企業の競争力を強化するには生産性の向上が欠かせません。しかし、そもそも業務効率が悪く無駄な作業が多いと生産性が低下してしまいます。
生産性を高めるには工数削減を行い、業務効率化を図ることが必要です。
この記事では、工数削減が必要な理由や具体的な方法について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
工数削減とは
工数削減とは、作業が完了するまでにかかる時間や人手を減らすことを指します。
無駄な工数が多いと、時間やリソースが過剰に必要となり、生産性や収益性が低下する可能性があります。工数や業務フローの見直しを行い、無駄な工数を減らして業務の効率化を図ることが重要です。
工数削減を行って業務の効率化を図り、プロジェクトの収益性を高めたり赤字プロジェクトをなくしたりすることで、会社全体の課題解決や経営状況の改善に役立てられます。
工数削減が重要な理由
プロジェクトにおける工数削減が重要である理由を、以下の2つの観点から解説します。
- 人手不足
- 「2025年の崖」問題
人手不足
少子高齢化が進み、今後は労働人口が将来的に減少する可能性があると言われています。内閣府の資料によると、2065年までに労働者人口は約3分の2程度に減少すると推計されています。
労働人口の減少を受けて、今後ますます重要になるのが生産性の向上です。国際社会で通用する競争力をつけるためにも、工数を削減して業務効率を上げ、生産性を高める必要があります。
また、働き方改革関連法によって時間外労働の上限規制や、年次有給休暇の確実な取得が推進されています。人手不足に際して単純に1人あたりの労働時間を増やして対処するのではなく、工数を削減して作業にかかる時間を減らすことが重要です。
人手不足や働き方改革に際して、工数削減と業務効率化は必要不可欠だと言えます。
「2025年の崖」問題
「2025年の崖」問題とは、2018年に経済産業省が発表したレポートで提唱された問題です。企業内でDX推進を行わなかった場合、以下のような理由で2025年以降の経済的損失が最大12兆円にもおよぶとされています。
- ITシステムの老朽化
- ソフトウェア・ハードウェアのサポート終了
- IT人材の退職
「2025年の崖」問題に対応するため、DXも視野に入れた工数削減の取り組みが必要です。
工数削減の効果・メリット
工数削減を実施することによって、以下の効果が期待できます。
- コスト削減
- 生産性向上
企業の競争力を高めるために必要なメリットについて、詳細を解説します。
コスト削減
工数削減によって業務が効率化されることで、残業時間を減らすことができます。その結果、人件費や光熱費などのコストを削減でき、利益を増やすことにつながります。
利益は従業員への還元や設備投資にあてられるので、企業としての競争力をより高めるための施策を打ちやすくなるという点がメリットです。
生産性向上
工数削減を実施することで、長時間労働や過度のマルチタスク、作業の無理・無駄を低減することができます。それによって従業員の負荷を減らすことができれば、生産性の向上につながります。働き方が改善され、従業員満足度が上がるという点もメリットです。
生産性や従業員満足度が向上すると、生産物の品質向上にもつながるので、顧客満足度アップも期待できます。
工数削減の手順
工数削減を行う際の、以下の手順について解説します。
- 現状の把握、整理
- 優先順位の設定
- 工数削減の実施
- 工数削減の効果を検証、評価
現状の把握、整理
工数削減を行うためにまずは現状を把握し、整理する必要があります。
作業フローを可視化することで、無駄な工程や非効率な工程を洗い出すことが可能です。また、それぞれの作業にかかる所要時間を計測・集計することで、ボトルネックになっている工程を特定できます。
優先順位の設定
各工程に対し、重要度と緊急性の観点から優先順位をつけて整理します。
- 重要度も緊急性も高い
- 重要度は低いが緊急性が高い
- 重要度が高いが緊急性は低い
- 重要度も緊急性も低い
重要度と緊急性がどちらも高い工程は、プロジェクトへの影響も大きくなるため優先的に工数削減を実施します。
工数削減の実施
ECRSの4原則というフレームワークにのっとって作業を見直し、改善策を立案します。改善策が現実的に可能かどうかを協議したうえで、工数削減を実施します。
のちほど詳細に解説しますが、ECRSの4原則とは、「Eliminate(排除)」「Combine(結合・分離)」「Rearrange(交換)」「Simplify(簡素化)」の観点から工数削減の施策を立案するためのフレームワークです。
工数削減の効果を検証、評価
工数削減の施策を実施して終わるのではなく、効果を検証・評価し、PDCAを回して改善を繰り返していくことが重要です。
スムーズに業務を進行できているか、生産物の質は落ちていないかなどを検証・評価します。問題がある場合は修正し、新たな改善施策を考案して実施します。
管理者だけの視点で評価するのではなく、実際に作業を行っているメンバーからのフィードバックも取り入れることで、より現実的かつ効果的な施策立案に役立てられます。
工数削減に用いるフレームワーク「ECRSの4原則」
ECRSの4原則とは、あらゆる業務の工数削減に応用できるフレームワークです。以下の4つの原則の頭文字をとって、ECRSと呼ばれています。
- Eliminate(排除)
- Combine(結合・分離)
- Rearrange(交換)
- Simplify(簡素化)
工数削減は、E→C→R→Sの順番で行います。
ECRSの4原則について、詳細を解説します。
Eliminate(排除)
Eliminate(排除)とは、無駄な作業をなくすことです。作業の目的をあらためて明確にし、無駄と判断できる作業は排除することを指します。
<排除するタスクの例>
- 無駄な確認、点検
- 不要なデータ計測・レポートの作成
Combine(結合・分離)
Combine(結合・分離)とは、作業の組み合わせを変えることで工数を削減する方法です。
類似の作業を結合することで、作業効率化のアップやコスト削減につながります。異なる作業が含まれておりプロセスが煩雑になってしまっている場合は、分離することも必要です。
<結合の例>
- 部署でバラバラに行っていた報告会を1つにまとめる
- 同種のレポートを統合して1つのレポートにする
- 類似の作業を行っている部署やチームを統合する
Rearrange(交換)
Rearrange(交換)とは、作業の手順を入れ替えたり、代替案と交換することで工数を削減する方法です。配送ルートや訪問営業ルートを入れ替え、効率良く回れるようにすることも含まれます。
機器の交換もRearrange(交換)に含まれます。設備や機器、システムが古くなっている場合はリプレースの検討が必要です。
<交換の例>
- 配送や営業ルート、訪問順を変更して効率を上げる
- 資料をテンプレート化し、資料作成の時間を短縮する
- 一部の作業を外注する
Simplify(簡素化)
Simplify(簡素化)とは、業務をシンプルにして工数を削減する方法です。ITツールを用いた作業の自動化や効率化もこれに含まれます。
難しい作業はベテランの従業員に割り振ったり、わかりやすいマニュアルを作成したりするのも簡素化にあたります。
<簡素化の例>
- 紙の稟議書を廃止し、稟議システムを導入する
- 経理業務を専用のソフトで行う
- コミュニケーションコスト削減のため、メールの簡素化やチャットツール導入を行う
工数削減のポイント
工数削減の取り組みを成功させ、生産性向上につなげるには、以下のポイントを意識して取り組むことが重要です。
- 優先順位をつけて取り組む
- 社内に周知し、協力を得る
- 工数管理を徹底する
- 一時的な作業追加を許容する
優先順位をつけて取り組む
工数削減を行う際は、影響の大きい部分から優先的に工数削減に取り組むことが重要です。優先順位をつけるには、工数が多くかかっている作業を特定する必要があります。
TimeCrowdのようなツールを利用すれば、組織内で「どの業務に・何時間かけているのか」をリアルタイムで可視化することができます。
TimeCrowdでは、タスクの開始時と終了時にワンクリックで打刻をするだけで、タスクごとの工数データを集計することが可能です。事前にメンバーごとの時間単価を設定しておけば、タスクごとの稼働時間から人件費を算出することもできます。
▼TimeCrowdのレポート画面
時間や人件費をかけすぎている業務を洗い出し、重要度と緊急度の2つの軸から優先順位をつけて工数削減に取り組みましょう。
>>TimeCrowdの機能や料金プランが気になる方は下記資料よりご確認ください
工数管理ツール「TimeCrowd」の資料をダウンロード社内に周知し、協力を得る
事前周知のない状態で工数削減を実施してしまうと、現場が混乱してしまい、効果が出ない可能性が考えられます。
工数削減を実施する前に社内に通知して意義やメリットを理解してもらい、従業員に協力してもらう体制を整えることが重要です。
工数管理を徹底する
工数削減を行うには、削減の施策が問題なく行われているか、実際に工数がどれくらい削減できているかを測定するため、工数管理を徹底することが重要です。
工数管理は、ITツールを導入して行うのがおすすめです。Excelでも工数管理を行うことができますが、複数人で同時に編集できなかったり、工数入力そのものに手間がかかってしまったりする場合があります。
TimeCrowdのようなツールを導入し、メンバーに負担をかけずに工数や所要時間を計測することで、改善施策の効果を検証できます。
一時的な作業追加を許容する
工数削減に取り組む場合は、これまでのやり方と違う方法を取ったりITツールで工数管理を行ったりと、さまざまな作業が必要になります。
最終的な工数削減のため、一時的な作業追加も許容することが重要です。
工数削減に取り組まれた企業事例
TimeCrowdを使って、工数削減に成功した企業様の事例を紹介します。
株式会社CloudQ
株式会社CloudQ様は、案件ごとの収支状況や稼働状況を把握し、受託開発の業務効率を図るという課題を持たれていました。
TimeCrowdでタスクと所要時間の可視化を行ったところ、想像以上に時間がかかっているタスクを特定でき、具体的な改善施策を立案できるようになりました。
業務効率化の施策を実施したところ、開発効率の15%削減に成功したという結果が出ています。
今後はTimeCrowdで収集したデータを、契約時の工数見積もりに役立てることも検討されています。
TimeCrowdでの時間集計によって、工数削減や適切な見積もりに活用できた事例です。
未知株式会社
未知株式会社様は、記事作成の精度を高めるため、工数の可視化や業務プロセスの改善を行う必要があるという課題を持たれていました。
TimeCrowdを導入して各プロセスの時間を集計した結果、工数がかかりすぎている案件を特定できるようになり、クライアントへの追加提案につなげられるようになりました。
また、TimeCrowdで計測した所要時間のデータから工数見積もりの精度を高め、記事作成メンバーのシフト作成にも役立てています。
工数の把握と削減によって、見積もり精度と成果物の質の向上に役立てている事例です。
まとめ
「労働人口の減少」や「2025年の崖」問題に対処するため、工数削減はより注目を集めています。不要なタスクを排除したり、類似したタスクを結合したりすることで、工数を削減して業務効率化につなげることが可能です。
しかし、工数削減をむやみに行ってしまうと、現場が混乱したり業務がかえって煩雑になってしまう可能性があります。
工数削減に取り組む際には、まずは現状の業務状況を正確に把握した上で実施する必要があります。現状を把握するためにはTimeCrowdの導入がおすすめです。
TimeCrowdではタスクの所要時間を計測したり、業務内容を可視化したりできるので、ボトルネックになっている作業や無駄な作業の洗い出しに役立ちます。
タスクごとに打刻を押すだけというシンプルな操作性なので、現場に定着しやすいという点もメリットです。また、メンバーごとに時間単価を設定できるので、プロジェクトごとの収支計算に活用することも可能です。
工数削減における現状把握やプロジェクトの収支計算に、ぜひTimeCrowdの導入をご検討ください。
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