あたり6,000円、Bは9,000円です。

総労働時間には上限があるため、埋められる時間には限りがあります。時間あたりで見ると、大きい案件が必ずしも良い案件とは限らない、ということが分かります。

なお、どの変数を動かすかが決まった後の具体的な打ち手は、原因の切り分けから入ると進めやすくなります。

CVP分析の限界と使うときの3つの注意点

CVP分析は単純な計算で成り立っている分、前提が崩れると結論もずれます。使う前に押さえておきたい点が3つあります。

費用と売上が直線で伸びるという前提がある

CVP分析は、変動費が売上に比例し、固定費が一定であることを前提にしています。実際には、稼働が増えれば残業代が発生し、繁忙期の外注単価は上がります。人員が一定の水準を超えれば事務所も広げることになります。直線で計算した結果は、あくまで一定の範囲内での目安として扱うのが安全です。

短期の分析であって、長期の投資判断には向かない

固定費を一定として扱うため、CVP分析が答えを出せるのは固定費の構造が変わらない期間内です。設備投資や大規模な採用のように固定費の水準そのものを変える判断には、別の枠組みが必要になります。

固変分解の置き方で結論が変わる

同じ会社でも、人件費を固定費として扱うか、案件に直接紐づく分を変動費として扱うかで、限界利益率は大きく動きます。限界利益率が動けば損益分岐点も経営レバレッジ係数も変わります。

会計上の費用分類と、意思決定のための固変分解は別のものです。どちらが正しいという答えはなく、社内で置き方を統一して、期間をまたいで比較できる状態にすることが実務では重要になります。分析結果を共有するときは、どの費目をどちらに置いたかを添えておくと誤解が減ります。

会社全体から案件単位へ — 分析を続けるために必要なデータ

会社全体のCVP分析は、月次の締めが終わってから計算するものです。数字が出るのは翌月で、現場が動かせる単位にもなっていません。

そのため、感度分析で見えた打ち手を実行に移す段では、案件単位まで降りる必要があります。どの案件が何時間で黒字転換するのか、進行中の案件が損益分岐ラインに届きそうかを見る形です。

もうひとつ必要になるのが、感度分析を繰り返し回せる状態です。今回使った4つの変数のうち、単価と人員数は把握しやすい一方、稼働率と案件別の投入時間は、記録していなければ分からない数字です。

TimeCrowdは、業務の開始と終了をワンクリックで打刻し、案件やカテゴリごとに稼働時間を集計できる時間管理ツールです。GoogleカレンダーやOutlookカレンダーと連携すれば、予定をもとに自動で打刻することもできます。

メンバーごとに時間単価を設定しておけば、記録した時間がそのまま金額に換算されます。請求につながる時間とそれ以外の時間を分けて集計すれば、稼働率も継続的に追えます。CVP分析の前提となる数字を、毎月あらためて集計し直さずに済む状態がつくれます。

CVP分析に関するよくある質問

Q. CVP分析と損益分岐点分析は違うものですか?

ほぼ同じ手法を指す言葉で、日本語では損益分岐点分析と呼ばれることが多くなっています。厳密にいえば、損益分岐点分析は利益がゼロになる一点を求めるもので、CVP分析は原価・営業量・利益の関係全体を見るものです。損益分岐点はCVP分析で分かることのひとつ、という関係になります。

Q. CVP分析はどのくらいの頻度で行えばよいですか?

固定費の水準が変わらないうちは前提が生きるため、月次で数字を更新しつつ、四半期ごとに前提を見直す形が扱いやすくなります。ただし、増員・オフィスの移転・大きな外注契約の開始など固定費が動く出来事があったときは、そのつど計算し直す必要があります。

CVP分析を、計算から判断の道具にする

CVP分析の要点を振り返ります。

  • CVP分析は原価・営業量・利益の関係を見る手法で、損益分岐点はその中で分かることのひとつ
  • 損益分岐点売上高は固定費 ÷ 限界利益率、目標利益達成売上高は(固定費 + 目標利益)÷ 限界利益率で求まる
  • 人件費が費用の大半を占める事業では変動費率が低く、CVP図表の総費用線がほぼ水平になる
  • 固定費の比率が高いほど経営レバレッジが効き、売上の変動が利益に大きく跳ね返る
  • 効くレバーは費用構造で決まる。変動費率が低い会社では、外注費の削減より単価と稼働率が大きく効く
  • 単価・稼働率・人員・外注比率を動かした表を持っておくと、値下げ要請や増員の判断を数字で議論できる

損益分岐点を1つ計算して終わりにせず、条件を変えたときの利益の動きまで見ておくと、CVP分析は日々の判断に使える道具になります。そのために必要なのは、稼働率と案件別の投入時間という、記録がなければ手に入らないデータです。

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