プロジェクトを成功に導くためには、適切に工数を把握して管理することが求められます。
しかし、工数入力の作業はメンバーに負担がかかるほか、適切にステータスが更新されない・誤った情報が入力されてしまうといったことも少なくありません。
そのため、工数管理の担当者は事前に入力のルールやフォーマットを明確に定めておく必要があります。正しい運用ができているのか、定期的に振り返りの場を設けることも重要です。
本記事では、工数管理に取り組む担当者に向けて、事前準備・運用方法・振り返りのやり方について解説いたします。
▼工数管理に取り組む目的やメリットについて知りたい方は、まず初めに下記の記事を参考にしてみてください
工数管理のやり方
工数管理は「準備→運用→振り返り」といった順番で取り組みます。
まずは「誰が・いつ・どこで・どのように工数を管理するのか」について取り決めます。工数管理は入力が形骸化することで失敗してしまうケースが多いため、事前準備は念入りに行う必要があります。
そして、実際に運用する段階になったタイミングで、チームメンバーに工数データを入力してもらい、管理者が定期的に集計をしてグラフで可視化をします。
プロジェクトの途中や終了した段階で振り返りを行って「想定工数と差分はないか」「(差分がある場合には)何が原因なのか」について確認をします。
このように、工数管理に取り組む場合には決められた手順があり、一つひとつ丁寧に取り組む必要があります。それぞれの段階で具体的に取り組むべきことについては、次の見出しから解説いたします。
①工数管理の準備
工数管理に取り組む際には、入念な事前準備が欠かせません。
工数管理の準備のやり方について解説いたします。
- 責任者を決定する
- 工数表を作成する
- 工数管理ツールを導入する
- 入力のルールや枠組みを決定する
責任者を決定する
工数管理に取り組む事前準備として、まず最初に行うべきは「責任者を決めること」です。
一般的には、プロジェクトマネージャー(PM)やプロジェクトディレクターの方が、工数管理の責任者を担当することになります。責任者が行う業務は、プロジェクトを完遂するために必要な工数を算出して、人員を管理したり、スケジュールを調整したりすることです。
しかし多くの企業では、そもそも適切な工数データが入力されず、管理自体が形骸化してしまっているというのが実情です。
工数管理の責任者は「なぜ工数管理がプロジェクトの遂行において重要なのか」を理解しておく必要があります。工数管理に取り組むことで、プロジェクトごとにかかった時間(=人件費)を算出して、プロジェクトごとの収支管理に役立てることができます。
もし必要以上に時間がかかっているプロジェクトがあれば、業務を改善したり、プロジェクトから撤退をしたりなど、赤字を防ぐための適切な判断ができるようになります。
▼工数管理に取り組むメリットについては、あわせて下記記事も参考にしてみてください
工数表を作成する
責任者が決定したら、次は「工数管理表」を作成します。
工数管理表とは、プロジェクトの目標を達成するまでに必要なタスク・作業量・コスト・担当者・業務プロセスなどを、スケジュールとともに管理する表のことです。
実際のプロジェクトでは、タスクの抜け漏れや遅延が発生していないかを、工数管理表と付き合わせて逐一チェックしながら進めていきます。
スケジュールはメンバーのスキルや経験によって大きく左右されるため、責任者はチームメンバーが保有するスキルや経験の有無などをあらかじめ把握しておく必要があるでしょう。
工数管理表を作成する際には、以下のポイントを重視します。
- 管理のしやすさ、入力のしやすさを重視する
- スケジュールに余裕を持たせる
- 進捗会議や情報共有のコミュニケーションコストを想定する
- 工数管理表だけにこだわりすぎない
入力に手間がかかる工数管理表を作ってしまうと、入力作業が定着しなくなる可能性があります。管理・入力がしやすいツールやフォーマットを使うのが理想的です。
プロジェクトの途中では、想定外のトラブルやメンバーの体調不良などでタスクの進捗が遅延してしまうことも考えられます。タイトなスケジュール設定は避けて、余裕を持った計画を設定しましょう。
また、工数管理表だけでは見えない現場の声にも耳を傾けることが重要です。日報や日々のコミュニケーションでメンバーの声を拾い上げて「行き詰まっているタスクはないか」や「プロジェクトで進めづらい部分はないか」などを確認するようにしましょう。
「工数管理表をゼロから作成するのは大変…」という方は、下記のエクセルテンプレートをご活用ください。コピーをしてそのままご利用いただけます。
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工数管理ツールを導入する
エクセルでの工数管理は、実工数をリアルタイムで把握するのが難しいという課題があります。また、メンバーが工数データの入力を負担に感じてしまい、入力作業が形骸化して、正確に工数を管理できなくなる恐れがあります。
管理自体が負担になってしまわないように、入力のやり方や運用方法を工夫することが求められます。
小規模のプロジェクトであればエクセルやGoogleスプレッドシートで管理することも可能ですが、中〜大規模のプロジェクトであれば運用の観点から工数管理ツールの導入がおすすめです。
工数管理ツールは、以下のような基準で選定します。
- 簡単に工数入力ができるか
- レポート・分析画面が豊富かつ見やすいか
- 工数管理以外で必要な機能は備わっているか(勤怠管理や原価計算など)
- 予算に合っているか
- トライアルや無料プランがあるか
▼工数管理ツールの選び方については、下記の記事でも解説していますので、あわせてご確認ください
操作性がシンプルで、管理に負担のかからないツールを探している方にはTimeCorwdがおすすめです。「どのタスクに・どれくらい時間をかけたのか」を記録することに特化した工数管理ツールです。
タスクの開始時と終了時に打刻をするだけで、プロジェクトごとの作業時間を記録することができます。また、この打刻作業はGoogleカレンダーやOutlookカレンダーと連携をすれば自動化することも可能です。
TimeCrowdは、業種業界や会社規模を問わずに全国4,000社以上の企業で導入いただいています。
▼実際にTimeCrowdを導入いただいている企業様の事例は下記記事でご覧ください
サービスの機能や料金プランについて、詳細が気になる方はぜひ下記資料よりご確認ください。
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運用上のルールを決定する
工数管理のために、せっかくエクセルやITツールを導入しても、実際に運用がされていなければ意味がありません。「いつ・誰が・何を入力するのか」といった、運用上のルールを事前に共有しておくことが重要です。
例えば、下記のようなルールを設定して運用します。
- 入力者:タスク担当者
- 入力場所:スプレッドシート
- 入力タイミング:1日の業務終了前
- 入力内容:タスク名とタスクの所要時間
- 入力内容チェック:タスク担当者の上長
また、工数管理の担当者は「メンバーが工数入力をしているか」を定期的に確認するようにしましょう。工数管理が形骸化しないように、朝礼や夕礼でリマインドをしている企業様もいらっしゃいます。
②工数管理の運用
ここからは、実際にチームで工数管理を運用していく方法について解説します。
チームメンバーに工数を入力してもらう
プロジェクトが開始したら、準備段階で決めたやり方に従って、各メンバーが工数管理表に日々のデータを入力していきます。
この際に大切なのが「入力されたデータが適切かどうか」を見極めることです。実際の工数と工数管理表のデータに乖離が生まれてしまうと、予想していたコストを超過したり、プロジェクトの遅延を招いたりする可能性があります。
工数管理の担当者は「各メンバーが正しく工数データを記入しているか」「想定していた稼働時間(人件費)と実際の進捗状況に差異はないか」などを日々チェックするようにしましょう。
工数データを集計して可視化する
プロジェクトがある程度進んだタイミング、もしくは終了したタイミングで、メンバーが記入した工数データを集計して、全員で確認できるようにレポート形式で可視化をします。
各メンバーがチーム全体の状況を把握することで「自分の働きぶりがどれくらいなのか」「いま自分にはどのような動きが求められているのか」など、主体的な意識をもって働くきっかけにつながります。
③工数管理の振り返り
プロジェクトの終了後に振り返りを実施することで、次回のプロジェクトに活かせるアイデアを見つけ出せます。
振り返りは、下記のポイントで行いましょう。
- 予定工数と実績を比較する
- 差分の原因を特定する
- 改善策の立案と実行する
予定工数と実績を比較する
当初に予定していた工数と実際の工数を比較することで「どれくらい差分があったのか」「何の作業で差分が生じたのか」といったことが見えてきます。
予定工数と実績を比較することで、改善すべき箇所を特定しやすくなります。また、プロジェクトの終了後だけでなく、進行中にも予定と実績を比較することで、迅速な改善や軌道修正ができるため、プロジェクトの大幅な遅延や予算オーバーを防ぐのに役立ちます。
差分の原因を特定する
プロジェクトごと・チームごと・個人ごとなど、さまざま観点から工数データを分析して、想定と実績に大きな差分が生じている場合には、その原因を特定します。
具体的には、プロジェクトAのタスクBで想定以上の工数が発生していた際に「誰が担当していたのか」「なぜ工数がかかってしまったのか」を把握するところまで行います。
ひとつひとつの問題を紐解き、原因を特定していくことで、次回のプロジェクトでは問題の発生を事前に防ぐことができるでしょう。
改善策の立案と実行
工数の差分となる原因が特定できたら、改善策の立案と実行を行います。
【改善策立案の例】
- プロジェクト開始前に想定していた期間:1ヶ月
- 実際にかかった期間:1ヶ月半
- 改善策:次回のプロジェクトは1ヶ月半分の工数を想定する、メンバーを増員する、経験豊富なメンバーを担当にする
なお、プロジェクトに対する課題と改善策は、組織で共有するのがおすすめです。
類似する課題は別のプロジェクトでも起こりうるため、組織全体で課題に対して取り組むことで、業務改善のノウハウを蓄積して全体の生産性向上が期待できます。
「TimeCrowd」を導入して、効率よく工数管理に取り組もう
工数管理に取り組む際には、入力や運用のやり方を事前に決めておき、正確に工数を把握できる工夫をする必要があります。
ただし、工数管理に取り組むこと自体に時間をかけてしまうのは非常に勿体ないことです。できるだけ管理工数を抑えたうえで、シンプルに運用する必要があります。
国内4,000社以上の企業に導入実績のある工数管理ツール「TimeCrowd」は、タスク名を登録して、スタート・ストップボタンを押すだけのシンプルな操作性が特徴です。
「誰が・いつ・何のタスク」に取り組んでいるのかをリアルタイムで確認できるため、管理者はメンバーのタスク漏れやプロジェクトスケジュールの遅延にいち早く気がつくことができます。また「どの業務に・どれくらい時間をかけたのか」を確認できるため、想定以上に工数が発生した場合には、その原因を特定して、次回のプロジェクトに役立てることができます。
メンバーごとに時間単価を入力できるため、コスト(人件費)計算がしやすく、プロジェクトの収支管理にも役立ちます。
最初の2週間は無料でご利用いただけるため、少しでもご興味のある方は下記のサービス資料より詳細な機能や料金プランをご確認ください。
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