採算が取れないという状況に直面したとき、その原因を正しく把握できているでしょうか。
赤字の事業やプロジェクトには必ず原因があり、適切な対処をしなければ改善は難しいです。
この記事では「採算が取れない」という言葉の意味や原因を解説したうえで、改善するための具体的なアプローチまで紹介します。
目次
採算が取れない・合わないの意味や違いとは?

採算が取れない・合わないという言葉の意味と、両者の違いについて解説します。
「採算が取れない」の言葉の意味
「採算が取れない」とは、事業やサービスなどの収支の釣り合いが取れていない状態を意味します。
英語では「unprofitable」「loss making」「money losing」と表記します。
そもそも「採算」という言葉の意味は「利益が確保できているかどうか」という観点から、収益を計算することです。
その採算が取れていないということは、必要な経費が売上を越えるいわゆる“赤字”の状態。
採算が取れないとは、簡単に言うと「利益が見込めない状態」となります。
「採算が取れない」の使い方・例文
「採算が取れない」という言葉を使った例文は、以下のとおりです。
- 原料の価格の高騰により、売上が上がっても採算が取れない
- 採算が取れないため、新規事業から撤退する
- この企画内容では、採算が取れない可能性が高い
ビジネスにおけるややネガティブな文章で使う場合が多く見られます。
採算が「取れない」と「合わない」の違い
採算が取れないは赤字であることを強調した表現で、必要な経費が売上を超えている状態を指します。
一方、採算が合わないは目標の売り上げに達していないなど、計算上の見込みとズレが生じた場合に使われることが多く、必ずしも赤字を意味するわけではありません。
赤字の状態を明確に伝えたい場合は採算が取れない、収支のバランスが崩れていることを広く表現したい場合は採算が合わないと使い分けるのが自然です。
なお、採算が取れない場合の言い換えとしては「赤字になる」「欠損が出る」「マイナスになる」などが近い表現です。
採算が合わない場合は「割りに合わない」「収支が合わない」といった表現があります。
採算が取れなくなる主な原因
赤字のプロジェクトや事業には、採算が悪化した原因が必ずあります。
改善策を講じる前に、まずは原因を正確に把握することが重要です。
見積もり段階での工数・人件費の甘さ
受注前の見積もりで工数が過小評価されるケースは、特に人件費比率の高い業種でよく起こります。
Web制作・システム開発・コンサルティングなどの業種では、実際にかかった時間が見積もりを大幅に上回り、気づいた時には赤字になっていることが少なくありません。
見積もりの精度が低いままだと、受注するたびに採算が悪化するリスクがあるため、過去のプロジェクトデータをもとに工数の実績を蓄積していくことが重要です。
追加作業によるコストの膨張
プロジェクト進行中に仕様変更や追加要件が発生し、工数が増えるにも関わらず追加費用を請求できないケースもよくある原因の一つです。
いわゆるスコープクリープとよばれる状態で、コストだけが膨らんで採算が悪化します。
契約段階で追加作業の費用負担ルールを明確にしておくことや、変更が発生した時点で都度合意をとることが対策として有効です。
原材料・仕入れ費の高騰
製造業・小売業・卸売業など変動費の割合が高い業種では、原材料や仕入れ費の高騰が採算を直撃します。
売り上げが変わらなくても、コストが上昇するだけで赤字に転落するため、外部環境の変化に対して価格転嫁や仕入れ先の見直しをこまめに行える体制が必要です。
プロジェクト・部門単位でコストが見えていない
全社単位では黒字でも、プロジェクト別・部門別に見ると赤字案件が混在しているケースがあります。
コストが可視化できていないと問題に気づくのが遅れ、手を打てないまま損失が拡大します。
特に人件費は固定費として一括で計上されることが多く、どのプロジェクトにどれだけの人件費がかかっているかが把握できていない企業は少なくありません。
プロジェクト単位での採算管理を仕組みとして整えることが、根本的な改善につながります。
採算が取れない場合の基本的な対処方法

言葉の意味を理解したうえで、採算が取れない部門や事業がある場合の基本的な対処法について解説します。
採算が取れない部門や事業の現状を把握する
採算が取れない部門や事業の状況に対処するためには、まずは現状を正確に把握することが大切です。
採算が取れていない事業や部門が、どのような価値を顧客に提供しているか、社内でどのような役割を担っているのかをしっかりと把握しましょう。
対処方法を誤ると、事業に支障をきたしたり、顧客に対するサービスの品質低下を招いたりといった影響を与える恐れもあります。
採算が取れない部門や事業の再建
採算が取れない部門や事業の赤字を解消するためには、再建活動を通じて、その原因や実態を調査して改善を目指します。採算が取れない場合の、一般的な対処方法と言えるでしょう。
最近では会社の内部リソースで対処するのではなく、経営コンサルティングやM&Aといった外部企業と連携して再建を目指すケースが増えています。
▼また、適切な採算管理の実施方法については下記記事でご紹介していますので、あわせて参考にしてください
採算が取れない部門や事業からの撤退
調査の結果、再建が難しいと判断した場合には、その部門や事業から撤退することも一つの選択肢となります。
撤退に伴って既存の事業が停止したり、整理解雇が必要になったりする場合もあるでしょう。
労働組合・従業員・取引先に事業撤退の情報が漏れてしまうと大きなトラブルにつながる可能性もあるため、撤退には慎重な対応が必要になります。
採算が取れない部門や事業を継続する
現状は採算が取れない赤字の部門や事業であっても、貢献利益がプラスの場合には継続する場合があります。
貢献利益とは、売上高から変動費と、その事業や商品に直接関わる固定費(直接固定費)を引いて計算します。
この貢献利益がプラスであれば、つまり売れればそれだけ利益が発生するということです。
そのため、赤字であっても貢献利益が見込めるのであれば、事業を継続するべきと考えられます。
採算を改善する具体的な方法

採算が取れない状況で再建や継続をする場合には、売上高の増加・変動費削減・固定費削減・人件費の可視化といった改善のアプローチを行うことが大切です。
売上高を増加させる
売上高が減少していて採算が取れていないならば、シンプルですが売上高を増加させる方法を検討しましょう。
営業力の強化・改善、付加価値の創出、マーケティング施策の見直しなどが効果的です。
変動費を削減する
限界利益(売上高ー変動費で算出)が減少している場合には、変動費の削減に取り組みましょう。変動費とは、売上の増減に伴って変わる費用のことです。
例えば、製造業・小売業・卸売業などであれば仕入れ値の変化が、変動費に影響を与えます。市場の相場やさまざまな仕入先の価格を把握し、計画にあったものを購入すれば、変動費の増加を最小限に抑えられるでしょう。
また、業務フローの見直しや在庫管理の徹底により、コストを抑えるという方法も考えられます。
固定費を削減する
変動費と合わせて、月々の決まった金額の支出である固定費も見直しましょう。 変動費は外部要因が関係するため削減が難しい部分もありますが、固定費は比較的コントロールしやすい費用だといえます。
固定費には、人件費・家賃・水道光熱費・広告宣伝費・リース料などが該当します。
固定費のなかでも、多くの割合を占めるのが人件費でしょう。しかし、急に賃金を下げたり、手当をなくしたりすれば、社員のモチベーションや会社への信頼が低下してしまう可能性があります。
生産性の低下や離職が発生すれば、固定費は削減できても結果的に会社の利益を損なってしまうため注意が必要です。
人件費・工数をプロジェクト別に可視化する
売上・変動費・固定費を見直しても改善しない場合、人件費の内訳がプロジェクト単位で把握できていないことが原因であるケースがあります。
どのプロジェクトにどれだけ工数と人件費がかかっているかを可視化することで、採算が悪化している原因を特定し、タスク単位での業務改善が可能になります。
プロジェクト別の採算管理を仕組みとして整えることが、根本的な収益の改善につながるのです。
▼収益改善には欠かせない「収益管理」については、下記記事でご紹介していますので、あわせて参考にしてください。
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採算が取れない赤字の事業や部門には、そのような状況に陥っている原因があります。
見積もりの甘さ・追加作業によるコスト膨張・原材料費の高騰・コストの可視化不足など、原因によって対策は異なります。
まずは、現状を正確に把握して解決すべき課題を明確にし、売上高の増加・変動費削減・固定費削減・人件費の可視化といった赤字改善のアプローチに取り組み、収益を確保しましょう。

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