プロジェクトの開始前に、スケジュールを計画する段階で重要になるのが「クリティカルパス」の特定です。
クリティカルパスとは、プロジェクトにおいて最も時間がかかる工程のことを意味します。
クリティカルパスを設定しないと、現実的なスケジュールを作成できなかったり、重大な遅延に気づけなかったりなど、プロジェクトが失敗するリスクが高まります。
本記事では、クリティカルパスが重要な理由や特定する方法について解説します。具体的な例や図をもとに解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
クリティカルパスとは
クリティカルパスとは、プロジェクトにおいて最も時間がかかり、遅延するとプロジェクト全体に影響するような工程のことを意味します。
クリティカルパスを特定しておくことで、スケジュール管理がしやすくなったり、重大な遅延を防ぎやすくなるという点がメリットとして挙げられます。
クリティカルパスを特定して、プロジェクトのスケジュールを設定することを「クリティカルパス法(CPM)」といいます。クリティカルパス法は、1950年代のアメリカで複雑な工程を効率良く管理するための手法として発明されました。
クリティカルパスに関連する用語としては、以下のようなものが挙げられます。
- クリティカルチェーン
- ガントチャート
- PERT図
上記3つの用語とクリティカルパスの違いについて解説します。
クリティカルパスとクリティカルチェーンとの違い
クリティカルチェーン法(CCPM)とは、プロジェクト管理の手法の1つです。クリティカルパスに加えてリソースの依存関係という観点を取り入れている点が特徴です。
クリティカルチェーン法では、各工程の想定時間を必要最低限に設定しておき、余った時間をバッファとして設定します。各タスクにバッファを含めた期日を設定するのではなく、作業Aが完了したら空いたリソースを使ってすぐに作業Bに取り掛かるという流れでプロジェクトを進行します。
クリティカルパスとガントチャートとの違い
ガントチャートは、プロジェクト管理において各タスクや工程の流れを図で表したものです。縦軸にタスク、横軸に日付を記載したチャート図で表現されます。
一方でクリティカルパスは、あくまでスケジュールのなかで最も時間がかかると想定された工程のことです。ガントチャートを作成する段階でクリティカルパスを特定し、バッファを設けたスケジュールを設定しておきましょう。
▼ガントチャートについては、下記記事で作成するメリットや具体例をご紹介しています
クリティカルパスとPERT図との違い
PERT図とは、タスクの依存関係と想定日数を図で表現したものです。以下4つの要素で構成されています。
- 最早結合点時刻:もっとも早く作業に取り掛かれる時点
- 最遅結合点時刻:許容しうる最も遅い作業開始時点
- 余裕日数:各工程における、作業開始までの余裕日数
- クリティカルパス:所要時間が最長の工程
プロジェクト内で必要となるタスクを洗い出し、PERT図を作成することで、クリティカルパスの特定が可能になります。
クリティカルパスの特定には、類似プロジェクトにおいて「どの業務に・どれくらい時間をかけていたのか」がわかる工数データの活用が有効です。
工数管理ツールTimeCrowdを活用することで、プロジェクト内のタスクごとの稼働時間をリアルタイムで計測できます。タスクの開始時と終了時にワンクリックで打刻をするだけで計測できるため、従業員に負担をかけず、工数管理を実現できるのが特徴です。
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工数管理ツール「TimeCrowd」の資料をダウンロードプロジェクト管理でクリティカルパスを明確にするメリット
プロジェクト管理においてクリティカルパスを明確にすることで、以下のようなメリットが期待できます。
- スケジュール作成やリソース配分がしやすくなる
- タスクの優先順位が明確になる
スケジュール作成やリソース配分がしやすくなる
クリティカルパスを明確にすることで、スケジュール作成やリソース配分がしやすくなるという点がメリットとして挙げられます。
クリティカルパスを想定したうえでスケジュール作成ができるので、プロジェクトの遅延が起こりにくくなるのです。
また、リソース配分の観点でも、クリティカルパスを特定することで「どの工程で・どれくらいの人数が必要になるのか」または「どのような人材が必要になるのか」をあらかじめ想定しやすくなります。
タスクの優先順位が明確になる
クリティカルパスをする特定ことで、タスクの優先順位が明確になるという点もメリットとして挙げられます。
クリティカルパスに取り掛かるために、あらかじめ完了しなければならない作業や、クリティカルパスを終えてからでないと取りかかれない作業などを明確にすることができます。
プロジェクトを滞りなく進めるには「いつまでに・何をしなければならないのか」「いま何をしなければならないのか」を常に明確にしておく必要があります。
つまり、クリティカルパスを特定してタスクの優先順位を明らかにしておくことが、プロジェクトを滞りなく進めるためには何よりも重要なのです。
クリティカルパスの求め方やプロジェクトスケジュールの設定手順
プロジェクトスケジュールの設定は、以下の手順で行います。
- タスクを洗い出す
- タスクの依存関係を明確にする
- PERT図を作成し、クリティカルパスを特定する
- スケジュールを設定する
- 評価・改善
クリティカルパスの設定方法を、具体的な例や図を用いて解説します。
1.タスクを洗い出す
まずは、プロジェクトに必要な全てのタスクを洗い出します。
この際に、WBS(作業分解構成図)というフレームワークを利用して「誰が・いつまでに・何をするのか」を整理するのがおすすめです。
▼WBSの作成方法については、以下の記事で解説していますので参考にしてください
また、過去の類似プロジェクトを参考にすると、タスクごとの想定時間をより正確に見積もることができます。タスクごとの所要時間を計測するにはTimeCrowdのような工数管理ツールの導入がおすすめです。
プロジェクトや案件ごとに「どの業務に・どれくらい時間をかけたのか」を確認することができます。
工数管理ツール「TimeCrowd」の資料をダウンロード2.タスクの依存関係を明確にする
次に、タスク同士の依存関係を明確にします。
〈例〉
【プロジェクトに必要なタスク】
- タスクA、タスクB、タスクC、タスクD、タスクE、タスクF
【タスク同士の依存関係】
- タスクC=タスクA、タスクBが完了しないと取りかかれない
- タスクD=単独で作業可能
- タスクE=単独で作業可能
- タスクF=タスクD、タスクEが完了しないと取りかかれない
上記のようにタスクの依存関係を明らかにすることで、取り組むべき順番を割り出すことができます。
3.PERT図を作成し、クリティカルパスを特定する
タスクの依存関係や算出した所要時間をもとに、PERT図を作成します。
タスクを「◯」、依存関係を「→」で表して矢印の上部分に所要日数を記入します。
この時に「◯」の上か下に、最早結合点時刻と最遅結合点時刻を記載します。
最早結合点時刻と最遅結合点時刻にギャップがないタスクを結んだ工程の中で、一番所要時間が長い工程がクリティカルパスです。(上図の場合は赤い矢印で結んだ工程)
クリティカルパスは1つとは限りません。複数の工程がクリティカルパスとなる場合もあります。
4.スケジュールを設定する
作成したPERT図をもとに、スケジュールを設定します。
作成したクリティカルパスをガントチャートに落とし込むことで、クリティカルパスを追跡しながらスケジュールを管理できます。
▼ガントチャートの作り方については、下記記事を参考にしてください
▼プロジェクトスケジュールの設定・管理方法については、下記記事を参考にしてください
5.評価・改善
プロジェクトが終了したら、クリティカルパスの設定に誤差はなかったか、遅延は起きていないかなどを評価します。問題があれば課題を洗い出し、次のプロジェクトで改善できるように解決策を考案します。
プロジェクトのスケジュールを作成する前に、クリティカルパスを設定して所要時間を想定しておくことで、実際にかかった時間と比較ができるため、改善点を探りやすくなります。
各工程での所要時間を算出するには、TimeCrowdのような時間管理ツールを活用するのがおすすめです。
TimeCrowdでは「どの業務に・どれぐらい時間をかけたのか」を可視化することが可能です。タスクの開始時と終了時にワンクリックで打刻をするだけで、タスクごとの所要時間を計測することができます。
計測した時間はCSVデータでダウンロードができるため、想定時間と照合することで、タスクごとの所要時間の予実管理に役立てられるでしょう。
4,000社以上の企業で導入されており、とくにシステム開発・デザイン制作・コンサルティングなどのプロジェクト型ビジネスの現場でご利用いただいています。
▼TimeCrowdの導入事例はこちらからご確認ください
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工数管理ツール「TimeCrowd」の資料をダウンロードまとめ
クリティカルパスとは、プロジェクト内で最も時間がかかり、遅延するとプロジェクト全体に影響するような工程のことを意味します。
プロジェクトの開始前に設定しておくことで、スケジュール作成やリソース配分がしやすくなるほか、タスクの優先順位が明確になるなどのメリットがあるでしょう。
また、クリティカルパスを特定するには、タスクの洗い出しと想定時間の見積もりが重要です。各タスクの想定時間の見積もりには、TimeCrowdなどの時間管理ツールの導入をご検討ください。
TimeCrowdで所要時間を計測しておくことで、過去の類似プロジェクトを参考に正しい想定時間(工数)を見積もることができます。また、タスクごとの想定時間と所要時間を比較して、差分やその原因を分析することにも役立ちます。
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