稼働率は、ビジネスにおける作業効率や生産効率を算出するために用いられる数値です。稼働率を可視化して改善することで、生産性の向上を期待できます。
本記事では、稼働率の意味から、計算方法・捉え方・高める方法などについて解説しています。ぜひ参考にしてください。
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稼働率とは
稼働率とは、ビジネスにおける作業効率や生産効率を示す数値で、生産部門やコールセンターなどで使われる言葉です。
稼働率は生産量をベースに出す場合と、稼働時間をベースに出す場合があり、それぞれ計算式が異なります。
また、コンピュータやネットワークなどのシステムが、ある期間の中で正常に稼動している時間の割合を指すIT用語としても知られています。
稼働率の計算方法
稼働率の計算方法は、生産量ベースか稼働時間ベースかで異なります。それぞれの計算式は以下の通りです。
- 生産量ベース:稼働率(%)=実際の生産量÷生産能力×100
- 稼働時間ベース:稼働率(%)=実際の稼働時間÷本来稼働すべき時間×100
生産量ベースでは、例えば生産能力が1000で実際の生産量が950だった場合の稼働率は95%になります。
稼働時間ベースでは、稼働すべき時間が8時間で実際の稼働時間が7時間30分だった場合の稼働率は93.75%ということになります。
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稼働率の捉え方
算出した稼働率は、どのように捉えるべきなのでしょうか。
稼働率が低いとき
稼働率が低いということは、本来持っている生産能力に実際の生産が追いついていない状態、つまり生産性が低い状態にあるといえます。
仕事の受注量減少に伴い稼働率が低くなっている場合は、営業に力を入れるなど案件を増やす取り組みに力を入れれば解消できるケースがあります。
一方、忙しく働いているにも関わらず稼働率が低いのであれば、原因を分析しましょう。生産に充てている時間以外に、どのような時間の使い方をしているかを可視化して、問題があれば改善します。
稼働率が高いとき
稼働率が高い場合、生産性が高い状態ともいえますが、必ずしも良いことであるとは限りません。
特に稼働率が100%を超えている場合は注意が必要です。100%を超えているということは、本来持っている生産能力を上回って生産しているということ。設備や従業員に負荷がかかっている状態とも言い換えられます。
受注量が増えて一時的に稼働率が高くなっている場合は、繁忙期が終われば解消されるでしょう。しかし、稼働率の高い状況が常態化している場合、設備が壊れたり、従業員が退職してしまったりするリスクも抱えることになりますので、現状を確認し改善する必要があります。
稼働率と可動率・占有率との違い
稼働率と似た言葉である「可動率」や「占有率」との違いを解説します。
可動率との違い
稼働率と可動率の違いを簡単に表すと次のようになります。
- 稼働率:生産効率を表す指標
- 可動率:運転効率を表す指標
稼働率が製品の生産効率を表す指標であるのに対して、可動率は設備の運転効率を表す指標として使われます。
可動率の計算式は以下の通りです。
- 可動率(運転効率)=正常に運転した時間÷総運転時間×100
正常に運転した時間とは、総運転時間からシステムのメンテナンスにかかった時間や立ち上げにかかった時間などを引いた時間のことです。トラブル無く機械や設備を動かして生産を続けられれば、可動率は100%に近づくことになります。
可動率は稼働率と読み方が同じため、「べきどうりつ」と区別されて読まれることもあります。
占有率との違い
主にコールセンターなどにおいては稼働率の他に占有率という指標が使われることがあります。
コールセンターにおける稼働率と占有率の違いを簡単に表すと次のようになります。
- 稼働率:勤務時間に占める顧客対応時間+待機時間の割合
- 占有率:顧客対応時間+待機時間に占める顧客対応時間の割合
占有率の計算式は以下の通りです。
- 占有率=(通話時間+保留時間+後処理時間)÷(通話時間+保留時間+後処理時間+待機時間)×100
占有率が低い場合、人員過多の可能性があり、逆に高い場合は従業員に負荷がかかっている可能性があります。
稼働率が低下する原因
稼働率が低下する背景として、主に下記のような原因が考えられます。
- 計画的な非稼働/臨時休業
- チョコ停/オペレーター待機
- ボトルネックの存在
計画的な非稼働/臨時休業
計画的に稼働を停止した場合は稼働率が低下します。
たとえば工場ラインでは、需要/供給バランスが崩れている場合、生産調整を行うために稼働を停止することがあり、一時的に稼働率が低下します。
チョコ停/オペレーター待機
何かしらのトラブルにより、現場の稼働が止まることを「チョコ停」と呼びます。
たとえば工場ラインであれば、機材の不具合や原材料の不足で発生することがあります。また、ビジネスの現場であれば、イレギュラーな確認事項が発生し、オペレーターの待機時間が発生しているときなどに稼働率が低下します。
ボトルネックの存在
業務上のボトルネックが存在する場合、稼働率の低下を招くおそれがあります。
ボトルネックがあることで「他の工程で待機時間が発生している」「次の工程に着手する時間が遅れている」など、さまざまな問題が発生するため、早急な特定と改善が必要になります。
▼ボトルネックの意味や原因、解消方法などは下記の記事を参考にしてください
稼働率を適正値まで高める方法
稼働率を高めるには、次のような方法が挙げられます。
- 稼働率を可視化する
- 計画を最適化する
- スキルアップの時間を確保する
- タスクマネジメントを導入する
ただし、前述の通り生産量ベースの稼働率に関しては無理に高くしない方が良いケースもあります。生産量を増やしすぎて過剰在庫を抱えてしまったり、生産能力自体を落として稼働率を上げたものの、納期遅れが発生したりする場合があるからです。
コールセンターの稼働率は高い方が良いとされていますが、一定のラインを超えると従業員に負荷がかかり過ぎるため注意しましょう。
稼働率を可視化する
稼働率を高めるには、まずは現在の稼働状況を下記いずれかの方法で把握する必要があります。
- エクセルを活用する
- ITツールを利用する
エクセルを活用する
稼働率はエクセルを活用して可視化することができます。タスクごとやメンバーごとなど、確認したい指標ごとに「目標稼働時間」と「実稼働時間」を記入し、目標に対する実稼働の割合を算出します。
エクセルは馴染みのあるツールのため、すぐに利用を始められるのがメリットです。一方で「実稼働時間の入力が形骸化してしまうこと」「正確な時間を入力できないこと」などがデメリットとして挙げられます。
ITツールを利用する
ITツールを利用することで、エクセルよりも簡単に、そして正確に稼働時間を可視化することができます。
現状の分析におすすめなのが、人やチーム、プロジェクト単位の稼働状況を可視化できるツール「TimeCrowd」の導入です。TimeCrowdを利用することで「誰が・どの業務に・どれくらい時間をかけているのか」を記録し、リアルタイムで稼働状況を確認することができます。
▼(例)TimeCrowdのレポート画面
タスクの開始時と終了時にワンクリックで打刻をするだけで簡単に記録ができるため、従業員の負担を最小限に抑えたうえで導入が可能です。
また、Google カレンダーやOutlook カレンダーなどの外部ツールと連携を行うことで、情報内容を紐づけて、打刻作業を自動化することもできます。
あらかじめ従業員ごとの時間単価を設定することで、プロジェクトごとの人件費を算出し、収支管理に役立てることも可能です。
TimeCrowdのサービス内容に少しでもご興味のある方は、下記のサービス資料から詳細な機能や料金プランをご確認ください。また、最初の2週間は無料でお試しいただけますので、操作性が気になる方はお気軽にお問い合わせください。
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稼働率は、計画を最適化することでも高めることができます。
例えば、プロジェクトによって必要になる人員は異なるはずです。少ない人数でも推進できるプロジェクトであれば、余剰人員が出ないように一時的に配置を変える選択も視野に入れましょう。
また、繁忙期や閑散期など、時期によって受注量に差がある場合も同様に、人員配置を最適化することで稼働率を高めることができます。
スキルアップの時間を確保する
従業員がスキルアップできる時間を確保することでも、長期的に見れば稼働率を高めることに繋がります。
仕事に習熟していないメンバーがいる場合、思ったような生産量が得られないケースもあります。このようなメンバーが仕事に習熟することで、1人あたりの生産量を増やすことができ、稼働率の向上に繋がります。
スキルアップの時間そのものは生産に繋がりませんが、将来への投資だと思い、勉強会や講習など、スキルアップに繋がる活動を設けることを検討してみてください。
タスクマネジメントを導入する
稼働率を高める方法の1つとして、タスクマネジメントの導入が挙げられます。
メンバーが適材適所に配置されていない場合、チーム本来の生産能力を発揮できていないかもしれません。
チーム単位でタスクマネジメントを導入することで、適切なタスクやプロジェクトに適切な人材を配置でき、メンバー1人ひとりが本来の生産能力を発揮し、稼働率を高められる可能性があります。
タスクの割り当てに改善の余地がある場合、タスクマネジメントの導入を検討してみましょう。
▼タスクマネジメントのやり方については下記記事を参考にしてください
稼働率を可視化して生産性を高めよう
本記事では稼働率の計算方法や捉え方、高める方法などを解説しました。
さまざまなビジネスの現場で稼働率の最適化が課題となっています。
稼働率を可視化して現状を把握し、改善することで生産性を高めましょう。