本記事では、ビジネスシーンでよく使われる「プロジェクト」という言葉の意味について解説いたします。
また、プロジェクトの“進め方”や“成功に導くポイント”もあわせてご紹介しますので、とくに初めてプロジェクトを担当することになった方は、ぜひ参考にしてください。
プロジェクトとは
プロジェクトとは、目標達成のうえで必要となる業務計画や組織体制のことです。
プロジェクトマネジメントの国際的ガイドブックである「PMBOK」では、下記のように定義されています。
- 独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施される有期的な業務である
この定義から、プロジェクトの特徴は“独自性”と“有機性”の2つにあると考えられます。
独自性
プロジェクトは定型業務(繰り返し行う業務)とは異なり、特定の状況・場所・関係者で行う業務となります。
たとえばECサイトの運営を例に挙げると「数値管理」「商品ページ更新」「お問い合わせ対応」などは定形業務に区分されますが、一方で「サイトリニューアル」「新商品開発」などは特定の状況のみに行うプロジェクトであるといえます。
ただし、定型業務とプロジェクトはまったく異なるものではなく、お互いに関係し合うものです。基本的には、定型業務を行うなかで得た“気づき”をもとに、プロジェクトに落とし込んで実行に移すことが多いでしょう。
有期性
有期性とは、始まりと終わりの時期を明確に定義できることです。
たとえば“夏の新商品”を開発するプロジェクトであれば、数ヶ月前から商品企画や試作に取り組み、夏には店頭に売り出せるように手配しなくてはいけません。
このように、プロジェクトは通年で行われる定型業務とは異なり、特定の目標に向かって、期限を定めて取り組む業務のことを指します。
プロジェクトに関係する用語
プロジェクトを理解するうえでは欠かせない用語について、解説いたします。
タスク
タスクとは、プロジェクトを構成するひとつひとつの業務のことです。すべてのタスクを完了させればプロジェクトは終了となります。
たとえば新商品の開発であれば「市場リサーチ」「商品企画」「試作品開発」「製造」「出荷」などのタスクを洗い出せるでしょう。実際には、これらのタスクはWBSなどのフレームワークを活用して、さらに細かなタスクに分類をして、スケジュール計画を立てることになります。
▼WBSの意味や作成方法については下記記事を参考にしてください
また、さらに細かいタスク(たとえば「上司の確認」「進捗会議」)を管理する際には、タスク管理ツールを活用する企業も多いです。
▼タスク管理ツールについては下記記事を参考にしてください
プロジェクトマネジメント
プロジェクトマネジメントとは、プロジェクトを“高品質”で“期日通り”に進めるための管理のことです。
別名「プロジェクト管理」とも呼ばれます。プロジェクトマネジメントの国際的ガイドブックである「PMBOK」によると、プロジェクトマネジメントには下記10種類の管理項目が必要だと言われています。
- 統合管理:他の管理項目をとりまとめて、プロジェクト全体を統一
- コスト管理:プロジェクトを予算範囲内で完了
- 調達管理:必要な資材やサービスなどを外部から調達
- リスク管理:プロジェクト上のトラブルを予測、対策立案
- スコープ管理:プロジェクトの目標に対し、必要な作業や成果物を決定
- 資源管理:プロジェクトで必要な資源の洗い出しや、調達を管理
- コミュニケーション管理:メンバー間における情報のやり取りを円滑化
- スケジュール管理:プロジェクトの各プロセスを進捗管理
- 品質管理:プロジェクトの工程や成果物の品質確保
- ステークホルダー管理:プロジェクトメンバーや顧客、関係者間の調整
なお、プロジェクトマネジメントを行う人は「プロジェクトマネージャ」と呼ばれるのが一般的です。計画の作成から管理まで、その他にもチームメンバーの状況把握やフォローなど、業務内容は多岐に渡ります。
▼プロジェクトマネジメント(管理)については下記記事も参考にしてください
プロジェクトの進め方
プロジェクトを“高品質”で“期日通り”に進めるためには、下記の手順に従って取り組みましょう。
①プロジェクトのゴールを明確にする
プロジェクトを始める前に、まずはプロジェクトの目標(ゴール)を明確にしましょう。
「いつまでに・何が・どのようになっていれば良いのか」をできるだけ具体的に定めます。たとえば「20☓☓年☓☓月末までに・☓☓システムが・全社員に利用されている」ことなど。
目標が定まらないと、必要となるタスク・人員・費用を算出できないほか、関係者間でプロジェクトについての認識を共有できず、途中でズレが生じてしまいます。プロジェクトを成功させるためには、事前に関係者間での議論を通じて、納得感のある目標を定めましょう。
②計画を策定する
プロジェクトの目標を定めたら、次にスケジュール計画を作成しましょう。
まずはプロジェクトを完了させるために必要なタスクを全て洗い出します。そして、プロジェクトの期日から逆算をして、各タスクの期日を明確にします。
この際に重要なのが“タスクの依存関係”と“メンバーの業務負荷”に配慮すること。たとえば、タスクAが終わらなければタスクBに移れない(ex:商品仕様が決まらなければ製造に移れない)という依存関係のあるものは、スケジュールでわかりやすく記載をします。
また、あまりに厳しい短期スケジュールでは、メンバーの業務負荷が増えて、かえって期日を過ぎてしまう、プロジェクトを完了できないなどのリスクが想定されます。事前にスケジュールが厳しいことを予測できれば「そもそも期日を遅らせてもらう」「予算を増やしてメンバーを増員する」などの対応策を検討しましょう。
スケジュール計画でタスクを洗い出す際には「WBS」を、大枠のスケジュール表を作成する際には「ガントチャート」を活用するのがおすすめです。
▼WBSの作成方法は下記記事を参考にしてください
▼ガントチャートの作成方法は下記記事を参考にしてください
③進捗状況を確認する
プロジェクトが始まったら、定期的な進捗管理が必要となります。
遅れているタスクがあれば確認を行ったり、他のメンバーを増員したりなど、トラブルにはすぐに対応することを心がけましょう。
また、進捗状況は常に可視化をすることで、確認の手間を省けます。AsanaやBacklogなどのITツールを導入すれば、カンバンボードやガントチャートなどの方法でプロジェクト管理を手軽に実現できます。
Asana
出典:Asana
Asana(Asana, Inc.)は、プロジェクトの全体像や進捗状況を簡単に確認できるツールです。
カンバンボード・タスクリスト・タイムライン・カレンダーなどの各種方法で、プロジェクトの状況を管理できます。
目標に対するタスクの進捗状況や、各メンバーの業務負荷をリアルタイムで確認できるため、プロジェクトマネージャの管理負担を削減することが可能です。
Slack・Teams・Gmailなど、200種類以上の外部ツールと連携もできます。社内で利用しているツールと連携すれば、プロジェクトマネジメントをさらに効率的に行えるでしょう。
■料金プラン
- Basicコース:無料(15ユーザーまで)
- Premiumコース:1ユーザーあたり¥1,200/月 ※年間払いの場合
- Businessコース:1ユーザーあたり¥2,700/月 ※年間払いの場合
Backlog
出典:Backlog
Backlog(株式会社ヌーラボ)は、日本国内で開発されたプロジェクト管理ツールです。Web制作会社やソフトウェア開発会社など、プロジェクト型業務に取り組む企業を中心に導入されています。
カンバンボードやガントチャートを用いたプロジェクト管理はもちろん、バグ管理システムやバージョン管理システムにも対応しています。
シンプルで直感的に操作できる点が特徴で、チームメンバーに負担をかけることなく運用できるでしょう。
■料金プラン
- スタータープラン:¥2,640/月(30人まで)
- スタンダードプラン:¥12,980/月(人数無制限)
- プレミアムプラン:¥21,780/月(人数無制限)
- プラチナプラン:55,000/月(人数無制限)
※30日無料トライアル可能
▼プロジェクトマネジメントに役立つツールは下記記事も参考にしてください
④プロジェクトを振り返る
プロジェクトが終わったら、振り返りを行いましょう。
このときに重要なのは、チームメンバー(関係者)も含めて振り返りを行うこと。
仮にプロジェクトが成功した場合でも、現場のタスク進行レベルでは、何か失敗したことや課題点が挙げられるはずです。たとえ小さなことでも次に活かせることであれば、積極的にヒアリングをしておきましょう。
プロジェクトを成功に導くポイント
プロジェクトは、計画通りに進めるだけではうまくいきません。ここではプロジェクトマネジメントには欠かせないポイントについて解説をしていきます。
あらかじめリスクを洗い出す
想定できるリスクと対応策は全て洗い出しておきましょう。メンバーの離脱・タスクの遅延・仕様変更など、とくにスケジュールに大きく影響を与えるものは、事前に想定をしておくのが安全です。
また、仮にトラブルが発生しても動じないように、スケジュールにバッファ(余裕)を設けておくと良いでしょう。
定期的に会議をひらく
プロジェクトマネジメントでは、進捗状況をメールで逐一確認していては時間がかかってしまいます。効率的に進めるためには、先程ご紹介したようなITツールの活用がおすすめです。
ただし、ITツールで進捗状況を可視化しても、実際には進捗が進んでいなかったり、想定外のトラブルが発生していたりなど、管理側では確認できない問題が生じてしまいがちです。
そのため、ITツールに頼り切るのではなく、定期的に会議をひらいて、進捗状況やメンバーが抱えるトラブルなどを、こまめに確認するのが良いでしょう。
チーム一丸で取り組む雰囲気をつくる
チーム一丸で取り組む雰囲気は、プロジェクトの成功には欠かせません。チームメンバーの当事者意識を高めれば、全体の生産性が高くなり、タスクを期日内に終わらせるようになります。
そのためには、下記3つのポイントを意識してください。
- プロジェクトの指針を明確にする
- メンバーごとの役割を明確にする
- コミュニケーションを積極的に取る
雰囲気は作られるものではなく、作るものです。プロジェクトマネージャの力量に左右されるものなので、十分に意識をして取り組むようにしましょう。
プロジェクトごとに「採算」を意識する
プロジェクトは、ただ“高品質”で“期日通り”に目標を達成するだけでは不十分です。多くの場合、ビジネスでは利益を上げられるかが重要になります。
つまり「投資コストに対して売上が上回っているのか」を確認しなければいけません。
これは、一般的に「採算管理」と呼ばれるものです。とくに労働集約型のビジネス(コンサルティング・デザイン制作・システム開発など)の現場では、コストのうち人件費が大きな割合を占めるため、その把握が欠かせません。
しかし、採算管理をエクセルで行っている場合が多く、実際には「稼働時間を正確に計測できず、人件費を算出できていない」と悩まれている企業様が多いでしょう。
そこで、おすすめしたいツールがTimeCrowdです。メンバーがタスクの開始時・終了時にワンクリックで打刻をするだけで、プロジェクトごとの人件費を自動で算出できます。
レポート画面からは人件費のほかにも「どのタスクに、どれくらい時間(人件費)をかけたのか」をリアルタイムで確認することが可能です。プロジェクト別の売上高と照らし合わせることで、採算管理を「正確に」「簡単に」行えるでしょう。
最初の2週間は無料でお試しいただけるので、少しでも興味を持ってくださった企業様は下記資料から詳細をご確認ください。
時間管理ツール「TimeCrowd」の資料をダウンロード▼採算管理については下記記事も参考にしてください。
まとめ
プロジェクトとは、目標達成をするための業務計画や組織体制のこと。定型業務とは異なり、独自性と有期性という特徴を併せ持ちます。
限られた期日内に、高品質なアウトプットをすることが求められるので、スケジュール管理が欠かせません。本記事でご紹介したように、プロジェクトマネジメントに役立つツールを積極的に活用するようにしましょう。