人手不足や働き方改革の改善に向けて、各企業ではさまざまな取り組みを行っているでしょう。しかし、なかには深刻な業務過多の状態に陥っている部署や社員を抱えている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、業務過多に陥る原因やリスク、解決方法などについて解説いたします。従業員の働き方を管理する経営者や人事担当者、管理職の方はぜひ参考にしてください。
業務過多とは
業務過多とは、従業員が抱える業務量が、その能力や時間的制約を大幅に超えている状態（＝キャパオーバー）を指します。具体的には、与えられた時間内に到底終わらない量のタスク、恒常的な長時間労働、休日出勤の常態化などの状態が挙げられます
業務過多は、単に「忙しい」というレベルを超え、従業員の心身に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
昨今では、テクノロジーの進化やグローバル化に伴い、ビジネス環境が複雑化し、結果として業務量が増加している傾向にあります。また、人手不足やコスト削減の圧力も業務過多を助長する要因となっています。業務過多は、従業員のパフォーマンスが低下するだけでなく、企業の生産性や創造性にも悪影響を及ぼすものなのです。
業務過多になる原因
業務過多になる原因は、主に以下の3つです。
- 慢性的な人手不足
- 業務の偏り/属人化
- 高すぎる目標（ノルマ）設定
慢性的な人手不足
少子高齢化による労働人口の減少や、特定の業界における人材の偏在など、慢性的な人手不足は業務過多の大きな要因のひとつです。
十分な人員が確保できない状況では、既存の従業員一人ひとりの負担が増加し、業務過多に陥りやすくなります。とくに専門性の高い業務や、特定のスキルを持つ人材が不足している場合はその影響は顕著です。たとえばITの分野では、2030年には約79万人の人材が不足するとも言われています。
また、企業がコスト削減のために人員を削減することも、人手不足を深刻化させる要因となります。人員削減によって一時的にコストが削減できたとしても、残された従業員の負担が増加し、結果的に生産性の低下や離職率の上昇を招く恐れがあります。
業務の偏りや属人化
業務が特定の従業員に偏ってしまったり、特定の従業員しか対応できない“属人化した業務”が存在することも、業務過多の原因となります。
業務の属人化が進行すると、担当者が休職・離職した際に業務が回らなくなります。また、担当者が業務を回すために休暇をとらなければ、有休消化率が低くなる可能性もあります。
組織全体の業務効率を低下させるだけでなく、従業員のモチベーション低下や不公平感を生み出す恐れがあるため注意が必要です。
▼業務属人化の原因やリスクについては、下記の記事を参考にしてください
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工数管理ツール「TimeCrowd」の資料をダウンロード高すぎる目標（ノルマ）設定
業績向上のために、従業員に対して過度に高い目標やノルマを設定することも、業務過多の原因となります。達成困難な目標やノルマは、従業員に過度なプレッシャーを与え、長時間労働や休日出勤を常態化させる恐れがあります。
また、設定された目標やノルマが高すぎる場合、従業員は目標達成のために無理をし、結果的に品質の低下やミスの増加を招く可能性もあります。
業務過多のリスク
業務過多は、従業員と企業双方にとってさまざまなリスクをもたらします。
- 生産性の低下
- ミスやトラブルの増加
- 休職や退職の増加
生産性の低下
業務過多による長時間労働や過度なストレスは、従業員の集中力やパフォーマンスを低下させ、生産性の低下を招きます。疲労が蓄積すると、注意力が散漫になり、さらなる残業を生む可能性があります。
また、業務過多によって従業員の創造性や意欲が低下すると、新たなアイデアや改善策が生まれづらくなり、企業のイノベーションを阻害する恐れもあります。
ミスやトラブルの増加
業務過多は、ミスやトラブルの増加を招くものです。とくに複雑な業務や専門性の高い業務においては、ひとつのミスが重大な問題に発展する可能性もあります。
また、業務過多によって従業員が心身ともに疲弊すると、顧客対応の品質が低下したり、社内コミュニケーションが悪化したりなど、さまざまなトラブルに発展する恐れもあります。
休職や退職の増加
業務過多による過度なストレスや疲労は、従業員の心身を害し、休職や退職につながる可能性があります。とくにメンタルヘルスの不調は、長期的な休職につながる恐れもあるため注意が必要です。
また、業務過多によって従業員のワークライフバランスが崩れると、仕事へのモチベーションが低下し、離職につながる可能性もあります。優秀な人材の流出は、企業の競争力を低下させるだけでなく、採用コストや教育コストの増加にもつながります。
業務過多の解決方法
業務過多は、深刻なリスクをもたらすため、下記のような方法で早急に解決する必要があります。
- 業務時間の可視化
- 業務配分の見直し
- 新規採用や人事異動、アウトソーシングの検討
業務時間の可視化
まずは、従業員一人ひとりの業務時間を可視化し、現状を把握することが重要です。
勤怠管理システムやタスク管理ツールなどを活用し、従業員の労働時間や業務内容を正確に把握することで、業務過多の実態を把握し、適切な対策を講じることができます。
また、従業員自身が自分の業務時間を把握することで、時間管理に対する意識が高まり、効率的な働き方を実践できるようになります。
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業務配分の見直し
業務時間の可視化によって業務の偏りや属人化が明らかになった場合は、業務配分の見直しを行う必要があります。業務の偏りを解消するためには、業務の標準化やマニュアル化を進め、誰でも対応できる体制を構築することが重要です。
また、属人化した業務については、複数人で担当できるように教育や研修を行い、担当者が不在の場合でも業務が滞らないようにする必要があります。
▼業務配分については、下記の記事を参考にしてください
新規採用や人事異動、アウトソーシングの検討
業務配分の見直しや業務効率化だけでは業務過多が解消されない場合は、新規採用や人事異動、アウトソーシングなどを検討する必要があります。新規採用によって人員を増やすことで、従業員一人ひとりの負担を軽減することが可能です。
また、人事異動によって適材適所の人員配置を行うことで、組織全体のパフォーマンスを向上させることができます。アウトソーシングは、専門性の高い業務や一時的な業務を外部に委託することで、従業員の負担を軽減し、コア業務に集中できる環境を構築するのに有効です。
まとめ
業務過多は、従業員の心身を害し、企業の生産性や創造性を低下させる深刻な問題です。業務過多を解消するためには、業務時間の可視化、業務配分の見直し、新規採用やアウトソーシングなど、さまざまな対策を講じる必要があります。
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