プロジェクトにおける作業の内容や流れ、期日などを表にまとめたものを作業工程表と呼びます。
作業工程表を作成して、チームメンバーの間で共有することで、作業効率の向上やプロジェクトの遅延防止につながるといったメリットがあります。
この記事では、作業工程表の種類・メリット・作成手段などについて解説します。
また、作業工程表を作成する際にはスケジュールの計画も必要になります。精度の高いスケジュール計画を立てる際に役立つツールについても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
作業工程表とは
作業工程表とは、開発や建設などのプロジェクトにおいてタスクを計画通りに進めるためのスケジュール管理表のことを言います。
作業工程表には、プロジェクト内で行われる作業内容と、作業の開始日・終了日などが記載されており、全体のスケジュールを確認することが可能です。タスクの完了日や担当者などが明確になるため、スケジュールの適切な管理に役立てることができます。
作業工程表と似たものに「行程表」があります。行程表はおおまかなスケジュールや目標を記載するもので、ロードマップとも呼ばれます。
▼ロードマップについては、下記の記事を参考にしてください
行程表よりも作業工程表のほうが、細かい作業内容やスケジュールを確認することが可能です。
作業工程表の種類
作業工程表には、下記の種類があります。
- ガントチャート・バーチャート
- グラフ式工程表
- ネットワーク工程表
- 工程管理曲線
ガントチャート・バーチャート
ガントチャートとは、縦軸に作業内容や作業完了率を記載する作業工程表のことです。作業スケジュールや進捗状況を確認するのに適しています。
ガントチャートと似た作業工程表に「バーチャート」があります。バーチャートは主に建設業や製造業などで用いられるもので、縦軸に作業内容、横軸に日付を記載します。バーチャートのことをガントチャートと呼ぶ場合もあります。
▼ガントチャートについては、下記の記事を参考にしてください
グラフ式工程表
グラフ式工程表とは、縦軸に進捗率、横軸に日付を記入して、作業完了率を0%から100%の間でつないで表現する作業工程表のことです。
作業内容・完了日・進捗率などを直感的に把握するのに適しています。進捗率と作業完了日を把握しやすいという点がメリットですが、作業同士の関連性がわかりにくいという点がデメリットです。
また、ガントチャートやバーチャートより複雑な作業工程表となるため、作成に時間がかかる可能性があります。
ネットワーク工程表
ネットワーク工程表とは、作業を①や②といった数字で表わして、数字同士を矢印で結んで作業の流れを表現した工程表のことです。
矢印の上に日付を、数字の上に最早結合点時刻(作業がもっとも早く完了する日数)と最遅結合点時刻(作業がもっとも遅く完了する日数)を記載します。
ネットワーク工程表は、作業の流れ・所要日数・想定される最も早い完了日と最も遅い完了日などを把握するのに役立つ作業工程表です。前のタスクが完了しないと次のタスクに移ることのできない、ウォーターフォール型の開発プロジェクトに適しています。
▼ネットワーク工程表の作り方については、下記の記事を参考にしてください
工程管理曲線
工程管理曲線とは、縦線に出来高比率を%で記載して、横軸に日付を記載する作業工程表のことです。プロジェクト全体の進捗率と期日を把握するのに適しています。
工程管理曲線では、通常3つの曲線を表に書き込みます。1つが「予定工程曲線」と呼ばれるもので、基本的にS字型で表わされる曲線です。
そして予定工程曲線の上に「上方許容限界曲線」を作成します。上方許容限界曲線とは、作業を早められる許容範囲を示した曲線で、この曲線を超えていれば作業が早く進みすぎていることになります。
また、予定工程曲線の下には「下方許容限界曲線」を記載します。下方許容限界曲線は作業を遅らせれる許容範囲を示した曲線で、この曲線を下回っている場合はプロジェクトが大幅に遅延しており、納期遅れの危険性があると判断できます。
作業工程表を作成するメリット
作業工程表を作成することで期待できる、下記のメリットについて解説します。
- 役割分担が明確になる
- 遅延防止につながる
- タスク同士の関係を把握できる
- 進捗状況を共有できる
- コスト削減につながる
- 作業効率の向上につながる
役割分担が明確になる
作業工程表を作成するメリットの1つは、タスクの役割分担や責任の所在が明確になることです。
タスクの担当者や責任者が不明確なままでは、作業内容の問い合わせや進捗の確認がしづらくなり、プロジェクトを適切に管理できなくなる可能性があります。
作業工程表で担当者や責任者を明確にすることで、適切な進捗確認や迅速なトラブル対応が可能になるほか、タスクの偏りを防ぐことにもつながります。
遅延防止につながる
作業工程表は、各作業の期日を把握して、遅延を防止するのにも役立ちます。
作業工程表には、プロジェクトにおいて必要な作業内容・日数・日付などが記載されており、担当者が期日を把握しやすくなるという点がメリットとして挙げられます。
また、他のメンバーと期日を共有できるため、チーム内で期日のなかでタスクを完了できるように、協力しながらプロジェクトを進めやすくなります。
タスク同士の関係を把握できる
作業工程表によって、タスク同士の関係性や作業の流れなどを把握しやすくなるというメリットがあります。
ネットワーク工程表ではタスク同士の関連性を、バーチャートやガントチャートなどの作業工程表ではプロジェクトの流れを把握することが可能です。
タスク同士の関連性や作業の流れを把握することで、タスクの思わぬ抜け漏れを防ぐことにつながります。
タスクの抜け漏れや手戻りが発生すると、プロジェクトが大幅に遅延したり、ストップしてしまったりする事態も考えられます。
プロジェクトの失敗や炎上を避けるためにも、作業工程表を用いてプロジェクトの流れを把握することが重要です。
進捗状況を共有できる
作業工程表には、作業ごとの進捗率や日数が記載されています。
作業の進捗状況を把握しやすくなるため、遅延が起きている場合にも早期発見につながり、フォローや期日の延長といった対策を取りやすくなるという点がメリットです。
遅延に気づくのが遅れてしまうと、リカバリーが難しくなります。作業工程表をもとに進捗状況を随時確認することで、遅延が発生した際の適切なフォローにつなげられるというメリットがあります。
コスト削減につながる
作業工程表をチーム内で確認して、期日や進捗状況を把握しながらプロジェクトを進めることで、プロジェクトの遅延による余分なコストの発生を防ぎやすくなります。
万が一、プロジェクトが遅延してしまった場合、期日の延期や追加リソースの投入などで、人件費や経費が想定以上にかかる可能性があります。
工程管理表でスケジュールを管理することで、仮に遅延した場合でも迅速な対応ができるため、過剰な人件費や経費の投入を防ぎ、コストの削減につながるという点がメリットです。
作業効率の向上につながる
作業工程表によって、作業内容・日数・期日などが明確になるため、期日までにプロジェクトを終わらせるように、適切なタスクの割り振りやスケジュールの設計を行えるようになります。
また、チームメンバーにも期日までにタスクを完了させるという意識を共有できるため、チーム一丸となって効率よく作業を進められるという効果も期待できます。
メンバー同士で担当者・作業内容・プロジェクトの流れなどを共有することで、適切なフォローや協力体制の構築につながるという点がメリットです。
作業工程表の作成方法
作業工程表を作成するには、下記3つの方法があります。
- Excelやスプレッドシートで作成する
- 手書きで作成する
- 工程管理システムで作成する
それぞれの特徴とメリット・デメリットについて解説します。
Excelやスプレッドシートで作成する
使い慣れたツールのため、作業工程表をExcelやスプレッドシートで作成している企業も多いでしょう。
テンプレートやフォーマット、図形、関数、マクロなどを活用することで、複雑な作業工程表を作成したり、作成時間を削減したりすることも可能です。
ただし、担当者のExcelスキルに依存しやすいほか、チームメンバー内で編集を行いづらくなるといった点には注意が必要です。
手書きで作成する
少人数で行うプロジェクトや短期のプロジェクトでは、作業工程表を手書きで作成することも可能です。手書きの場合はレイアウトや書式を自由に作成できるというメリットがあります。
ただし、作業工程表の作成に慣れていない場合、手書きだと修正箇所が増えてしまい、かえって不便に感じる可能性があります。
また、原本を紛失してしまう可能性もあるため、PDFのような電子データでバックアップをとっておくのがおすすめです。
工程管理システムで作成する
工程管理システムは、プロジェクトにおける工程管理に特化したシステムのため、作業工程表の作成に必要な機能が揃っています。
直観的に表を作成できるほか、他のシステムと連携をすることで、作業工程表を効率よく作成することができます。
ただし、工程管理システムを利用するためには費用が必要です。また、自社に合うシステムかどうかをよく検討してから導入するようにしましょう。
工程管理システムを導入する際には、必要な機能が備わっているか、操作を簡単に行うことができるかといった点で検討するのがおすすめです。
▼工程管理ならびに工程管理システムについては、以下の記事をご参照ください
作業工程の実績確認にはTimeCrowdがおすすめ
作業工程表をもとに、実際に「想定した稼働時間内でタスクを終えることができたかどうか」を確認するには、工数管理ツール「TimeCrowd」の導入がおすすめです。
TimeCrowdでは、タスクの開始時と終了時にワンクリックで打刻をするだけで「どのタスクに・どれくらい時間をかけたのか」を計測することができます。
また、プロジェクトの開始前に作業工程を見積もる際に、過去の類似プロジェクトを参考にして見積もりの精度を高めることも可能です。
▼TimeCrowdのレポート画面
Google カレンダーやOutlook カレンダーと連携をすることで、タスクの内容を反映して自動で打刻することもできます。メンバーの負担を最小限に抑えたうえで、工数管理を取り入れることが可能です。
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