社内コミュニケーションに役立つソーシャルスタイル理論とは?

就職や転職などを機に新しい会社に入るときは、誰しも「会社の人と仲良くできるかな…」と不安になるものだと思います。また、長く勤めている会社であっても、「なんかあの人、苦手なんだよな…」と思ってしまうような相手が、オフィスに数人はいるものです。このように、社内コミュニケーションの取り方に悩むことは多々ありますよね。

そしてそもそも、会社でのコミュニケーション自体に苦手意識を持つ人も多いのではないでしょうか。学生時代の交友関係とは異なり、会社では幅広い世代の人とコミュニケーションをとる必要があります。話題も必ずしも友人と交わすような楽しい内容ではなく、時には緊張が走るような気まずいことも話さなければならず、そのような場面でのコミュニケーションは更に難しくなります。

また、社内では話している時間も就業時間の一部です。誰もが限られた時間で円滑に仕事を済ませる努力をしています。その中でミスコミュニケーションを避けること、お互いのストレスを軽減するために相手に伝わりやすいコミュニケーションを心掛けることは、業務の効率にも関わるため非常に重要であり、社会人としての基本です。

そこで今回は、あらゆる場面で役に立つコミュニケーションのルール、ソーシャルスタイル理論を紹介します。私自身、営業として日本で働いていた頃や現在勤めているスウェーデンのオフィスでも、この理論から学んだコミュニケーションの取り方のコツがとても役に立っています。今話題のビジネスチャット(SlackやChatwork)との併用の仕方も紹介していきます。

ソーシャルスタイル理論とは

ソーシャルスタイル理論とは、産業心理学者のデイビット・メリルとロジャー・レイドが1960年代に提唱したものです。メリルらは、人々の潜在的な経営力、指導力、そして営業のセンスを見抜く法則を探していました。その研究として、人々が公の場、例えばビジネスの商談の場面など、ある程度の緊張感が伴う場面でどのようにふるまうのかに着目して分析を行い、その結果をソーシャルスタイルとしてまとめました。

このソーシャルスタイル理論によると、人はふるまい方や物事の考え方、意思決定の仕方に好みがあり、その傾向から、大きく4つのソーシャルスタイルに分類されることができるというのです。

人のふるまいの多面性とその傾向に着目したこの理論は、前述の通りある程度の緊張感がある、プレッシャーを感じる場面を対象とした理論です。そのため、私生活でのリラックスした場面というよりもビジネスの場面で参考にされることが多く、世界中の多くの企業が営業職の研修などで対人能力を鍛えるために採用している理論です。

ソーシャルスタイル理論を参考にすることで、相手のふるまいから、その人がどのような手段での情報伝達を好むタイプなのかを予測することができます。結果として、相手にとって心地のよいコミュニケーションを実践することができ、ひいてはより良好な人間関係を築くことができます。

ソーシャルスタイルの種類


ソーシャルスタイルには、「ドライビング」「エクスプレッシブ」「エミアブル」「アナリティカル」の4つのタイプがあります。以下でこの4タイプについて詳しく説明していきます。

<ドライビング(Driving)>

ドライビングは、合理的に目的を達成させたい人です。
そのため簡潔なコミュニケーションを好み、結論を導き出し行動に起こすのが早いです。
意思決定のプロセスが合理的で冷静なため、自分に決定権があることを好み、一見冷たく見えるのも特徴です。
競争心が旺盛という特徴もあり、目的のためには厳しい判断も下します。
一般的に、企業の社長など人の上に立つ人に多いタイプだと言われています。

<エクスプレッシブ(Expressive)>

エクスプレッシブは、感情表現が豊かな人です。
その時々の気持ちや考えを率直に表すため、気が変わりやすいという印象を持たれることもあります。
形式ばらない、人としての温かみのある関係性を築くことを好むことが多いです。
表現が豊かで話好き、新しいことや話題性のあることが好きという特徴もあります。

<エミアブル(Amiable)>

エミアブルは、ほかの人の気持ちを大事にしたい、協調的な人です。
親しみやすく世話好きで謙虚な面もあり、協調的な態度で人の話をよく聴きます。
その反面、自分の意志だけで結論を出すことを好まず、他多数の人の意見を取り入れることを好むという特徴もあります。

<アナリティカル(Analytical)>

アナリティカルは、形式や物事の理屈、分析結果を大切にする人です。
ひかえめな態度で口数が少なく、何を考えているのかわかりにくいことが多いです。
論理性を重視するため、納得できる情報や根拠を吟味してから意思決定をします。
自分が納得いくまで分析を続ける、粘り強い一面もあります。

 

以上4つがソーシャルスタイル理論の基本です。
自分や身近な上司はどのソーシャルスタイルに当てはまりそうですか?

ソーシャルスタイル別!コミュニケーションの取り方のすすめ

「ドライビング」「エクスプレッシブ」「エミアブル」「アナリティカル」の4つのソーシャルスタイルを紹介しましたが、実際のコミュニケーションの中で心掛けたいポイントがあります。

例えば、この4つのソーシャルスタイルの中でも、「エクスプレッシブ」と「エミアブル」の人は相手の人間性に興味を持ち、相手の理解を深める中でその人が信頼できるタイプかどうかを判断する傾向が強いです。その一方で、「ドライビング」と「アナリティカル」の人は、相手の知識や論理性などを重視してその人が信頼できるタイプかどうかを判断する傾向が強いです。

つまり、「エクスプレッシブ」や「エミアブル」の上司には、相手の体調や直近の休暇の話など、プライベートな話を共有し相手を気遣うことが喜ばれるかもしれません。しかし「ドライビング」や「アナリティカル」の方とは、何か役立つ豆知識の共有や、具体的な問題に関する意見交換などを行う方が好印象を与えることができそうです。

コミュニケーションツールでさらにストレスを軽減!

ここまでに紹介したコツを参考にして上司や同僚とコミュニケーションを取る工夫をしていても、根本的に、今が話しかけても大丈夫なタイミングなのかどうかの判断に戸惑うことがあります。

お互いがそれぞれにパソコンを見つめて作業をしていたり、どちらかが忙しなく席を外したり戻ったりしていれば、話しかけるタイミングの見極めは、なおさら難しいでしょう。

そんなときに役に立つのが、SlackやChatworkなどに代表される、ビジネスチャットと呼ばれるコミュニケーションツールです。私が今働いているスウェーデン企業のオフィスでも、このSlackが大活躍中です。

忙しそうな上司にも、こちらから用件だけ送っておけば相手が手が空いた時に返事をくれるのでとても便利です。タイミングが良ければ、すぐに返事がくることもあります。

メールは1日に数回しか開かないけれど、コミュニケーションツールは息抜きの雑談の場、相手に呼びかけるために使うツール、という認識もあるためか、通知がくればすぐに開くことを心掛けている人も多いです。

メールと違ってカジュアルな文面で気楽にやりとりができるので、時短にもなって便利ですね。在宅ワーク中などで社外にいる同僚にもすぐに連絡が付くので、とても重宝しています。

おわりに

ソーシャルスタイル理論は、苦手な人をなくす魔法のコミュニケーションルールとも言われています。職場でのコミュニケーションを改善し人間関係をより良くすることは、ひいては業務効率を上げることにも繋がります。

自分が苦手だと感じる人にこそ、ふるまいを観察してその人のソーシャルスタイルを見極め、情報伝達の仕方や雑談のネタを工夫してみてください。きっと、今までとは違う手ごたえを得ることができるはずです。

また、社内でのコミュニケーションの取り方を改善することは人間関係を改善することにもつながり、仕事が格段にしやすくなりますよ。ぜひ参考にしてください。

参考記事

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