目標を管理する手法として、数値化して管理する方法があります。
目標を数値化することで、達成までの計画が立てやすくなる、進捗を把握しやすくなるといったメリットがあります。ただし、数値主義に陥ってしまうことによるデメリットもあるため注意が必要です。
本記事では、目標の数値化を行うメリットやデメリット、具体的な目標例について紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目標の数値化とは
目標の数値化とは、達成したい目標を数値化して設定することです。
数値目標といえば、たとえば営業職の「売上◯◯%アップ」といった数値の目標が挙げられますが、人事やカスタマーセンターといった職種でも目標の数値化が可能です。「離職率◯%低下」「顧客満足度◯%アップ」など、数値で目標設定を行うことで、達成に向けた具体的な方策が立てやすくなります。また、人事評価を行う際にも達成度も数値で確認できるため、客観的な評価を行いやすくなります。
目標を数値化するメリット
目標を数値化して管理することで期待できる、下記のメリットについて解説します。
- 行動方針を明確にできる
- 進捗や達成度を把握しやすくなる
- モチベーションが向上する
- 客観的かつ公平な評価ができる
- 軌道修正しやすくなる
行動方針を明確にできる
目標を数値化することで、達成に向けた行動方針を明確にしやすくなります。
曖昧な目標だけを設定してしまうと、達成に向けてどのような行動をしたらいいかがわからなくなります。
具体的な数値で目標設定を行うことで、目標と現状との間のギャップがどれぐらいあり、それを埋めるために何を行うべきかが明らかになるという点がメリットです。たとえば、営業で「売上を上げる」という目標だけだと、どれぐらい上げればよいかわからず、その方法も曖昧になってしまいます。一方で「売上を20%上げる」という数値目標を設定することで、商談数を◯◯件増やすために「展示会で名刺交換を◯◯人とする」「◯◯件の紹介をもらう」、商談獲得率を◯%上げるために「獲得率の高い人を講師として研修を行う」など、具体的な行動方針まで検討することができます。
進捗や達成度を把握しやすくなる
目標の数値化を通じて「現状どこまで進んでいるか」「あとどれくらいで達成できるか」などを確認できるため、進捗や達成度を把握しやすくなるという点もメリットです。
目標が曖昧だったり、定性的な目標だけだったりする場合、正確な達成度が計測できないと同時に、達成できているか/できていないかといった判断も主観的なものになります。
進捗や達成度を定量的かつ客観的に把握し、達成までに何をすべきかの方針を策定するためにも目標の数値化が重要です。
モチベーションが向上する
目標達成までの行動が明確で、数値で進捗を把握できることは、従業員のモチベーション向上につながるというメリットも期待できます。
目標や行動方針が曖昧なままだと、成果を上げられているのかも曖昧になり、モチベーションが低下してしまう可能性があります。仮に成果を上げていた場合でも、数値で把握できないと実感が得られず、モチベーションの向上につながらない場合があるため注意が必要です。
目標を数値化することで「目標達成に着実に近づいている」といった実感や「目標を達成した」という実感を得やすくなるため、モチベーションが高まり、生産性の向上も期待できます。
客観的かつ公平な評価ができる
定性的な目標や曖昧な目標を設定していると、評価が主観的になり、時に不公平な評価をしてしまう可能性があります。
目標を数値化することで、数値という誰の目にも明らかな結果をもとに評価を行えるため、客観的かつ公平な評価ができるというメリットがあります。
最終的な目標到達に至らなかった場合でも、プロセスごとの目標を数値化しておけば、どこまで達成できたかという評価もしやすくなるのがメリットです。また、最終的な達成率と当初の目標を比較して「何が足りなかったか」「今後どうすればいいか」といった方針も立てやすくなります。
軌道修正しやすくなる
目標を数値化することで、進捗や達成度を把握しやすくなります。目標とズレていたり、達成があまりにも困難そうであれば、早めに方針を変えて軌道修正を行えます。
また、目標に無理があった場合は新たな目標を設定したり、行動方針が現実的でない場合は実現可能な方針を決定し直すといった対策を取ることができます。
目標を数値化するデメリット
目標を数値化することで生じる懸念のある、下記のデメリットについて解説します。
- 数値主義に陥る可能性がある
- 数値化していない業務をおろそかにする可能性がある
数値主義に陥る可能性がある
目標の数値化には、達成できたか/できていないかを数値で具体的に把握できるというメリットがありますが、それが昂じて数値主義に陥ってしまう可能性もあります。
数値主義に陥ってしまうと、数値的な達成度しか評価できなくなり、従業員個人の努力や向上心を評価しないことになります。そのような状態に陥ると、従業員のモチベーションが低下し、かえって生産性の低下や離職率の増加につながる可能性があるため注意が必要です。また、数値主義に陥るあまり、数字を取るためならば手段を問わないという姿勢にもつながるため、顧客からの信頼も失う可能性もあります。「数値だけがすべてではない」という考えを常に持ち、組織内にも浸透させることが重要です。
数値化していない業務を疎かにする可能性がある
数値化された目標を追うことだけに注力しようとした結果、数値化されていない業務を疎かにしてしまう可能性もあります。
たとえば「他のメンバーをサポートする」「会社の電話対応かイベント開催を行う」などが挙げられます。すべての業務について目標を数値化できるわけではないため、組織全体のために、数値化していない業務も疎かにせず取り組む意識が重要です。
数値化しづらい業務の場合でも、TimeCrowdのような時間管理ツールを活用することで、タスクごとの所要時間を計測し、生産性向上や業務改善といった目標を立てて取り組むことができます。「日々の業務でどれだけ生産効率が上がっているか」「新しいツールや施策を通じてどれだけ業務改善につながったか」といった計測を行うことで、ある程度の目標設定や効果計測に取り組むことができるでしょう。
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工数管理ツール「TimeCrowd」の資料をダウンロード▼目標を数値化できない業務の評価方法については、下記の記事も参考にしてください
目標数値化の具体例
目標を数値化した具体例を、下記の職種別にピックアップして紹介します。
- 営業
- 事務
- 人事
- コールセンター
営業
たとえば営業職の場合は、下記のような目標が挙げられます。
- 売上高の前年比◯%アップ
- 期初に展示会を開催
- 名刺交換枚数◯◯枚
- 商談獲得数◯件
- 上半期終了までに売上◯◯円獲得
- 下半期期初にもう一度展示会を開催
- 名刺交換枚数◯◯枚
- 商談獲得数◯件
- 上半期終了までに売上◯◯円を達成
事務
たとえば事務職の場合は、下記のような数値目標を設定できます。
- 見積もり作成時間を◯%短縮
- 見積もり作成1社につき時間を◯%短縮
- 顧客対応の応答時間を◯%削減
▼事務職の目標設定を行う方法については、下記の記事も参考にしてください
人事
たとえば人事部の場合は、下記のような数値目標を設定できます。
- 今年度中に◯人新規採用
- 会社説明会を◯回開催
- 応募者数◯人獲得
- 最終面接まで到達した人数◯人
▼間接部門の目標設定を行う方法については、下記の記事も参考にしてください
コールセンター
コールセンターの場合は、下記のような数値目標を設定できます。
- 顧客満足度◯%アップ
- 応答率◯%アップ
- クレーム◯%減
▼コールセンターにおける目標設定の方法については、下記の記事も参考にしてください
目標を数値化する際の注意点・ポイント
目標を数値化する際には、下記のポイントに注意をしましょう。
- 従業員のレベルに応じて目標を設定する
- 経営目標と個人目標の関連性を明確にする
従業員のレベルに応じて目標を設定する
数値目標は、現実的で達成可能な目標を設定するのがポイントです。画一的に数字を課すのではなく、従業員のレベルや得意分野などに応じて目標を設定します。
たとえば、ベテランの社員と新入社員ではスキルや経験が異なるため、同じ数値目標を課したのでは不公平になってしまいます。「昨年に比べてどれくらい成長したか」「いまどれくらいのレベルのスキルや経験を持っているのか」という点を指標にして目標を設定しましょう。
経営目標と個人目標の関連性を明確にする
経営目標と個人目標の関連性を明確にすることも重要です。数字ばかり追っていると、なんのためにこの数字が設定されているのかということを見失いがちです。
経営目標と個人目標の関連性を明確にすることで、会社に貢献できているという実感を得られ、モチベーションの向上が期待できます。
数値化しづらい業務も工数管理で数値目標を設定できる
目標の数値化は「達成までの計画を立てやすくなる」「公正な評価ができる」といったメリットがあります。ただし、過度な数値主義に陥ることで生じるデメリットもあるため、数値化しづらい業務や評価も重視して、バランスを保つことが重要です。
しかし、間接部門を代表としたオペレーション業務の現場では、数値目標を設定しづらいといった課題もあるでしょう。その場合は「タスクごとの所要時間」を計測し、業務効率化や生産性向上の観点で目標を立てることで、目標の数値化が可能です。
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