企業の競争力を強化させるにあたって、社員のモチベーション向上は欠かせない取り組みになります。
社員一人ひとりのモチベーションが低下すると、組織全体の生産性も低下してしまう恐れがあります。
メンバーが持つポテンシャルを最大限に引き出して、一人ひとりが主体的に動けるような組織づくりを目指すためには「モチベーションマネジメント」が必要です。
この記事では、モチベーションマネジメントとは何か、取り組むメリットや具体的な方法について解説いたします。
モチベーションマネジメントとは
モチベーションマネジメントとは、社員がモチベーションを高めたり、維持したりできるように、会社や上司が積極的にサポートを行うことを意味します。
近年では人手不足が各企業で課題として挙げられており、パーソル研究所の調査によると2030年には644万人が不足すると言われています。とくにサービス業界では400万人、医療・福祉業界では187万人、卸売・小売業界では60万人が不足することが想定されています。
一方で、先行きが見えづらい世の中で転職を希望する人も増えています。実際にビズリーチの調査によると2022年には「転職等希望者数」が年平均で968万人になり、比較可能な観測範囲では最も多い結果になりました。若者だけではなく、ミドル層と言われる45~54歳男性の希望者数も直近4年で1.5倍になるほどの勢いです。
このような社会背景のなかで、企業側には社員のモチベーションを高めてパフォーマンスを出し続けてもらう工夫が求められます。
人事評価や人材育成の手法を見直したり、働きやすい環境を整えたりなど、モチベーションマネジメントに本腰を入れて取り組むことが重要になります。
モチベーションの種類
モチベーションには「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」の2種類があります。
モチベーションマネジメントを行うためには、まずはこの2つの違いについて理解することが重要です。
内発的動機づけ
内発的動機づけとは、自分自身の内部から生じる動機のことです。
具体的には、下記のようなものが挙げられます。
- 仕事に対するやりがい・達成感
- 仕事に対する興味・関心
- 仕事を通じて自己成長している実感
内発的動機づけは、自分の中にある興味関心ややりがい、達成感がベースになるモチベーションのため、長期にわたって持続しやすいのが特徴です。
ただし、短期的に実現するのは難しく、外部からの一律的なアプローチでは効果が出づらいという側面もあります。
外発的動機づけ
外発的動機づけとは、外部から与えられる評価や報酬に対するモチベーションのことです。
具体的には、下記のようなものが挙げられます。
- 昇給・インセンティブ
- 昇進
- 上司や同僚、会社からの高い評価
仮に内発的動機づけが薄い場合でも、外発的動機づけによってモチベーションを高めることは可能です。
また、会社としては評価や報酬というわかりやすい形で動機づけができるという点もメリットとして挙げられます。
ただし、報酬を得た時点で満足してしまい、モチベーションが長期にわたって持続しづらいという点には注意が必要です。
モチベーションマネジメントを行うメリット
モチベーションマネジメントを行うことで期待できる、下記のメリットについて解説します。
- 生産性の向上につながる
- 離職率を抑えられる
- 社員の自己成長を促せる
- 企業イメージが向上する
生産性の向上につながる
社員のモチベーション向上を図ることで、生産性の向上につながります。
仕事に対するモチベーションが高まれば、より良いパフォーマンスを出すために、一人ひとりが自主的に工夫や努力をします。
その結果、お互いに協力をしたり、時間や優先順位を意識して業務に取り組んだりなど、会社全体の生産性向上にも効果が見込めます。
また、モチベーションの高い社員同士が集まることで、お互いに影響し合い、アイデアの創出やスキルアップにもなり、さらなる事業成長につながる可能性もあります。
離職率を抑えられる
モチベーションが高まれば仕事に対する意欲も向上するため、離職率の抑制につながるという点もメリットです。
社員に対して適切な評価や報酬を与えることで、会社に対する不満や不公平感をなくすことができます。
社員が離職してしまうと新しい人材を採用・育成するためにコストが発生しますが、離職率を抑えることで、余分な採用コストや教育コストがかかるのを防ぐことができます。
社員の自己成長を促せる
モチベーションが高まることで、社員が自主的にスキルを身につけたり、新しいことに挑戦したりして、一人ひとりが自己成長する動きが活発になります。
スキルアップにより事業成長につながることはもちろん、仕事での達成感を得ることで、さらなるモチベーション向上につながる可能性もあります。
企業イメージが向上する
社員のモチベーションを高く維持することで、会社の内部だけではなく外部からのイメージ向上にもつながります。
業務への熱意や誠実さが取引先にも伝われば、プロジェクトを円滑に進めることもできるでしょう。
また「社員のモチベーションが高い」という評判は、採用候補者にも伝わり、人手不足を解消することにもつながります。
社員のモチベーションは、会社のブランディングにも寄与するため、数値では計り知れない影響度があるということがわかります。
モチベーションが低下する原因
モチベーションを高めたり、維持したりするためには、モチベーションが低下する原因について把握して対策を講じる必要があります。
社員のモチベーション低下につながる下記の原因について解説します。
- 評価や待遇に不満や不公平感がある
- 人間関係に悩みや不満がある
- 仕事内容が自分に適していないと感じている
- 実現不可能な目標設定をされている
評価や待遇に不満や不公平感がある
人事評価や給与・インセンティブ・賞与といった待遇に不満があると、モチベーションが低下しやすくなります。
「頑張っていたのにプロセスを評価してもらえない」「成果を出しても評価や給与に反映されない」と感じてしまうと、モチベーションが低下してしまうでしょう。
また「他の人は評価されているのに自分だけ評価されていない」「同じ仕事をしていても評価や報酬に差がある」と感じることで、不公平感につながり、モチベーションが低下するきっかけになります。
人事評価が不透明だったり、年功序列の価値観が強固だったりする場合には、それぞれが不満や不公平感を感じやすいため、人事評価を見直したり、周知できているかを確認してみることが重要です。
人間関係に悩みや不満がある
仕事内容や報酬だけではなく、人間関係も働く上で重要なポイントです。人間関係の悩みや不満は、モチベーション低下の大きな原因になります。
実際にリクナビの調査によると、退職理由の本音は1位が「上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)」、3位が「同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)」という結果になり、約4割が人間関係を原因に退職に至っていることがわかります。
とくに最近では、テレワークにより「うまくコミュニケーションが取れない」「そもそもコミュニケーションを取る機会が少ない」といった状況から、人間関係に不満を抱きやすくなることも原因のひとつと考えられるでしょう。
場合によっては、見えないところでハラスメントやいじめが横行している場合もあり、会社としてはしっかりとした管理体制が求められるところです。
具体的には、マネジャーによる定期的な1on1やカジュアルな人事面談などのメンバーが相談をしやすい環境づくり、コミュニケーションやハラスメントに関する研修などを行うことが挙げられます。
仕事内容が自分に適していないと感じている
仕事内容が自分に適していないと感じる場合も、モチベーションの低下につながります。
「自分のスキルに合っていない」「仕事に興味や関心が持てない」「今の仕事が将来やりたいことにつながらない」と感じてしまうと、なかなか日々の業務に身が入らないという人も多いでしょう。
それぞれの希望も考慮したうえで仕事を進めるためには、1on1や日々の会話を通じて丁寧にヒアリングをすることが重要です。
実現不可能な目標設定をされている
目標設定が高すぎることで、社員が達成感を得られずにモチベーションを低下させてしまう場合もあります。
未達成の状況が続くことで、メンバー同士や部署同士で軋轢が発生してしまうケースも多々あるでしょう。
もちろん事業を成長させるためには、現状維持ではなく、より高い目標設定が求められます。事業のフェーズや会社の状況によっては、一時的に高い目標設定が必要になる場面もあります。
そのようなときには「なぜ高い目標が設定されているのか」「各個人に何を期待しているのか」を明確に伝えたうえで、一方的に責任を押し付けるのではなく、一緒に仲間として取り組んでいく雰囲気づくりが必要です。
仮に達成できない状況が続いた場合でも「なぜ達成できていないのか」を上から強く追求するのではなく、同じ目線で問題に向き合う姿勢が求められます。
モチベーションマネジメントに取り組む方法
モチベーションマネジメントに取り組む、具体的な下記の方法について解説します。
- 評価制度を見直す
- 人材の配置を見直す
- コミュニケーションを活性化させる
評価制度を見直す
評価や報酬に対する不満を解消するためには、評価制度を見直すことが重要です。
成果だけではなくプロセスをしっかりと評価する制度や、評価を適切に報酬として反映する仕組みを作ることで、社員からの納得感や信頼を得やすくなります。
具体的には、スキルマップや評価シートを用いた評価制度の可視化や、360度評価を導入して多角的な視点で評価できる仕組みづくりをすることも1つの方法です。
人材の配置を見直す
人材の配置を見直して、業務の偏りを解消したり、本人のスキルや希望に合う業務を割り当てることも重要です。
業務が特定の社員に集中してしまうことで、心身に疲労を感じてモチベーションが低下する恐れがあります。また、他の社員が「仕事を任せてもらえない」と感じてしまう可能性もあるでしょう。
タスクを割り振る管理者は、現在「誰が・どの業務に・どれくらい時間をかけているのか」を常日頃から把握することが求められます。
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また、タスクごとに時間計測をすることで、一人ひとりがオンオフを意識しながら業務に取り組むことにもつながるでしょう。
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社員同士のコミュニケーションが不足していると、人間関係の不満が溜まりやすくなり、モチベーションの低下につながります。
とくにテレワークの環境ではコミュニケーションが不足してしまいがちです。指示がうまく伝わらなかったり、情報共有がうまくできていなかったりなど、お互いに不満を感じてしまうこともあるでしょう。
コミュニケーションの方法を見直したり、ツールを導入したりして、報連相がしやすい雰囲気を作ることが重要です。
まとめ
モチベーションには、内発的動機づけと外発的動機づけの2種類があります。
社員のモチベーションを高めるためには、モチベーションマネジメントを行い、内発的動機づけと外発的動機づけのいずれも高める工夫が必要になります。
モチベーションマネジメントを行う際には、現状の把握と課題の洗い出しが欠かせません。特にタスクの割り当てを見直すために一人ひとりの業務量やを可視化したい場合には、ITツールを導入して時間データを計測することがおすすめです。
タスクごとの所要時間を計測するためには、TimeCrowdの導入がおすすめです。
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