損益分岐点とは?計算式と売上高の求め方【受託・サービス業】

月にいくら売り上げれば赤字にならないのか。この問いに数字で答えられる状態をつくるのが損益分岐点です。

ただ、計算式を調べて自社に当てはめようとすると、多くの場合そこで止まります。固定費と変動費に分けるところで手が止まるからです。特に、在庫も仕入もなく、コストの大半が人件費という会社では、解説記事に出てくる例がそのまま使えません。

この記事では、損益分岐点の基本的な計算式と売上高の求め方を押さえたうえで、人件費が最大のコストになる受託・サービス業でどう当てはめるかまで解説します。

損益分岐点とは?利益がゼロになる売上高のこと

損益分岐点とは、売上高と費用が等しくなり、利益がちょうどゼロになる点のことです。この売上高を損益分岐点売上高と呼びます。

売上がこのラインを超えれば黒字、下回れば赤字になります。英語ではBreak-even Point、略してBEPと表記されることもあります。

受託開発の平均は、すでに損益分岐点を割っている

日本政策金融公庫の小企業の経営指標調査(2025年度調査)によると、受託開発ソフトウェア業の損益分岐点比率は平均104.6%でした(n=607)。損益分岐点比率は、実際の売上高に対して損益分岐点売上高がどの位置にあるかを示す指標で、100%を超えていればその時点で赤字です。中央値でも99.1%と、ほぼ分岐点ちょうどの水準にあります。

ただし、黒字かつ自己資本がプラスの企業に限ると平均91.8%まで下がります。同じ業種のなかでも、分岐点との距離ははっきり分かれています。

自社がどちら側にいるのかは、計算してみないと分かりません。中小企業庁の2021年版中小企業白書では、損益分岐点売上高を計算している中小企業は77.2%、計算していない企業は22.8%でした(n=6,036)。同じ調査では、計算している企業の損益分岐点比率の中央値が85.0%、計算していない企業が87.0%という差も出ています(n=3,722/n=1,060)。

なお、損益分岐点で扱う利益は、売上高から変動費と固定費を差し引いた営業利益に近い考え方です。営業外の損益は含まないため、経常利益や当期純利益とは一致しません。

損益分岐点の計算に必要な5つの用語 — 限界利益率とは

計算式に入る前に、登場する用語を整理しておきます。ここを曖昧にしたまま計算すると、出てきた数字を信じられなくなります。

固定費

売上の増減にかかわらず、一定額かかる費用です。家賃、正社員の給与、役員報酬、システムの月額利用料、減価償却費などが該当します。

変動費

売上に比例して増減する費用です。製造業なら材料費や仕入原価、受託業なら外注費や協力会社への支払いが代表的です。

変動費率

売上高に占める変動費の割合です。

変動費率 = 変動費 ÷ 売上高

限界利益

売上高から変動費を差し引いた利益です。固定費を回収するための原資にあたります。

限界利益 = 売上高 - 変動費

粗利(売上総利益)と混同しやすい指標ですが、引くものが違います。粗利は売上原価を引くのに対し、限界利益は変動費を引きます。人件費を売上原価に含めている会社では、粗利と限界利益は一致しません。

なお、限界利益からその事業や案件だけにかかる固定費(直接固定費)を差し引いたものは貢献利益と呼ばれます。事業部や案件を継続するかどうかを判断する場面で使われる指標です。

限界利益率

売上高に占める限界利益の割合です。

限界利益率 = 限界利益 ÷ 売上高 = 1 - 変動費率

この限界利益率が、損益分岐点の計算で中心的な役割を果たします。

損益分岐点売上高の計算式と求め方【受託開発会社の計算例】

損益分岐点売上高は、固定費を限界利益率で割って求めます。

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率
         = 固定費 ÷(1 - 変動費率)

商品を売る事業の場合は、販売数量ベースで求めることもできます。

損益分岐点の販売数量 = 固定費 ÷ 1個あたりの限界利益

計算例:エンジニア5名の受託開発会社

解説記事でよく見かける「1個1万円の商品を仕入3,000円で売る」という例は、在庫を持たない会社には当てはめにくいので、受託開発会社の例で計算してみます。

  • エンジニア5名の体制
  • 月の固定費(給与・役員報酬・家賃・ツール利用料など):500万円
  • 変動費は外注費のみで、売上に対して30%(変動費率0.3)

限界利益率は 1 - 0.3 = 0.7 です。ここから損益分岐点売上高を求めます。

500万円 ÷ 0.7 = 約714万円

月714万円が分岐点になります。検算すると、売上714万円に対して変動費が214万円、限界利益が500万円。ここから固定費500万円を引いて利益ゼロと、計算が合います。

損益分岐点売上高714万円の内訳。変動費214万円と限界利益500万円に分かれ、限界利益は固定費500万円と同額で利益ゼロ

この会社が月700万円の売上で着地した月は、感覚としては悪くない数字でも、実際にはわずかに赤字ということになります。

損益分岐点グラフの見方とExcelでの作り方

損益分岐点は、グラフにすると理解しやすくなります。横軸に売上高、縦軸に金額を取り、次の3本を引きます。

  • 売上高の線(原点から右上がりの45度線)
  • 変動費の線(原点から、傾きが変動費率の線)
  • 総費用の線(変動費の線を固定費の分だけ上に平行移動した線)

売上高の線と総費用の線が交わる点が損益分岐点です。交点より右側の売上高と総費用の差が利益、左側の差が損失にあたります。

損益分岐点グラフ。固定費500万円・変動費率30%の受託開発会社では、売上高の線と総費用の線が交わる損益分岐点は売上高714万円

Excelで作る場合は、まず売上高を0から一定間隔で並べた列を用意します。各売上高に対する変動費(売上高×変動費率)と総費用(変動費+固定費)を計算し、散布図または折れ線グラフで描けば再現できます。

なお、こうした費用(Cost)・売上(Volume)・利益(Profit)の関係を分析する手法は、頭文字を取ってCVP分析と呼ばれます。損益分岐点分析はCVP分析の一部という位置づけです。

固定費と変動費を自社の数字で埋めていく段階では、金額を書き出せるフォーマットがあると進めやすくなります。

損益分岐点比率と安全余裕率 — 業種別・規模別の目安

損益分岐点売上高そのものは金額なので、規模の違う会社と比べられません。比べられる形にしたのが損益分岐点比率です。

損益分岐点比率 = 損益分岐点売上高 ÷ 実際の売上高 × 100

比率が低いほど、売上が落ちても赤字になりにくい状態を示します。100%を超えていれば、その時点で赤字です。

裏返しの指標が安全余裕率で、100%から損益分岐点比率を引いた値になります。損益分岐点比率が90%なら安全余裕率は10%で、売上が10%落ちると赤字に転じる計算です。

業種別の目安

中小企業庁の2021年版中小企業白書には、中規模企業の業種別の損益分岐点比率が掲載されています(2019年度、原資料は財務省「法人企業統計調査年報」)。

業種 損益分岐点比率
宿泊業、飲食サービス業 97.5%
運輸業、郵便業 91.1%
情報通信業 88.5%
小売業 88.4%
製造業 85.1%
全産業(除く金融保険業) 85.1%
卸売業 80.9%
建設業 78.2%

業種別の損益分岐点比率。中規模企業は宿泊・飲食97.5%から建設業78.2%。別調査の小企業・受託開発ソフトウェア業は104.6%で100%を超える

規模別の目安

同じ白書には規模別の数字もあります(2019年度)。大企業60.0%、中規模企業85.1%、小規模企業92.7%と、規模が小さいほど比率が高くなっています。小規模企業は平均で、売上が7%強落ちると赤字圏に入る水準です。

冒頭で触れた受託開発ソフトウェア業の104.6%と並べると、規模が小さいほど分岐点比率が高くなる傾向がはっきりします。なお公庫の同じ調査では、受託開発ソフトウェア業の人件費対売上高比率は45.7%でした。売上の半分近くが人件費という費用構造です。

受託業の比率が高止まりしやすい理由

損益分岐点比率は、式を整理すると 固定費 ÷ 限界利益 になります。稼いだ限界利益のうち、どれだけを固定費が食べたかを表す指標です。

人が主な生産手段である業種では、人件費という固定費を先に抱えたうえで売上をつくります。仕入や外注に置き換えられる部分が少ないほど費用は固定費側に寄るため、同じ利益率でも比率は高く出ます。

ただし、構造的にそうなるのだから気にしなくてよい、という話ではありません。比率が高いことは、売上が少し落ちただけで利益が大きく振れるという意味でもあります。だからこそ、固定費と変動費をどう分けたのかが、この数字の意味を左右します。

目標利益を達成するための売上高の求め方

損益分岐点は利益ゼロのラインなので、実務ではその先を知りたくなります。目標利益を上乗せした売上高は、固定費に目標利益を足して計算します。

目標利益達成売上高 =(固定費 + 目標利益)÷ 限界利益率

先ほどの受託開発会社(固定費500万円、限界利益率0.7)が月100万円の利益を目指すなら、(500万円+100万円)÷ 0.7 = 約857万円が目標になります。損益分岐点714万円との差143万円が、利益100万円を出すために必要な上積みです。

限界利益率が0.7なので、利益を100万円増やすには売上を約143万円増やす必要がある。この関係が見えると、売上目標の置き方が変わります。

固定費と変動費の分け方 — 教科書が受託業で通用しない理由

ここまでの計算は、固定費と変動費が分かれている前提で進めてきました。実際に手が止まるのは、この分解の部分です。

一般的な分け方としては、勘定科目ごとに固定費か変動費かを割り振る勘定科目法と、過去の売上と費用の相関から推計する回帰分析法(最小二乗法)が知られています。ただし、どちらの方法を採っても、人件費をどちらに入れるかという判断は残ります。

教科書が変動費の代表に挙げるものが、そもそも存在しない

解説記事で変動費の代表例として挙がるのは、材料費と仕入原価です。ところが、情報サービス業ではこの費目がほとんど存在しません。

情報サービス産業協会の2024年版 情報サービス産業 基本統計調査を見ると、売上高に対する各費目の比率の中央値は次のとおりです。調査対象はJISA正会員471社で、うち300社が回答しています(2023年度単独決算)。

費目 売上高に対する比率(中央値)
人件費 37.67%
外注費 27.16%
材料費 1.43%

人件費が約38%、外注費が約27%という水準に対して、材料費は1.43%にとどまります。同調査では、材料費率が1%未満の企業が300社中109社ありました。

情報サービス業の売上高に対する費目の比率(中央値)。人件費37.67%・外注費27.16%に対して、材料費は1.43%

変動費の代表例として材料費を挙げる説明は、材料費がほぼ発生しない業種にはそのまま当てはまりません。この業種で費用構造の中心にあるのは、人件費と外注費です。

公的統計でも人件費は固定費に入っている

先ほど紹介した中小企業白書の損益分岐点比率も、固定費を「人件費+減価償却費+営業外費用-営業外収益」、変動費を「売上高-経常利益-固定費」として算出しています。統計上の扱いとしては、人件費は固定費です。

一方で、実務の感覚とはずれることがあります。案件が増えれば人を増やし、減れば外注を絞る会社では、人件費は売上に連動して動いているように見えるためです。実際、直接プロジェクトに投入した労務費を変動費とみなす考え方もあります。

判断の軸は、案件に直接紐づく時間かどうか

会計上どちらが正しいかは、事業の実態や目的によって判断が分かれる部分で、税務・会計上の取り扱いは専門家に確認するのが確実です。そのうえで、社内で意思決定に使う数字として分けるなら、案件に直接紐づく時間かどうかを軸にする方法があります。

  • 案件に直接投入した時間の人件費 → 変動費に近い扱い
  • 営業、社内会議、採用、管理業務などの時間の人件費 → 固定費

この分け方をするには、誰がどの案件に何時間使ったかのデータが必要になります。給与総額を眺めているだけでは、この線は引けません。

人件費が費用構造のどのくらいを占めているかを先に押さえておくと、固変分解の判断もしやすくなります。

計算の前に — 固定費と変動費のデータはどこから集めるか

固変分解の方針が決まっても、次に必要なのは実際の数字です。ここで、どこから引いてくるかという問題が出てきます。

費目ごとに、データの所在は分かれます。

費用 データの所在
固定費(給与・役員報酬) 給与台帳
固定費(家賃・システム利用料など) 固定契約の支払記録
変動費(外注費) 外注先からの請求書
案件別に配賦する人件費 工数の記録

最後の1行だけ、性質が違います。給与台帳には月にいくら払ったかは載っていますが、その人がどの案件に何時間使ったかは載っていません。会計ソフトに入っているのは仕訳後のデータで、金額は正確でも、時間の内訳は残らないためです。

全社の損益分岐点を出すだけなら、給与総額を固定費に入れて計算できます。ただし、案件別や事業部別で損益分岐点を見ようとした途端、人件費をどう割り振るかという問題に突き当たります。工数の記録がなければ、頭数で割るか、感覚で配分するしかありません。

記録の粒度が計算の精度を決める

工数を記録する方法としては、日報やスプレッドシートへの後追い入力もあります。ただし、思い出して書く方式では、実際の時間との差が出やすくなります。

TimeCrowdのように作業の開始と終了をその場で打刻するツールを使うと、案件ごとの投入時間が実績として残ります。メンバーごとに時間単価を設定しておけば、記録した時間がそのまま人件費の金額に換算されるため、案件別の原価を出す土台になります。

損益分岐点を「時間」で見る — 損益分岐人時の求め方

損益分岐点売上高が714万円と分かっても、現場のメンバーが動かせるのは売上高ではありません。動かせるのは時間です。そこで、分岐点を時間に置き換えてみます。

自社が請求すべき時間 =(損益分岐点売上高 - 外注費)÷ 平均時間単価

計算例:時間に置き換えると何が見えるか

先ほどの受託開発会社(エンジニア5名、損益分岐点売上高714万円)で考えます。

売上714万円のうち、214万円は外注費として協力会社に支払われる分です。残る500万円が、自社メンバーの時間で生み出す売上にあたります。

平均時間単価を1万円とすると、自社が請求すべき時間は次のようになります。

500万円 ÷ 1万円 = 500時間

では、5名で500時間は現実的な数字でしょうか。情報サービス産業協会の同調査によると、所定内実労働時間は年間1,743時間です。月あたりに直すと約145時間、5名では約726時間になります。

必要な請求時間500時間に対して、働ける時間が726時間。必要な稼働率は約69%になります。

エンジニア5名の月726時間のうち、損益分岐点に必要な請求時間は500時間。必要な稼働率は69%で、残り226時間が非請求業務に使える時間

一見、余裕のある数字に見えます。ただしこれは、請求できない時間が3割を超えた時点で赤字になるという意味でもあります。営業、社内会議、採用、見積作成、請求業務。これらを合わせて3割に収めるのは、緩い条件ではありません。仮に稼働率が60%まで落ちると、自社が生む売上は436万円で、必要な500万円を大きく下回ります。

分岐点に届かない理由が、時間の側から見える

この計算をすると、売上が足りない理由の見え方が変わります。案件が取れていないのか、単価が低いのか、それとも請求できない時間が多すぎるのか。それぞれ打ち手が違います。

稼働率は、請求可能時間を総労働時間で割って求めます。TimeCrowdでは、記録した時間を案件に紐づく業務とそれ以外に分けて集計できるため、この比率を実績から出せます。

時間の使い方を見直して利益を伸ばした事例があります。ヴァンテージIT株式会社は、記録したデータをもとに時間配分を組み替えました。その結果が、利益ベースで約400万円/月(1人あたり約60万円/月)の成長です。同社のWEBマーケティング事業部の責任者は、次のように話しています。

具体的には「広告クリエイティブの作成に多くの時間をかけたほうが、より高い成果を期待できる」という仮説のもと、クリエイティブの作成量を従来の約10倍まで増加させる方針で進めました。結果として、顧客のトップライン拡大と自社の利益向上に繋げられたことに大きな成果を感じています。

人員を増やしたわけではなく、同じ固定費のまま時間の配分を変えた結果である点が、損益分岐点の観点では重要です。

損益分岐点を下げる4つの方法

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率という式を見ると、分岐点そのものを下げる方法は2つです。固定費を下げるか、限界利益率を上げるか。これに、分岐点は変えずに売上を分岐点の上へ押し上げる方法を加えると、打ち手は次の4つに整理できます。

①単価を上げる

売上が増えても変動費が同じ割合で増えなければ、限界利益率が上がります。値上げは、限界利益率にそのまま効く打ち手です。

限界利益率が0.7から0.75に上がると、固定費500万円に対する損益分岐点は714万円から667万円に下がります。47万円分、赤字までの余裕が増える計算です。

ただし、根拠のない値上げは通りません。SORA株式会社では、稼働時間のデータをもとに請求金額を見直しています。同社の代表取締役は、導入前の状況をこう振り返っています。

しかし稼働時間に対するデータが存在しないため、正確な分析ができず、なかには「稼働時間に対して請求金額が少ない」という案件も多々ありました。

見直しの結果、導入前後で売上は20%ほど増加したとしています。同社は顧客数の増加など他の要因もあるとしたうえで、稼働時間に対して適切な請求を行えたことが売上のボトムアップにつながったと述べています。

②変動費を下げる

受託業の変動費は外注費が中心です。外注比率そのものを見直す、内製と外注の切り分けを変える、外注先の選定基準を見直すといった打ち手があります。変動費率が下がれば限界利益率が上がり、分岐点も下がります。

③固定費を下げる

分子を直接小さくする方法です。オフィス、システム利用料、使っていないサブスクリプションなど、売上と連動しない費用が対象になります。ただし人件費の削減は生産能力そのものを削ることになるため、分岐点は下がっても売上の上限まで下がる点に注意が必要です。

④請求できる時間を増やす

これだけは分岐点を下げる打ち手ではなく、分岐点を超えるための打ち手です。前のセクションで見たとおり、人が生産手段の会社では、請求可能時間が売上の上限を決めます。人を増やさずに請求可能時間を増やすには、請求につながっていない時間を減らすことになります。

社内会議、手戻り、報告資料の作成といった時間の中に、削れるものと削れないものがあります。何にどれだけ使っているかが分かって初めて、判断ができます。

ここで挙げた4つは、公式のどの項に効くかという整理です。それぞれの具体的な進め方は、採算改善の観点でまとまった記事があります。

全社の損益分岐点では足りない — 案件単位で見る

ここまでは全社の損益分岐点を扱ってきました。ただ、全社の数字は月次でしか動かず、現場の判断には使いにくい面があります。

全社が黒字でも、その内訳には利益率の高い案件と赤字の案件が混在していることがあります。会社全体の収支は管理していても、案件ごとの収支までは追えていないというケースは珍しくありません。どの案件が赤字なのか分からない状態では、見直しの対象を決められません。

案件単位で見ると、損益分岐点の問いも変わります。いくら売り上げれば黒字かではなく、この案件は何時間で終われば黒字かという問いになります。受注時に金額が決まっている案件では、コントロールできるのは投入する時間だけだからです。

案件ごとの損益分岐点の計算方法や、進行中にラインを超えそうかを判断する方法は、別の記事で詳しく扱っています。

まとめ:損益分岐点は、時間に翻訳して初めて動かせる

損益分岐点の計算式そのものはシンプルです。固定費を限界利益率で割る。それだけです。

難しいのは、その手前にあります。

  • 固定費と変動費に分ける — 人件費をどう扱うかで数字が変わる
  • 分解に使うデータを集める — 案件別の人件費は工数の記録からしか作れない
  • 出た数字を打ち手につなげる — 売上高のままでは現場が動かせないので、時間に置き換える

特に、人が主な生産手段である会社では、損益分岐点売上高から外注分を引き、平均時間単価で割って必要な請求時間を出すところまでやると、達成可能な水準なのかが判断できます。稼働率まで含めて計算すると、案件を増やすべきなのか、単価を上げるべきなのか、請求できない時間を減らすべきなのかが見えてきます。

収益構造ごとに見るべき指標や打ち手をまとめた資料もあります。

案件ごとの投入時間を実績で記録するところから始めたい場合は、TimeCrowdの利用もご検討ください。誰がどの案件に何時間使ったかを打刻で記録し、時間単価と掛け合わせて人件費に換算できます。損益分岐点の計算に必要な、案件別の原価データをつくる土台になります。

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