業務棚卸は、従業員の業務状況を整理して、リソースを適切に活用するうえでは欠かせない取り組みです。
しかし、業務棚卸の方法を理解していなければ手間や時間がかかってしまい、なかなかうまくいかない場合もあります。
そこで本記事では、業務棚卸で失敗しない効率的な進め方を解説いたします。業務棚卸に取り組むメリット、ITツールやフレームワークを活用する方法についても解説いたします。業務棚卸を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
業務棚卸とは?
まず、そもそも業務棚卸とは何かについて解説します。
業務棚卸とは業務の洗い出しと整理を行うこと
業務棚卸とは、現状の業務を洗い出し、整理を行うことを意味します。
業務棚卸を行うことで業務内容を可視化し、業務改善につながる取り組みを検討することが可能です。
業務棚卸の粒度はさまざまで、企業全体・部署・社員一人ひとりといった範囲まで考えられます。そして、業務の洗い出しは、業務内容・作業にかかる時間・コストといった観点で行います。
業務棚卸が注目を集める理由とは?
業務棚卸は、働き方改革やDXの推進に効果が見込めるため、取り組み始める企業も増えています。
- 働き方改革による生産性の向上
- DXの推進による業務のIT化
- 感染症拡大による生活様式の変化への対応
このような企業が抱える課題を解決するうえで、現状の業務内容を可視化できる業務棚卸はとても重要です。
業務内容を整理すれば「不要な業務の削減」「自動化するべき業務の判断」などが一気に進めやすくなります。
業務棚卸を行うメリット
業務棚卸に取り組むメリットについて解説いたします。
従業員のムリ・ムダ・ムラを見える化できる
業務棚卸に取り組む最も大きなメリットは、従業員の生産性を下げる「ムリ・ムダ・ムラ」な業務を可視化できることです。
例えば、業務内容を整理することで、重要度の低い作業に多くの工数を費やしていたり、従業員ごとに作業時間にばらつきがあったりといった状況を把握することができます。
このような課題が明確になれば、作業フローの見直しやマニュアルの整備といった具体的な対策が取りやすくなるでしょう。
従業員ごとの作業量を把握できる
個人レベルで業務棚卸を行うことで、従業員ごとの細かい作業量を把握することができます。
プロジェクト管理ツールや工数管理ツールなどを利用している場合には、プロジェクトに関する作業量や進捗状況は把握しやすいでしょう。
しかし、従業員一人ひとりの作業量までを把握することは難しい場合が多いです。また、従業員が取り組む業務はプロジェクトに関するものだけではない可能性もあります。
管理者として従業員の働き方を把握するためには、定期的に業務棚卸を行い「誰が・いつ・何をしているのか」を確認するようにしましょう。
業務属人化のリスクを軽減できる
業務棚卸は、業務の属人化を防ぐこともできます。
特定の従業員しか把握していない業務がある場合、その従業員が突然休職・退職になった際に対応が難しくなるでしょう。
このような業務を少しでも減らすためには「誰が・何をしているのか」を洗い出し、できるだけ従業員一人で行う作業を減らす取り組みが必要になります。
業務棚卸をするなかで「この業務は◯◯さんだけでやっているの?」と確認をし、属人化している業務がなくなるように調整してください。
▼業務属人化の原因やリスクについては下記記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください
社内のリソースを活用できる
業務棚卸をすれば、社内の人員リソースを正確に把握することができます。稼働に余裕がある従業員や部署を特定できたら、宙に浮いているタスクを依頼していきましょう。
また、業務内容を可視化することで、それぞれの従業員が得意とする業務や苦手と感じる業務もある程度は明確になります。
それぞれのスキルや特性に合った配置や業務の割当を行えれば、限られた人員リソースでも大きな成果を期待できるでしょう。
業務棚卸の進め方・やり方
業務棚卸をスムーズに行うための具体的な進め方について、以下でそれぞれ解説します。
業務棚卸の目的の設定
まず始めに「何のために業務棚卸を行うのか」という目的を設定しましょう。
「とりあえずいろいろな効果が期待できるようだから業務棚卸を行おう」と見切り発車でスタートをすれば、得られる効果が低くなり、失敗する可能性も高まります。
- 不要なコスト削減
- 従業員ごとの残業時間の偏りの軽減
- 生産性アップ
このような目的から具体的な数値目標を設定すれば、従業員一人ひとりが納得感を持って業務棚卸を進めることができるでしょう。
業務内容の調査
目的を設定したら、それに関連した調査を行います。
具体的には「業務内容」「作業時間」「難易度」などをヒアリングします。
調査はアンケート方式で行うのが一般的です。Google Formsなどを活用して、簡単に回答できる選択方式のアンケートを作りましょう。
業務量の集計・分析
次に、アンケートの結果をもとに仕分けを行います。そして、業務棚卸表を作成して業務の集計や分析を行います。
集計は、業務の種類別に作業時間や難易度を整理します。そして、その結果を踏まえて、ボトルネックになる部分(作業難易度が高い、もしくは作業量が多く負荷がかかっている部分)を特定してください。
作業時間を計測するには、TimeCrowdのような時間管理ツールを活用するのがおすすめです。
TimeCrowdは従業員ごとの作業時間を可視化できるツールです。4,000社以上の企業で導入されており、1ユーザーあたり月額550円からご利用いただけます。
下記のようなレポート画面から、チームごと、もしくは従業員ごとに「どの業務に・どれくらい時間をかけたのか」を確認することができます。
常日頃から時間計測をしておくと、リアルタイムで業務状況を把握して業務効率化を図れるのでおすすめです。
最初の2週間は無料でお試しいただけます。また、少しでもご興味のある方は下記のサービス資料より詳細な機能や料金プランをご確認ください。
工数管理ツール「TimeCrowd」の資料をダウンロード業務改善方法の決定と実行
業務分析を行ったうえで、業務改善の方法を決定して実行します。
一度にすべての施策を実施するのは手数がかかり、現実的ではないでしょう。「重要度(改善インパクト)」と「緊急度」をもとに優先順位をつけて、取り組んでみてください。
業務改善の効果検証
業務改善は施策は実施して終わりではなく、効果測定を行ってPDCAを回すことが大切です。
想定した効果が得られていないのであれば、再度現場からヒアリングを行ったり、データ分析を違う角度から行ったりなど、次の施策を模索しましょう。
▼業務改善の具体的な取り組み方については、下記記事もあわせて参考にしてみてください
業務棚卸を効果的に進める方法
業務棚卸を効果的に進めるための方法について解説します。
業務棚卸を行うチームを作る
業務棚卸を推進するチームを作ると、従業員が当事者意識を持って進められるため、効率的に改善が進められます。
マネジメントをする立場のマネージャーがリードをするという方法もありますが、従業員が「業務改善をやらされている」という意識を持ってしまうことも少なくありません。そのような関わり方で業務改善を進めると、業務棚卸に対する不信感や不満が生まれることもあります。
社内で業務棚卸チームを作り、従業員が当事者意識を持つことで、そのような不満が生まれづらくなり、効率的に業務改善を進められます。
業務棚卸は小さな規模からスタート
業務棚卸は小さい規模からスタートし、ナレッジが蓄積したら徐々に規模を拡大させると効果的に行えます。開始時点から規模の大きい業務改善を目的とすると、手戻りや問い合わせといったことが多くなり、改善まで至らないケースも少なくありません。
まずは部署やチームなどの小規模の組織から始めて、成功事例や失敗事例をもとに実施規模を拡大していくとよいでしょう。
従業員一人ひとりに業務改善に対する意識を持たせる
業務棚卸によって業務改善を目指す際には、従業員一人ひとりに当事者意識を持たせることが大切です。現場から業務改善に対するアイデアが出やすくなり、業務改善に向けた施策を推進しやすくなります。
まずは業務棚卸の目的をしっかりと周知することが重要です。そして、会社にとってメリットがあるだけでなく、従業員一人ひとりの業務状況も改善されることを伝えましょう。
フレームワークを効果的に使用する
フレームワークを活用すれば、効率よく業務棚卸を進められます。
おすすめのフレームワークは下記の通りです。
- ECRS
- BPMN
- バリューチェーン分析
- ロジックツリー
▼下記記事では業務改善に役立つフレームワークを詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください
ITツールを活用して継続する
ITツールを活用すれば、業務改善を継続できるような環境づくりができます。
たとえば先程ご紹介したTimeCrowdのような時間管理ツールを活用すれば「誰が・どの業務に・どれくらい時間をかけているのか」を可視化できるため、業務上のボトルネックをすぐに特定することが可能です。
一過性の取り組みにするのではなく、継続してPDCAを回していくことで、業務改善の質はより高まっていきます。
Web上には、業務棚卸用の無料のフォーマットなども多数用意されています。弊社TimeCrowdでも「業務可視化に役立つExcelテンプレート」や「生産性向上に向けた取り組みガイド」をご紹介しています。
ITツールの検討はもちろんですが、ご予算的に難しい場合には、まずはこのようなフォーマットを活用することもおすすめです。
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業務改善の第一歩として業務棚卸を行おう
業務改善を実現したい場合には、まず現状を把握する必要があります。
そのためには、業務棚卸を行い「どの業務に・どれくらい時間をかけているのか」を把握することから始めましょう。
業務棚卸には正しい進め方があります。ぜひ本記事を参考にしたうえで、取り組まれてみてください。