担当者の退職などで業務進行に支障が出たり、質が低下したことはないでしょうか?社内の各人が積んできた経験と培ってきたノウハウは、会社の資産と言えます。そしてこれを共有することが、個人のスキルアップにつながり、結果的に組織力の向上につながります。今回は、この経験・ノウハウの共有手法であるナレッジマネジメントと、それに役立つツールをご紹介します。
ナレッジマネジメントとは
ナレッジマネジメントとは、個人が持つ知識や経験によって得たノウハウを、社内の部署やチーム、先輩後輩などのつながりに関係なく全員で共有し、生産性向上に繋げる手法のことです。人材の流動性が高まっている昨今、業務のノウハウを1人が専有していることは、企業運営にとってリスクがとても高い状態と言えます。このリスクを回避するために有用なのが、ナレッジマネジメントです。
社内のメンバーが培ってきた知識・経験・ノウハウなどのことを「暗黙知」と呼びますが、これを明文化することで「形式知」に変換され、社内全員で共有可能な状態となります。明文化せずに暗黙知のままにしておくと、困ったときに相談するなど、積極的な働きかけがない限り社内で共有・活用されることは一切ありません。あくまで個人の知識として内に抱えたままとなってしまいます。そのため、有用な暗黙知を持つ個人が退職したり現場から離れたりしてしまうと、業務を遂行するためのノウハウが分からなくなる事態に陥ります。個人の暗黙知=組織の財産と位置付け、全員が共有できる仕組みを作ることが、今後の企業運営には欠かせないものとなるでしょう。
ナレッジマネジメントのメリット
スキルアップ
経験豊富な上司・先輩が持つスキルや業務に対する感覚は、「姿を見て学べ!」と言われてもなかなか難しいものがあります。でも文書化などを通して詳細やツボを見える化しておけば、いつでも誰でも、その内容を読み込んで習得できるようになります。つまり、個々のスキルアップを効率よく図ることができるのです。
組織力の維持・向上
暗黙知を共有するシステムがしっかり構築・運用されていれば、担当者が変更になっても業務の質や量の水準は維持されます。また、他部署の知識も共有できる仕組みがあれば、部署間の連携がスムーズに取れ、組織としての力量向上にもつながります。
業務の効率化
新人とベテランでは、経験の量や質が大きく異なります。これは暗黙知の差であり、この差を上手く埋めることが業務の効率化につながります。対処法が分からずおろおろしたり、調べものに時間を取られて勤務時間が長くなってしまうなど、「分からない=業務効率が悪い」状態を改善するためにも、個人が持つ暗黙知の量や質に左右されない仕組み作りが必要です。
ナレッジマネジメントに活用できるツール
業務を見える化し、新人・ベテランを問わず業務を前に進めることができるような仕組み作りを支えてくれるツールをご紹介します。現場やプロジェクトに最適なツールの導入に役立ててみてください。
社内SNS・コミュニケーションツール
社内SNS導入のメリットは、いつでも誰でも手軽に情報発信や交換ができることです。部署別・プロジェクト別などのグループ作成や、必要なときに必要なメンバーを招集すること、業務に関する各人の知識やノウハウを文字情報として蓄積すること等が可能となります。
ただ注意したいのは、目的によって使い方や最適なツールが異なることです。社員間のコミュニケーションを促進したいのか、業務に関するディスカッションをしたいのか、クライアントを始めとする外部との連携をスムーズに行いたいのかなど、利用目的と職場環境に合ったツールを選ぶことがポイントとなります。
<主なツール>
ChatWork
InCircle
WowTalk
web社内報
kintone
slack など
グループウェア
スケジュールやタスクを管理・共有することを目的として作られたソフトウェアのことです。掲示板やチャット機能、簡易データーベースなどでナレッジマネジメントの仕組み作りが可能です。ツールによって使える機能や有料・無料などのシステムが異なるので、利用目的に応じた検討をすると良いでしょう。
<主なツール>
Microsoft Office 365
J-MOTTOグループウェア
サイボウズ(Office10、ガルーン)
desknet’s NEO
G Suite など
また、ナレッジマネジメント構築の効果検証や業務効率の見える化に最適な「タイムトラッキングツール」としては、TimeCrowdも活用いただけます。個人での時間管理に使えるのはもちろん、管理サイドが各メンバーの状況を把握するのにも最適です。作業者の苦手な業務は何か、ナレッジマネジメントの活用により業務の効率化がどれだけ図れているかなどの把握・分析にもなります。
さらに、ChatWorkやkintoneなどのツールともリンク可能なので、それぞれのツールを組み合わせて活用することより、効果的なマネジメントと業務の効率化に役立てることができます。
まとめ
個人の経験や知識は、会社にとっての財産です。知識を属人的な状態から全員で共有する状態に変えることは、決して簡単なものではありません。いわゆる「できる人」の中には、自身のノウハウを公開・共有することに抵抗を感じる人も少なくないからです。
ナレッジマネジメントの重要性を全員が理解して管理・運用する、長期的な取り組みと仕組み作りが必要となるでしょう。今は便利なツールもたくさん存在しますので、自社に合った形式知への変換と共有方法を構築し、業務効率化に役立ててください。