Excel・自作ツールによる工数管理の限界とは?定着しない原因と解決方法

Excel・自作ツールによる工数管理の限界とは?定着しない原因と解決方法

工数管理をExcelや自作ツールで始める企業は少なくありません。しかし、案件数やメンバー数が増えるにつれて、入力されない、集計に時間がかかる、リアルタイムで状況が分からないといった課題が生じ、運用が続かなくなるケースが多くあります。

一方で、すべての企業がすぐに専用ツールへ移行すべきとは限りません。5名程度のチームであればExcelで十分に回りますし、自作ツールも業務に合っているうちは強力な武器になります。判断が必要なのは、その手段自体がいつ足かせに変わるのかを見極める場面です。

本記事では、Excelと自作ツールそれぞれが抱える限界を分けて整理したうえで、改修を続けるか専用ツールへ移行するかを判断するための材料を解説します。

なお、ツールそのものではなく、メンバーが工数入力の意義に納得していない、入力を忘れてしまうといった運用面が原因の場合もあります。その場合は工数入力が定着しない理由で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

こんな悩みを抱えていませんか?

  • 複数の業務を並行して進めるメンバーが多く、誰が何にどれくらい時間を使っているか把握できていない
  • 経営層から、部署ごとの稼働状況を可視化してほしいと求められている
  • Excelや自作ツールで工数管理を始めたものの、入力されなくなり運用が止まってしまった
  • 社内で作った工数入力ツールを、開発した担当者の異動以降だれも直せていない
  • OutlookやGoogleカレンダーで予定は管理しているが、実際の作業時間までは把握できていない

例えば情報システム部門では、問い合わせ対応、PCキッティング、システム改修、会議など複数の業務を1日の中で行うことが一般的です。このような環境では、終業後にExcelへ30分単位で入力する運用は負担が大きく、継続しにくい傾向があります。

Excel・自作ツールの限界が見えはじめるサイン

手段が限界に近づいているサインは、入力が完全に止まる前から現れます。次のような状況が続いている場合は、Excelや自作ツールで支えられる範囲を超えはじめていると考えられます。

  • 月末や週末にまとめて入力している
  • 一部の社員しか入力していない
  • 管理者だけが更新している
  • 集計作業が担当者任せになっている
  • ダッシュボードがリアルタイムに更新されず、最新状況が分からない

はじめの3つは、工数管理が定着していない状態とも言い換えられます。入力する側の納得感や習慣づけに原因があるケースについては、工数入力が定着しない理由で整理したうえで、工数入力を定着させる方法で対処法を解説しています。

一方、後ろの2つはツール側の問題です。データが集まっていないのではなく、データを使える形にするまでに人手がかかりすぎている状態で、入力する人の意識では解決できません。

自作ツールを使っている場合は、これに加えて直したい点があるのに、改修を依頼できる人の手が空くのを待っているという状況も起こります。いずれの状態が続いても、工数データを分析や業務改善に活用することは難しくなります。

工数管理が「定着しない」とはどのような状態?

Excel・自作ツール・専用ツールの適性を比較する

Excelと自作ツールは、しばしばまとめて語られますが、抱えるリスクの性質は異なります。Excelは手作業の量が課題になるのに対し、自作ツールは保守を担う人が課題になります。両者を分けて整理すると、次のとおりです。

項目 Excel 自作ツール 専用工数管理ツール
向いている規模 5名程度まで 業務が固定された部署単位 10名以上・複数部署
案件数 少ない 開発時に想定した範囲内 複数案件が並行する
集計 手作業で月1回程度 作り込み次第 リアルタイムで確認できる
分析 都度集計が必要 追加開発が必要 稼働率・原価・利益を標準機能で分析
仕様変更への対応 利用者が自分で編集できる 開発担当者への依頼が必要 設定画面から変更できる
保守の担い手 ファイル作成者 開発者(異動・退職のリスクあり) 提供ベンダー
初期コスト ほぼ発生しない 開発工数 初期費用・設定工数
継続コスト 入力と集計にかかる人件費 改修・保守にかかる人件費 月額利用料

チームや案件が増えるほど、Excelは入力・集計の負担が、自作ツールは改修・保守の負担が増えていきます。どちらも導入時点では見えにくく、運用が始まってから効いてくるコストです。

Excelでの工数管理が抱える限界

1. 入力のたびにファイルを開く手間が積み重なる

Excelでの工数入力は、作業を終えるたびにファイルを開き、該当する行を探し、時間を書き込むという手順を踏みます。1回あたりは数十秒でも、1日に何度も発生すれば無視できない負担になります。結果として終業後にまとめて入力する運用になり、記憶を頼りに書くことで精度も落ちていきます。

なお、入力が滞る背景には、ツールの手間だけでなく、工数入力の意義がメンバーに共有されていないという要因も重なります。人や運用の側にある原因については、工数入力が定着しない理由で整理しています。

2. 集計に手作業が入り、状況把握が遅れる

Excelでは、各メンバーのファイルを集めて統合し、集計するまでに人手が必要です。そのため、

  • 今どの案件に工数が集中しているのか
  • 特定の担当者へ業務が偏っていないか

といった状況をリアルタイムで把握することが難しくなります。問題に気づいた頃には、納期遅延や残業増加につながっているケースもあります。

3. 表計算ソフトであって、工数管理のための道具ではない

Excelは表計算ソフトです。一方、工数管理を続けるうえでは

  • 入力のしやすさ
  • リアルタイム集計
  • 案件別分析
  • 部署別集計
  • レポート作成

といった機能が求められます。関数やマクロで近づけることはできますが、作り込むほど修正できる人が限られ、次に述べる自作ツールと同じ課題を抱えることになります。

自作ツールでの工数管理が抱える限界

自作ツールは、自社の業務に合わせて作られている分、導入直後の使い勝手はExcelより優れていることが少なくありません。課題が表面化するのは、作った本人が運用から離れたあとです。

1. 作った人がいなくなると、誰も直せなくなる

自作ツールの多くは、業務の合間に一人の担当者が作り上げたものです。設計書やコメントが残っていないことも多く、その担当者が異動・退職した時点で、中身を把握している人がいなくなります。

この状態になると、動いているうちは使い続けられますが、不具合が出たときに直せません。工数データは給与計算や請求の根拠になっていることもあり、止まった際の影響は小さくありません。

2. 改修依頼が後回しになり、業務の変化に追いつけない

組織変更で部署が増えた、案件の分類を見直したいといった変更は毎年発生します。専用ツールなら設定画面で対応できる内容でも、自作ツールでは開発担当者への依頼が必要です。

依頼先が情報システム部門や開発部門の場合、社外向けのシステム対応が優先され、社内ツールの改修は後回しになりがちです。待っている間、現場は旧来の分類のまま入力を続けるか、手元で読み替えることになり、集計時に整合しなくなります。

3. OSやブラウザの更新に追随し続ける必要がある

自作ツールは作って終わりではありません。OSやブラウザのバージョンアップ、認証方式の変更、社内ネットワークの構成変更などが起きるたびに、動作確認と修正が発生します。

加えて、脆弱性への対応やアクセス権限の見直しも自社の責任範囲です。工数管理そのものではない作業に、継続的に人手を割くことになります。

4. 入力のしやすさへの投資が後回しになる

限られた開発工数の中では、集計機能や管理者向けの画面が優先され、現場の入力体験は後回しになりやすい傾向があります。しかし工数管理が続くかどうかを決めるのは、日々入力するメンバーにとっての負担の少なさです。

専用ツールがカレンダー連携やワンクリック入力、入力漏れの通知といった機能を備えているのは、そこが継続の分かれ目になるためです。自作ツールで同じ水準に近づけようとすると、相応の開発工数が必要になります。

自作ツールを改修すべきか、専用ツールへ移行すべきか

自作ツールを使っている場合、改修費用と月額利用料を並べると、改修のほうが安く見えることがあります。ただし内製を続ける場合のコストは、開発そのものだけではありません。

  • 改修の設計・実装にかかる工数
  • 仕様確認、テスト、リリース作業の工数
  • 不具合が発生した際の調査・対応
  • 後任へ引き継ぐためのドキュメント整備
  • 改修を待っている間、現場が手作業で補う時間

これらを人件費に換算して、年間でいくらかかっているかを出すと、比較の土台がそろいます。例えば年間の改修・保守に12人日、1人日あたりの単価を4万円とすれば、それだけで年間48万円です。ここに現場の待ち時間が加わります。

判断に迷う場合は、次の3点を確認してみてください。

  1. そのツールを今すぐ直せる人が、社内に2人以上いるか
  2. 直近1年で改修依頼が何件発生し、着手までにどれくらい待ったか
  3. そのツールでなければ実現できない、自社固有の要件が本当にあるか

1つ目が該当せず、2つ目で待ち時間が慢性化しており、3つ目に明確な答えがない場合は、内製を続ける理由が薄れてきているサインです。逆に、自社独自の見積ロジックや基幹システムとの密な連携など、置き換えが難しい要件があるなら、その部分だけを残して工数入力を専用ツールへ寄せる方法もあります。

工数管理ツールを導入すると何が変わる?

専用の工数管理ツールでは、入力から分析までを一元化できます。

工数管理ツールを導入すると何が変わる?

主なメリットは以下のとおりです。

  • 入力負荷を抑えられる(タイマー入力やカレンダー連携など)
  • リアルタイムで稼働状況を確認できる
  • 案件別・部門別・メンバー別に集計できる
  • レポート作成を自動化できる
  • 原価管理や利益分析にも活用できる
  • 機能追加や不具合対応をベンダー側が担う

例えば情報システム部門では、

  • 問い合わせ対応
  • PCセットアップ
  • システム保守
  • 社内プロジェクト

といった業務ごとの工数が可視化されることで、問い合わせ対応に時間が偏っていることや、改善すべき業務を把握しやすくなります。

なお、専用ツールへ移行しても、入力する目的がメンバーに伝わっていなければ運用は続きません。導入後に入力率を上げていく進め方は、工数入力を定着させる方法で解説しています。

工数管理ツールを選ぶときのチェックポイント

ツールを比較する際は、次の6点を確認しましょう。

  1. カレンダーやチャットツールなど既存システムと連携できるか
  2. 現場が負担なく入力できる操作性か
  3. リアルタイムで集計・分析できるか
  4. 必要なレポートを出力できるか
  5. Excelや自作ツールに蓄積したデータを取り込めるか
  6. 無料トライアルで運用を試せるか

単に機能数ではなく、現場が継続して使えるかという視点で選ぶことが重要です。自作ツールから移行する場合は、過去データの取り込み可否と、これまで自作ツールで補っていた自社固有の運用を標準機能で代替できるかを、トライアル中に確認しておくと安全です。

よくある質問

Excelだけでも工数管理はできますか?

できます。少人数・案件数が少ない組織ではExcelでも十分運用できる場合があります。ただし、人数や案件が増えるほど入力・集計の負担が増え、専用ツールの方が効率的になるケースが多くあります。

自作ツールに蓄積したデータは移行できますか?

多くの工数管理ツールはCSVでの取り込みに対応しているため、自作ツールからCSVを書き出せれば移行できるケースが一般的です。ただし、案件やメンバーの持ち方がツールごとに異なるため、そのまま流し込めるとは限りません。過去データを移行する目的が集計の継続なのか、分析のための蓄積なのかを整理したうえで、必要な範囲だけを移すのが現実的です。

OutlookやGoogleカレンダーだけでは工数管理できませんか?

予定管理には適していますが、実績工数の集計や案件別分析、稼働率の可視化には限界があります。実績データをリアルタイムで取得したい、継続的に活用したい等の場合は、工数管理ツールとの併用を検討するとよいでしょう。

まとめ

Excelと自作ツールは、いずれも小規模な工数管理には有効な選択肢です。ただし、限界の現れ方は異なります。Excelは入力と集計にかかる手作業が増えていき、自作ツールは保守を担う人がいなくなることで運用が止まります。

自作ツールの改修を続けるかどうかは、改修費用だけでなく、保守・引き継ぎ・待ち時間を含めた年間の人件費で比較すると判断しやすくなります。そのうえで工数管理ツールを選ぶ際は、機能の多さではなく、現場が無理なく入力を続けられるか管理者が必要なデータをリアルタイムで活用できるかという視点が重要です。

まずは自社の運用課題を整理し、工数管理ツール比較表を活用しながら、自社に合った工数管理ツールを検討してみましょう。そのうえで無料トライアルを利用すると、導入後の運用イメージを具体的に確認できます。

工数管理ツールならTimeCrowd

時間管理に特におすすめなのが、工数管理ツール「TimeCrowd」です。

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TimeCrowdを使うことで、各業務に関して誰が・どの業務に・どのくらい時間をかけているのかをリアルタイムで可視化できます。現状の業務量や作業時間の可視化ができ、見積もり精度を高めることもできます。

自作ツールの保守に人手を割いていた企業でも、機能追加や不具合対応をベンダー側が担うため、社内のリソースを本来の業務に戻すことができます。

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また、TimeCrowdで蓄積したデータを活用すれば、工数管理におけるPDCAサイクルを効果的に回すことが可能です。

工数管理ツールTimeCrowdを活用することで、作業時間を可視化しデータに基づいた改善が進められます。ExcelでもTimeCrowdでも、自社の組織フェーズに合った手段を選ぶことが出発点です。それぞれのメリット・デメリットを踏まえたうえで、無理なく続けられる形を選んでいきましょう。

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