「時間の質」を可視化し、意思決定のための振り返りを実施|「仕事と家庭をトレードオフにしない」XTalent株式会社代表上原様の時間管理術

XTalent株式会社(以下、XTalent(読み:クロスタレント))は2019年の設立以来「フェアな労働市場をつくる」ことをミッションに掲げ事業を展開しています。

ワーキングペアレンツを対象とした転職サービス「withwork(ウィズワーク)」、および企業の*DEI推進支援を行う「DEIコンサルティング事業」には、いずれも代表取締役である上原様自身の経験が色濃く反映されているそうです。

*DEI…『Diversity(多様性)』『Equity(公平性)』『Inclusion(包摂性)』の頭文字を取ったもので、多様な人材が個々の能力を最大限活かせることを狙いとした活動

そんな上原様は時間管理術においても、業務の改善につながる興味深い取り組みを行っているとのこと。XTalent代表取締役 上原 達也様にお話を伺いました。

 

仕事も家庭も、時間の「効率化」をずっと模索してきた

──最初にXTalentの事業について教えてください。

上原:XTalentは設立4年目(1999年設立)の企業で15人ほどのチームで活動しています。「フェアな労働市場を作る」をミッションに掲げていて事業内容は主に2つです。

まずはワーキングペアレンツ向けの転職サービス「withwork(ウィズワーク)」です。キャリア(仕事)とライフ(家庭)をトレードオフにしないための転職支援として、IT企業を中心とした求人の紹介を行っています。

次にBtoB事業である「DEIコンサルティング事業」。DEI推進を図る企業に対し、トレーニングやDEIの浸透度合いを可視化する「DEIサーベイ」の提供、コンサルティングなどを行っています。

──事業設立には上原さん自身のご経験があったのですか。

上原:そうですね。自分は新卒で設立3年目ぐらいのベンチャー企業に入社したのですが、とにかくハードワークだったんです。それは望んでいることではありましたが、子どもが生まれたタイミングで、家庭と仕事、なにかをあきらめないといけないという感覚がずっとありました。

その時の「家庭も大事にできるし、キャリアに対しても思いっきりチャレンジできる」選択肢を増やしていきたいという思いがあり始めた事業です。

 

──家庭も仕事もあきらめずに時間を作り出すのは大変かと思いますが、上原さん自身が時間管理としてやっていることはどんなことでしょうか。

上原:仕事とプライベートは明確な境界はなくシームレスにしています。

働き方はフルリモートにして、出勤時間や移動の時間を極力なくした形で組織運営をしています。夕方になったら家族のご飯を作る。食事担当は僕なので。

仕事においても家庭においても、アウトソーシングできることはやっていくなど、どうやったら生活の時間を効率化できるかを考えながらやっています。

 

──仕事でアウトソースしているのはどんなことですか。

上原:自動化という観点なのですが、日程調整については手での作業はせずSpirを使っています。業務の中でもSalesforceとNotionが繋がるようにするなど、色々と行っています。

昔はExcelや紙で管理していた時期もありました。また、アプリとPC連動で使えるタスク管理ツールを入れるなど、色んなことをずっと見直してきました。

今はNotionでタスク管理用のページのテンプレートを作って、タスクをその中に書き出し、チェックを入れながら終わらせ、週ごとに振り返りをしています。

仕事の内容とかフェーズによって、適した管理の仕方は変わると思いますが、その都度、しっくりこなかった点を見直すことをずっとやってきました。それが今はNotionに落ち着いているという形ですね。

 

──家庭での時間管理に関して何か工夫をしていますか。

上原:家庭だと「三種の神器」としてロボット掃除機と食洗器とドラム式洗濯機が挙げられると思いますが、僕の場合はそこにネットスーパーとホットクックが加わりますね。

朝ネットスーパーに頼んで夕方届く。食事は、ホットクックを2台持っているのですが、一つはスープ、もう一つはメインの料理を作って、火は使わない。それで子どもに肉や野菜をちゃんと食べさせることができます。

そうすると台所に立つ時間は10分もいらないんです。料理のための拘束時間が最小限で済むので、このスタイルはずっと続けています。

 

時間の使い方を詳細に記録し、意思決定のための振り返りを実施

──1週間単位で振り返りをしているとのことですが、どんなことをしているのでしょうか。

上原:自分のタスクの種類を何パターンかに分けてスプレッドシートに記録し、何に時間を使っているのかを振り返っています。

経営を担うようになって、何に自分のリソースを投下しなければいけないのか、実際はどうあるべきかという、As isとTo beのギャップを見直していく必要があると思ったんです。

作業の内容を可視化したいと考え、スプレッドシートに30分刻みで記録を残し自分の時間の使い方を確認しています。

 

──タスクベースではなく「何に対する時間の投資だったのか」を記録しているのですね。

上原:「2つの事業にそれぞれどういう時間の使い方をしたのか」「組織のことを考えるのに時間を使えたか」「採用やスカウトを行いたいが時間が取れているか」などと振り返って「やっぱり現場稼動の時間を抑えないとだめだな。この業務は誰かにお願いしよう」など、意思決定のための振り返りをしているという感じです。

 

「半年後、どういう時間の使い方をしていたいか?」時間の質へのアプローチ

──すごく面白い取り組みですね。TimeCrowdも同様のことが行えるサービスなのですが、事業や業務内容によって、理想の時間数などは設けているのですか。

上原:そうですね。現在、月一回コーチングを受けているのですが、話すテーマは「今はこんな時間の使い方をしているけれど、半年後はどうなっていたいか」というものです。

スタートアップにとって半年はかなり長い時間軸だと思うのですが、その間に事業のフェーズが変わり、自分のやるべきことも変わっていく。それを踏まえて、「次はこの時間の使い方ができるよう変化を起こしておこう」と、ゴールをイメージしながらやるようにしています。

あとは「余白」の時間を作ることにも苦戦しています。例えばどこかで散歩の時間を入れるとか、自分の思考を深めるような時間を取らないといけない。そこはまだ課題です。

──半年後の時間の使い方を考えるのは本当に面白いと感じます。

上原:自分だけでなく、事業責任者やハイレイヤー・ミドルレイヤーの人たちの時間の使い方もデザインできるようにしないといけないと思います。

僕が全体を見ながら「この人にこういう時間を作り出してもらうには、どういう方法が良いか」など横から考えるような役割をしているつもりです。

 

──「時間の質」についてアプローチを行うことで、上原さんだけでなくチームとして変わってきている実感はありますか。

上原:「今の時間の使い方は理想の姿ですか?」「理想でないならどこにギャップがありますか?」と問いかけることでの効果はあると思います。

とにかく忙しくなってしまうのではなく「それじゃいけないんだ」という問題意識を持つこと。自分にも当てはまることですが、やっぱり向き合わないといけないですよね。

 

「仕事と家庭をトレードオフにしない」キャリアデザイン

──ワーキングペアレンツの皆様へ時間管理について伝えたいことはありますか。

上原:ワーキングペアレンツの皆様は、家事の効率化など、時間を作ることに関して非常に試行錯誤していると思います。皆さん、本当に大変な中で頑張っていらっしゃる。それに関して僕が偉そうに言うべきことはありません。

そのうえで…皆さん忙殺されて家事や育児への向き合い方で、悩んでしまう方はたくさんいると思いますが、やはり「余白」を作って自分の「こうありたい」ということをちゃんと考えるようにできればいいですよね。

──上原さんの散歩の時間のように、「余白」の時間を取れるように意識するということですね。

上原:そうですね。例えば転職エージェントに相談する際「まだまだまだ転職について考えがまとまっていないんです…。」とよく言われるのですが、全然まとまってなくていいと思うんですよ。

自分で考えきれないからこそ、不安な感情を持ってきてもらって、転職するとしたらどうすれば「良い転職だった」と言えるのか、それを一緒に探せば良いと思うので。「気軽にご相談ください」というのはいつも思いますね。

 

──確かに転職エージェントさんに相談することも内省の時間になりますね。ワーキングペアレンツの方は、どのようなきっかけで転職への思いにいたるのでしょうか。

上原:色んなパターンがありますが「今の会社だと仕事はできても家庭は大事にすることができない」と悩んで登録いただく方が多いです。

例えば出社するのが当たり前になってしまって、定時まで会社にいないと仕事をしたとみなされない。そういう働き方だと保育園のお迎えにも間に合わない、といったものです。

最近は男性の相談も増えていて、家族との時間を当たり前に持ちたい。でも仕事も同時に頑張っていきたいという相談は多いです。

 

純粋にキャリアアップとか、やりたいことに挑戦したいと考えた時に、一般的なエージェントに相談しても、ワーキングペアレンツのペインが理解してもらえないことが多いです。

育児経験がない人しかいない会社だと、ワーキングペアレンツはマイノリティになって居づらさを感じてしまう。「そんなことを感じる必要のない会社ってどこにあるんだろう」って考えた時に、誰も知らないんですよね。

そういう情報を「withwork」としてはご紹介できている。その点が価値になっていることだと思います。

 

──企業側へのメッセージはありますか?

上原:労働人口が大きく減っていく中で本当に制約がない人ってすごく限定的だと思います。

今は女性だけでなく男性も家庭に入っていくのが当たり前で、ライフイベントによって時間に制約が生まれていく。そんな人たちが活躍できる組織でないと、労働人口獲得の機会が制限され、企業にとっても損失になると思います。

育児に限らず、介護の事情も出てくるかもしれないし、副業やパラレルワークが当たり前な時代です。企業は機会損失に気付き、色んな人たちが活躍できるような取り組みを行うことが必要だと思います。

 

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