その案件、本当に儲かっていますか?
プロジェクト型ビジネスで採算を左右する最大のコストは、人件費——つまり「かけた時間」です。
本ガイドは、時間(人件費)の観点から、収益構造ごとのつまずきポイントを整理します。
あなたのビジネスはどの型?
収益構造によって、採算管理で見るべきポイントは大きく変わります。
気になる型を選ぶと、以降のセクションも同じ型に合わせて切り替わります。
型によって、つまずくポイントは変わります。
型ごとに、見るべき指標は変わります。
実働のうち何%を請求できているかがわかる。100%に近いほど請求漏れが少ない。
80%以下 → 2割の稼働が未請求。年間換算で大きな逸失利益
案件ごとの実質的な時間単価がわかる。契約単価と比較して安売りしていないか判別できる。
契約単価の80%以下 → 間接工数が多すぎる、または請求漏れ
長期的にどの顧客が収益に貢献しているかがわかる。注力先の判断材料になる。
LTVが低下傾向 → 単価据え置きで工数だけ増えている可能性
労働時間のうちどれだけが売上に繋がっているかがわかる。営業・管理業務の比率も見える。
60%以下 → 非請求業務が多すぎる。体制の見直しが必要
その契約が利益を生んでいるかがわかる。コスト側の変動がそのまま利益率に反映される。
20%以下 → 稼働コストが月額に接近。実質赤字の手前
月額に対してどれだけの稼働を投入しているかがわかる。対応範囲の肥大化を検知できる。
想定稼働の120%超 → 対応範囲が契約を超えている
長期的にどの顧客が収益に貢献しているかがわかる。契約改定の優先順位をつけられる。
LTVが低下傾向 → 稼働量だけ増えて月額が据え置き
月額契約の実質的な時間単価がわかる。同じ月額でも稼働が増えると単価は下がる。
目標単価の70%以下 → 契約金額の見直しが急務
その案件が儲かったかどうかがわかる。赤字案件を特定し、次の見積に活かせる。
20%以下 → 利益がほぼ出ていない。0%以下は赤字
見積に対してどれだけオーバーランしたかがわかる。見積精度の改善ポイントが見える。
20%超 → 見積手法の見直しが必要
案件進行中に予算をどれだけ使ったかがわかる。進捗率と比較して「イエローフラグ」を検知できる。
進捗率より20pt以上先行 → 赤字リスク。即座にスコープ確認
何時間(何円)で黒字転換するかがわかる。案件開始前のGo/No-Go判断に使える。
見積工数の80%時点で到達しない → 利益が薄すぎる案件
1時間の投入でどれだけの成果報酬を得られたかがわかる。案件間の効率比較ができる。
目標値の50%以下 → その案件への投入配分を見直す
投入リソースに対してどれだけリターンがあったかがわかる。案件の継続・撤退判断に使える。
100%以下 → 投入コストを回収できていない
採算管理の5ステップは共通でも、型によって力点は変わります。
タイムチャージ型は「記録」が最重要。記録した時間がそのまま請求額になるため、記録の精度が売上に直結します。
月額固定型は「改善(契約改定)」が最重要。全ステップをまんべんなく回したうえで、データを根拠にした契約見直しにつなげます。
案件固定型は「見積」が最重要。見積の精度で案件の損益がほぼ決まるため、過去実績を見積に反映する仕組みが効きます。
成果報酬型は前半3ステップが薄め。時間ベースの管理よりも、成果を出すためのアプローチ改善が焦点になります。
採算データを見たあとに取れるアクション。
あなたの型を選ぶと、関係する打ち手が表示されます。
こんなとき:実効時間単価が目標を大きく下回っている
直近6ヶ月の実効時間単価(売上÷投入時間)を算出し、目標との乖離が大きい顧客に、データを添えて改定を相談する。
直近半年の平均は月80時間で、時間あたり単価が基準を下回っています。来期から月額を改定させていただけないでしょうか。
こんなとき:稼働率が60%以下/非コア業務が工数の40%以上
直近1ヶ月の工数をカテゴリ別に分解し、非コア工数が多ければ削減策を実行する。
例:週5時間の定例会議を隔週+非同期報告に切り替えて週2時間に削減。1ヶ月後に再計測して効果を確認する。
こんなとき:予算消化率が進捗率を20pt以上上回っている
予算消化率と進捗率を週次で確認し、消化率が先行していたら原因を特定する。赤字が確定する前に顧客へ連絡するのがポイント。
当初見積の120%に達しています。残りのスコープを絞るか、追加のお見積を出すか、ご相談させてください。
こんなとき:月間稼働が想定の120%超を3ヶ月以上続けている
直近6ヶ月の月間稼働を一覧化し、契約時の想定との乖離を算出。改定の選択肢を整理して、データとともに相談する。
契約時の想定は月40時間でしたが、直近の平均は月65時間です。対応範囲か月額の見直しをご相談できればと思います。
こんなとき:外注コストが予算想定を超えている
外注先ごとの金額と成果物を一覧化し、可能なら工数も計測。内製と外注のコストパフォーマンスを比較する。
例:ある外注のデザイン工程が内製の1.5倍かかっていたため、次案件から内製に切り替えた。
こんなとき:工数超過率が常に15%以上/赤字案件が四半期で2件以上
完了案件の見積工数と実績工数を工程別に比較し、ズレのパターンを見積テンプレートのバッファ係数に反映する。
例:「修正対応」が毎回見積の1.4倍だったため係数を組み込み、超過率が15%→5%に改善した。
こんなとき:月末の請求書作成に毎回半日以上かかる
記録データをCSVエクスポートし、請求書テンプレートに流し込む。案件名・工数・単価が自動反映され、転記ミスがなくなる。
例:手作業で集計していたチームが、CSV連携で請求書作成を「半日→15分」に短縮した。
採算管理で使う「時間の記録」。
実はこの同じデータが、組織のさまざまな場面で活きてきます。
時間データは多目的。見方を変えるだけで、各チームの関心に応えられます。
「誰が・いつ・何に・どれだけ」を、部門や職種を問わず同じ粒度で記録できる唯一の単位。
同じ「時間」という単位を持つことで、組織として次のことが可能になります。
単位が同じだから、チームをまたいで比較できる
どこに何時間投下されているかが見渡せる
直接利益につながらない働きも、時間なら可視化できる
「どの工程に・どれだけ」が見えるため、異常の検知と原因特定が1ステップで進みます。
設計工程が見積の1.5倍ペース、と途中で気づく
「設計工程」がそのまま原因の所在を示す
スコープ調整やリソース追加をすぐ判断できる
考え方がわかっても、日常業務で続けるには仕組みが必要です。
時間記録データを活用した実現パターンを、段階別に紹介します。
記録した時間データのCSVをスプレッドシートやExcelに取り込み、既存のフォーマットのまま採算を管理する。
時間データをデータポータル(旧Looker Studio)に接続し、案件別・メンバー別の採算ダッシュボードを構築する。
自社の収益構造や運用フローに合わせた専用ダッシュボードを構築する。KPIアラートや請求書連携にも対応可能。
カスタム構成は、TimeCrowdのサポートオプションとしてご相談いただけます。自社の採算管理にどの構成が合うかわからない場合も、お気軽にお問い合わせください。
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