企業が継続的に健全な経営を続けるためには、部門やプロジェクトごとに適切に採算管理を行う必要があります。
人件費や原価に対する利益をしっかりと把握することで、業務の改善やプロジェクトの撤退・追加投資といった正しい経営判断を下すことが可能です。
本記事では、採算管理の基礎知識から、実施するメリット、そして採算管理に活用できるおすすめツールについて解説します。
採算管理とは
採算管理(Profitability Management)とは、部門やプロジェクトごとに、売上や販売個数・利益率・原価・目標達成率などの業績に関わる数値を適切に管理することです。
そもそも採算管理の「採算」とは、各プロジェクトや事業において利益が生まれるかを判断するために収支を計算することを意味します。
採算管理の目的
採算管理を行う主な目的は、部署や部門・プロジェクトの実態を数値の観点から明らかにすることにあります。会社全体の売上や利益を把握している経営陣は多いですが、部署や部門・プロジェクト単位でどれくらいの利益が発生しているのかを正しく把握しているケースは多くありません。
採算管理を行うことによって、会社全体ではなく個々の数値に目を向けることができ、経営における問題点を素早く見つけることができます。
採算管理は「部門/部署別」と「プロジェクト別」の2軸で行われるのが一般的です。それぞれのメリットについて見ていきましょう。
部門別に採算管理を実施するメリット
部門別採算管理とは、営業部門・マーケティング部門・製造部門など、部署や部門を単位として収支計算をする方法です。部門別採算管理の主なメリットは、以下の2点です。
- 部門や部署ごとに業績を比較できる
- 数値に対する責任の所在が明確になる
部門や部署ごとに業績を比較できる
部門別採算管理を実施することで、自社のどの部門や部署の業績が良いのかを「見える化」することができます。業績が伸びていない部門や部署の予算やリソースを、他に割り当てるなど、限られた経営資源を最適に分配するための判断材料として役立ちます。
数値に対する責任の所在が明確になる
売上や目標達成率などといった数値が可視化されることにより、責任の所在が明確になります。
例えば、多くの企業において、見込み顧客を獲得〜育成するマーケティング部門と、獲得した見込み顧客を実際に商談〜案件化する営業部門の業績は大きく連動します。きちんと採算管理がなされていないと、売上が伸びないのはマーケティング部門のせい、営業部門のせいといった責任のなすりつけ合いが起こりかねません。
しかし、全社目標からブレイクダウンした目標数値をそれぞれの部門に明確に定めることによって、目標に対してどちらの部門がパフォーマンスを発揮できなかったのかが明らかになります。また、数値に対する責任が明確になることによって、各担当者のモチベーションアップに繋がります。
プロジェクト別に採算管理を実施するメリット
プロジェクト別の採算管理とは、プロジェクト単位で一定期間の収支管理をする方法です。主なメリットは、以下の2点です。
- プロジェクトの収益を予測できる
- プロジェクトの撤退ラインが明確になる
プロジェクトの収益を予測できる
現状における投資に対するリターンを明確に知ることで、将来的に得ることができる収益を予測できます。例えば、現状においての売上が目標の半分にあたる月100万円だったとしても、月に120%ずつ順調に収益が伸びていることが分かれば、5ヶ月後には目標を達成する可能性があることが分かります。
このように現状の数値をもとに将来的な収益を予測できるのが、プロジェクト別の採算管理を実施するメリットの一つです。
プロジェクトの撤退ラインが明確になる
プロジェクトを計画する際には、あらかじめ損益分岐点や売上の予測を立てておくものですが、採算管理を実施することによって、リアルタイムでのプロジェクトの業績実態を明らかにすることができます。
売上目標や予算に対して、どれくらい収益が生まれているのかを正しく把握することによって、プロジェクトの撤退もしくは投資の追加といった判断を下すことができます。
採算管理の手法
採算管理の手法に決まりはありませんが、大前提としてサービスや製品を売るためにいくらの原価や人件費・販促費がかかり、実際にいくらの売上が上がっているのかが明確にならなければいけません。
採算管理を実施する際には、売上高やコスト・利益率を部門やプロジェクトごとに分類して一枚の表にまとめた採算管理表を作成します。この際に注意が必要なのが、以下の3点です。
- 社内取引
- 経費やコストの負担
社内取引
社内取引とは、部門別採算管理表を作成する際に、製造部門と販売部門などの部門間で行われる製品やサービスの受け渡しを、通常の対外的な取引と同様に捉えるものです。
販売部門は、そもそも売るものがなければ、販売活動を行うことができません。しかし、直接的に顧客とやり取りをし、売上という数値が目に見えるのは販売部門です。そのため、製造部門から販売部門へ製品やサービスを社内で売るという形式を取ることで、販売部門の企業への貢献を見える化することができ、各部門の評価を正しく行うことができます。
経費やコストの負担
社内で一括で備品を購入した場合やシステムの導入をした場合など、部門を横断して発生する経費やコストを、一つの部門に負担させるのではなく、適切に配賦する(一定の基準で振り分ける)必要があります。
採算管理に活用できるおすすめツール3選
最後に、採算管理に活用できるおすすめのツールを紹介します。
TimeCrowd(タイムクラウド)
タイムクラウド株式会社が提供する「TimeCrowd」は、誰が・どの業務を・どれくらい行っているのかをリアルタイムで把握できる時間管理ツールです。チームの稼働時間を記録することで、プロジェクトごとの人件費管理や生産性向上に役立ちます。
Google Chromeの拡張機能を用いることで、開いているWebページ名やChatWorkタスクの内容をタスク名にできるため、時間管理や工数管理自体を簡単に行うことが可能です。
また、チームやメンバーごとに人件費を設定できるため、プロジェクトごとの収益性を判断することに役立ちます。
最初の2週間は無料トライアル期間としてお試しいただけます。詳しい機能や料金プランにご興味のある方は下記資料よりご確認ください。
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「CrowdLog」は、株式会社クラウドワークスが提供する工数管理ツールです。GoogleカレンダーやOutlookと連携することで、半自動で工数の入力が可能なため、面倒な工数管理業務から解放されます。また、プロジェクトごとの売上・原価予算、売上実績を登録できるため、損益把握が可能です。
OBPM Neo
出典:OBPM Neo
「OBPM Neo」は、株式会社システムインテグレータが提供するプロジェクト管理ツールです。スケジュール管理ができるだけでなく、コストや製品の品質、要員管理・リスク管理などプロジェクト進行に必要な機能を全て備えた多機能なサービスです。
まとめ
本記事では、採算管理の基礎知識や目的、実施するメリット、そして採算管理に活用できるおすすめのツールについて解説しました。
採算管理とは、部門やプロジェクトごとに、売上や販売個数・利益率・原価・目標達成率など業績に関わる数値を適切に管理することです。
大きく分けて部門別の採算管理とプロジェクト別の採算管理があり、それぞれでメリットが異なります。また部門別の採算管理を行う際には、社内取引や経費・コストの負担をどのように振り分けるのかについてあらかじめ定めておき、部門間の不公平感が出ないように気を付ける必要があります。