労働生産性とは?計算式や向上させるための5つのポイントを解説

慢性的な人材不足や、国際的な競争力の低下に直面する日本企業にとって、いかに限られた人材で付加価値を高めていくのかは企業経営において無視できない問題となっています。

そこで注目したいのが、労働生産性です。自社の労働生産性を正しく見極めることで、向き合うべき課題や実施すべき対策を明らかにすることができます。

本記事では、労働生産性の基礎知識から計算方法、そして向上させるための5つのポイントについて解説します。

▼「そもそも生産性とは何か?」その意味や重要性について理解を深めたい方は下記記事を参考にしてください

労働生産性とは

そもそも生産性とは、人・モノ・お金などの「投入した資源」と、それによって作り出された「生産物の産出量」の比率のことを指します。より少ない資源で多くのものを生み出すことができれば、生産性が高い状態と言えます。

  • 生産性=生産物の産出量(Outpur)/ 投入した資源(Input)

労働生産性は、従業員一人あたりもしくは一時間あたりに生産できる成果を数値化したものです。

従業員一人につき、どれくらいの成果を生み出せたのかをデータとして見ることができるので、自社の業務効率化や従業員のスキルアップ、経営の改善等に役立ちます。

  • 労働生産性=労働による成果(Outpur)/ 労働投入量(Input)

労働生産性には大きく分けて「物的労働生産性」と「付加価値労働生産性」の2種類があり、労働による成果をどのように捉えるのかで違いがあります。それぞれの意味や計算式についてみていきましょう。

物的労働生産性

物的労働生産性とは、産出の対象を「生産量」や「販売金額」などの物的なものに置いて考えるものです。

  • 物的労働生産性=生産量や販売金額 / 従業員数(もしくは従業員数×労働時間)

付加価値労働生産性

付加価値労働生産性は、産出の対象を「付加価値額」とするものです。

付加価値額とは、企業の生産活動によって新たに生み出された価値のことで、基本的には売上から原価を差し引いた「利益」と同義です。

  • 付加価値労働生産性=付加価値額 / 従業員数(もしくは従業員数×労働時間)

日本の労働生産性の現状

世界の主要各国と比べて、日本の労働生産性は低いと言われています。

公共財団法人の日本生産性本部が実施した「労働生産性の国際比較」に関する調査では、2020年の日本の一人当たり労働生産性は、78,655ドル(809万円)となっており、先進国が加盟するOECD38ヵ国中28位というデータが明らかになっています。

また同調査では、日本の時間当たり労働生産性は49.5ドルとなっており、こちらもOECD38ヵ国中23位という結果になっています。

出典:労働生産性の国際比較 日本生産性本部

労働生産性を向上させるメリット

企業が自社の労働生産性の向上に取り組むべき理由として、以下の3つのメリットが挙げられます。

  1. 企業の競争力の向上
  2. 従業員のワークライフバランスの実現
  3. 政府からの優遇措置を受けることができる

企業の競争力の向上

労働生産性を向上させる最大の目的は、企業の競争力を向上させることです。「既存の業務フローのムダを改善する」「業務の一部を自動化する」「従業員のスキルアップ」といった施策を実行することで、今までよりも少ない資源で多くのアウトプットを生み出すことが可能になります。

例えば、今まで一人の従業員が週20時間かけて行っていたデータの入力業務をRPA(ロボットによる業務自動化)を導入することで、半分の週10時間で終わらせることができれば、従業員の余った時間を商品のプロモーションや新商品の開発など、別の業務にあてることができます。

また、人件費自体を削減することもできるので、利益率の向上や商品の価格を下げることにも繋がり、熾烈な企業間の競争に打ち勝つチャンスが生まれます。

従業員のワークライフバランスの実現

国内の労働人口の減少にともない、多くの企業が慢性的な人材難に直面しています。そのような状況のなかで、自社でより長く働いてもらうため、求職者から魅力的な職場環境だと思ってもらうために、ワークライフバランスの実現が重要になります。

生産性を向上させることで、無駄なタスクを減らし、長時間労働や残業の防止、休みが取りやすい職場環境を作ることができます。

政府からの優遇措置を受けることができる

中小企業庁では、中小企業・小規模事業者や中堅企業を対象に、経営力向上を目的として税金や金融支援の優遇措置を設けています。

具体的には、経営力向上のための人材育成や設備投資などの取り組みを記載した「経営力向上計画」を申請し認定されることによって、以下のような支援を受けられます。

  • 生産性を高めるための設備を取得した場合、中小企業経営強化税制(即時償却等)により税制面から支援
  • 計画に基づく事業に必要な資金繰りを支援(融資・信用保証等)
  • 認定事業者に対する補助金における優先採択

引用:中小企業庁

労働生産性を向上させる5つのポイント

最後に、労働生産性を向上させるために欠かせない5つのポイントについて解説します。

1. 現状の業務の「見える化」

労働生産性を向上させるためにまず取り組むべきことは、現状の業務フローの「見える化」をすることです。見える化とは、「誰が」「いつ」「どれくらいの時間をかけて」業務を行っているのかを可視化することです。

業務の手順書やマニュアルを作成し、商品やサービスの製造〜販売〜顧客サポートまでの一連の流れを文章や図を用いて明らかにします。この際に、以下の5つを明確にすることが大切です。

  1. 業務名
  2. 担当者 / 担当部署
  3. 業務の発生頻度
  4. 所要時間
  5. 必要なスキル

業務の見える化にはツールを活用しよう

TimeCrowdトップページ画像

同じチームや部署であっても、メンバーがいつ・どのような業務を行っているのかを正確に把握するのは難しいことです。そこで活用したいのが業務内容や時間の見える化をサポートするITツールです。

時間管理ツールTimeCrowd(タイムクラウド)では、組織全体で「何の業務にどれくらいの時間をかけて行ったのか」をひと目で確認することができます。時間のかかる業務を特定することで、業務効率化を妨げるボトルネックを特定して、改善を計ることが可能です。

また、操作方法がシンプルでタスク名を入力してスタートボタンを押すだけで時間を計測してくれるので、「せっかくツールを導入したけれども現場で使われていない」といったことを防げます。

少しでもご興味のある企業様は下記資料より詳細な機能・料金プランをご確認ください。

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▼その他にも業務可視化に役立つツールは下記記事でご紹介していますので、あわせて参考にしてください

2. ムダな業務の削減

現状の業務フローの見える化を行うことで、業務のどこにムダが生じているのかわかるようになります。

ムダな業務は、従業員の労働時間を増やすだけでなく、成果自体を下げる要因になります見える化でリストアップした業務を、本当に必要な作業かを一つずつ見極め、必要ないのであれば「タスクを省略する」「かける時間・要員を減らす」といった対策を行いましょう。

ムダな業務かどうかを見極めるポイントとして、以下の3つを意識しましょう。

  1. 過剰品質のムダ
  2. 待ちのムダ
  3. コミュニケーションのムダ

過剰品質のムダ

一つ目の「過剰品質のムダ」とは、業務を行う際にアウトプットの質にこだわりすぎるあまり、余分な時間や労力がかかってしまうことです。たとえば、チーム内で共有する資料のクオリティにこだわっても、それ自体が直接的にサービスや商品の売上アップにつながることは稀です。

それぞれの業務に求められている品質を理解し、コスト・納期・リスクといった観点から、適切な時間や労力になっているのかを判断しましょう。

待ちのムダ

二つ目の「待ちのムダ」とは、業務が属人化することで、その人にしかできない業務が発生し、他の従業員の業務がストップしてしまうことです。例えば、営業部門の部長であるAさんの稟議がおりないと、顧客との商談に進めない場合、Aさんが不在だと業務自体がストップしてしまう可能性があります。

業務の見える化を行う際には、「誰が」「いつ」「どのくらい」の待ち時間が発生しているのかにも目を向ける必要があります。

コミュニケーションのムダ

最後の「コミュニケーションのムダ」とは、必要以上にコミュニケーションに時間をかけてしまうことです。たとえば、会議が長引いてしまう・メールやチャットのやり取りに時間を取られてしまうといったケースはよく耳にします。

会議のゴールは何かを明確にする、必要な情報を伝えるときは複数回ではなくなるべく一回にまとめて伝えるといったルールを作ることが大切です。

3. アウトソーシングの導入

アウトソーシングとは、自社業務の一部を外部の企業に委託することです。

アウトソーシングを活用することで、自社が本来注力するべきコア業務に従業員・資金・設備などのリソースを集中できるため、サービスの付加価値を高めることやコスト削減に繋がります。

アウトソーシングの活用は多くの企業で広まっており、委託できる業務の範囲も多岐に及びます。

  • 経理 / 給与計算
  • 勤怠管理
  • 営業 / 営業事務
  • カスタマーサポート
  • 総務
  • 広告運用 / マーケティング
  • デザイン / コーディング など

4. テクノロジーの活用

既存の業務で人的に行っている業務を各種ITツールを活用することによって、作業時間を短縮することができます。近年、特に注目を集めているのが「RPA(Robotic Process Automation)」です。

RPAとは、これまで人間のみでしか出来ないとされていた業務を、ルールエンジン・AI・機械学習などの技術を活用して代行する仕組みです。RPAの特徴は、あらかじめ作業の手順やルールが決まっていれば、いつでもミスなく高速で処理を行うことができる点です。

データの入力やコピー&ペースト、交通費や経費の精算チェックなど、定型的で単純な作業を得意とします。RPAは人間とは異なり、24時間365日休みなく稼働できるので、生産性の向上に大きく寄与します。

▼生産性向上に役立つツールは下記記事でご紹介していますので、あわせて参考にしてください

5. 従業員のスキルアップ

従業員一人ひとりのスキルアップを行うことで、より短時間で質の高い業務をこなせるようになり、時間に対する付加価値を高めることができます。

研修や教育プログラムを充実させることや、習得したスキルに応じて人事評価が高まる仕組みを整えることが求められます。

労働生産性を高めるには「TimeCrowd」を活用しよう

TimeCrowd(タイムクラウド)は、国内企業3,500社以上に導入されている時間管理ツールです。タスク名を登録してスタートボタンを押すだけで、リアルタイムで「今」「誰が」「何をしているのか」を一目で把握できます。

業務の見える化を行うことで、無駄な業務を発見して、労働生産性を高めるためのヒントを得られます。また、メンバーやチームごとに時間単価を設定することで、プロジェクトごとの収支管理(人件費管理)を行うことができます。赤字となるプロジェクトやタスクをリアルタイムで確認して、改善に取り組むことができるでしょう。

また、最初の2週間は無料トライアルをご案内しているので、詳細が気になる方は下記資料よりご確認ください。

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