「デザイナーの工数を可視化して、業務の効率化を図りたい」
「クライアント(案件)ごとの稼働時間を把握して、収支改善に取り組みたい」
このような課題を解決するうえで、プロジェクトやタスクごとの作業量(人員・稼働時間)を管理する”工数管理”は欠かせない取り組みです。
そこで本記事では、デザイナーの工数管理に取り組む具体的な方法やメリットについて解説いたします。
Web制作会社やインハウスでデザイナーを抱える経営者・管理職の方はぜひ参考にしてください。
デザイナーの工数管理に取り組むメリット
デザイナーの工数管理に取り組むメリットについて解説します。
リソース配置の最適化
工数管理によってデザイナーごとの作業進捗やタスク完了までの時間を把握できれば、それぞれの特徴や強みについて客観的に理解することができます。
デザイナーごとのスキルや特性に応じたタスクの割り当てが可能となるため、リソース配置の最適化が行えます。
プロジェクトを進行する際に人員リソースを最適に活用できれば、組織としての利益の確保や最大化にもつながるでしょう。
業務改善の基盤構築
工数管理によって業務データを分析することで、業務改善の基盤を構築できます。
「誰が・どの業務に・どれくらい時間をかけたのか」がわかれば、プロジェクトに潜むボトルネックを特定して、改善に向けて取り組むことが可能です。課題をリアルタイムに・正確に把握できれば、プロジェクトの進行中でも業務改善に取り組むことができるでしょう。
また、タスクの遅延や仕様の変更が発生した場合でも、柔軟にリソース調整を行うことができます。
デザイナーの正確な成果評価
工数管理を行うことで、デザイナーの成果を客観的に評価することができます。
デザイナーの成果は単純な作業時間だけでは図れません。たとえばWeb制作会社の場合は、正当な評価を行うためには、プロジェクト(案件)ごとの利益額を加味して行う必要があり、そのためにはプロジェクトごとの稼働時間を把握する必要があります。
工数管理を行うことで「プロジェクトの請求金額に対して適切な稼働時間だったか」を確認できるため、売上への貢献ベースでデザイナーのパフォーマンスを評価することができます。
また、過去の作業データと比較することで「前回よりも◯%早くタスクを完了できた」など、人材育成にも活用することができます。客観的なデータを用いて評価を行うことで、デザイナーのモチベーション向上にもつなげられます。
クライアントとのスムーズなコミュニケーション
クライアントとの「価格交渉」や「納期調整」といったやりとりがスムーズに行えることも工数管理を行うメリットです。
定量的な観点で会話を行えば、クライアント側に納得感を持たせながらコミュニケーションを取ることができます。たとえば「◯◯には□□時間ほどの稼働が発生するため、追加で△△円を請求させていただきます」といった、お金が絡む話はとくに説得力を持たせることができるでしょう。
データに基づいた納得感のある会話が行えれば、信頼関係を構築することもできます。
デザイナーの工数管理を行う手順
デザイナーの工数管理を行う具体的な手順について、下記のステップで順に解説いたします。
- 工数管理の準備
- 工数管理の実践
- 工数管理の振り返り
工数管理の準備
工数管理を行うためには、まずは責任者の決定や工数管理表の作成といった準備が必要です。
責任者の決定
工数管理の責任者は、基本的にプロジェクトマネージャーやプロジェクトディレクターが担うことが一般的です。
工数管理の責任者を担当する方には「工数管理がプロジェクトごとの収支改善・業務改善に重要であること」をしっかりと理解してもらいましょう。
多くの企業では、工数管理は形骸化しやすいものです。とくにデザイナーの方は「デザイン業務に集中したい」と考え、工数データの入力作業をつい後回しにしてしまうこともあるでしょう。
そのような場合に、責任者から工数管理の重要性について正しく伝えることができれば、組織として工数管理の形骸化を防ぎ、正しい業務データを記録することができます。
運用方法の決定
責任者を決めたら、つぎに工数管理を「どのように行うのか」を決める必要があります。
具体的には下記2つの方法があります。
- 工数管理表を作成する
- 工数管理ツールを導入する
工数管理表はExcelやスプレッドシートで簡単に作成できます。
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しかし、メンバーには「どの業務に・どれくらい時間をかけたのか」をタスクごとに入力してもらう必要があり、運用負担をかけてしまう恐れがあるでしょう。また、入力されたデータを可視化するには、責任者が集計や加工をする必要があります。
そのため、工数管理にはメンバーと管理者の双方に負担のかからない、専用のITツールを導入するのがおすすめです。
工数管理をすること自体に工数がかかってしまうのは、非常に勿体ないことです。実際に弊社(タイムクラウド株式会社)が調査した結果によると、工数管理に取り組まれたうち58.7%の方が失敗経験があると回答されました。とくに管理する人数が多くなるにつれて、管理者の作業負担は膨らみ、個々人の工数を正確に把握することが難しくなるようです。
工数管理には、運用負担のかからない工数管理ツールTimeCrowdの導入がおすすめです。
メンバーはタスクの開始時と終了時にワンクリックで打刻をするだけで「どの業務に・どれくらい時間をかけたのか」を記録することができます。Google カレンダーやOutlook カレンダーと連携をすれば、スケジュールに基づいてタスクを自動で入力・打刻することも可能です。
また、記録されたデータは自動で集計され、レポート画面からリアルタイムで確認することができます。
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工数管理の準備ができたら、実際に運用を始めましょう。
工数管理の運用開始後は「適切にデータが入力されているのか」をしっかりと確認することが重要です。実際の作業工数と工数管理表に入力されたデータの間に乖離があると、業務状況を正確に把握することができません。とくに初期の段階から工数入力がおざなりになると、すぐに形骸化してしまう恐れがあるため、最初は慎重すぎるぐらいに確認しておくことがおすすめです。
そして、工数管理によって収集したデータは、関係者全員が確認できるように可視化することも重要です。
「誰が・どの業務に・どれくらい時間をかけたのか」をチーム内で共有することで、メンバーがお互いの業務状況を把握することができます。自分がいま何をするべきか考えることにつながり、メンバーが主体的に・協力的に動けるチームづくりができるでしょう。
工数管理の振り返り
デザインプロジェクトが完了した際には、工数管理の振り返りを行って業務改善に取り組みましょう。振り返りは、予定した工数と実績の比較、差分が発生した原因の追求、改善策の立案と実行という手順で行います。
可視化されたデータをもとに分析を行ってしっかりと原因を特定し、具体的なアクションまで落とし込んだ改善策を考えることが大切です。また、そのような情報を他のチームと共有することで、組織としての生産性のアップにもつながるでしょう。
▼工数管理のやり方については、下記記事で詳しく解説していますのでぜひ参考にしてください
デザイナーの工数管理の成功事例
Web制作会社で、デザイナーの工数管理の最適化を実現した成功事例について紹介します。
【株式会社スピカデザイン】ITツール導入で工数管理の集計時間を大幅削減
Web制作会社である株式会社スピカデザインは、工数管理ツールTimeCrowdの導入によって工数管理の集計時間の大幅な削減を実現しました。
もともとTimeCrowdの導入以前はExcelを使って工数管理を行っており、月末の手作業によるデータ集計に多くの時間がかかるという課題を抱えていました。
そこで、工数管理のデータ取得とデータ集計の作業を効率化させるためにTimeCrowdの導入を決断。入力した工数データを自動で算出できるため、データ集計の時間を大幅に削減することに成功しました。また、レポート画面からプロジェクト(案件)ごとの作業時間をひと目で確認できるため、プロジェクトの振り返りに時間を割くことができるようになりました。
▼株式会社スピカデザイン様の事例については、下記記事からご覧いただけます
【有限会社デザインスタジオ・エル】工数管理で正確な労務管理を実現
Webサイトの制作やグラフィックデザインといった事業を展開する有限会社デザインスタジオ・エルは、工数管理ツールTimeCrowdの導入によって正確な労務管理を実現しました。
クライアントへの見積もり金額の向上、作業効率のアップといった目的からTimeCrowdを導入し、以前までは把握しづらかったプロジェクト(案件)ごとの人件費を正確に把握できるようになりました。
納品前の案件でも人件費を把握できたことで、月次業績の把握精度が向上し、会社としての意思決定にも役立てられたようです。
また、メンバーの時間意識が向上したことで「効率的に働こう」という意識を組織全体で定着できました。TimeCrowdを導入して正確な労務管理を実現したことで、年間の休日を18日増やすことにつながり、従業員が働きやすい環境づくりに成功されたようです。
▼有限会社デザインスタジオ・エル様の事例については、下記記事からご覧いただけます
デザイナーの工数管理で生産性をアップ
デザイナーという“成果物”に対して意識が向きやすい職種では、適切な工数管理を行うことが重要です。
工数管理を行うことで、プロジェクトごとの稼働時間(人件費)を管理して、正確な収支管理に役立てることができます。
また、デザイナー自身の時間に対するコスト意識の醸成にもつながり、効率的な働き方の追求にもつながります。適切な工数管理を行い、限られた工数のなかで高い成果を挙げて生産性アップを実現しましょう。
▼工数管理には専用のITツールの導入がおすすめです。下記記事でおすすめのツールをご紹介していますので、あわせて参考にしてください