テレワークは不公平?テレワーカーとオフィスワーカーの不満を解消する方法とは?
2019年4月に政府が発表した「働き方改革」により、テレワークが推進されました。2020年の新型コロナウイルスの流行により、本来の“多様で柔軟な働き方を選択する”という目的ではなく、感染症対策としてテレワークに移行した企業も多いでしょう。
この急激なテレワークの普及により、自宅などでテレワークする人と、出社して仕事をする人の間で不公平だという不満が出ています。なぜ不公平に感じるのか、原因を検証しつつ、不満をなくしてスムーズに働くにはどのようにすればいいのかを解説していきます。
テレワークを不公平と感じる原因
テレワークをしている人とそうでない人の間で、不公平感が生じるのは「相手が見えない」ことが大きな原因です。それぞれの立場から不満に感じるポイントを探ってみましょう。
オフィスワークの人が感じる不公平
まずは出勤している人たちが感じている不公平について見てみましょう。パーソル総合研究所による「テレワークにおける不安感・孤独感に関する定量調査」を分析してみます。
出典:パーソル総合研究所「テレワークにおける不安感・孤独感に関する定量調査」
アンケートによるオフィスワークの人の不満をまとめると、以下のようになります。
- テレワークの人がどのように仕事してるのかわからない
- テレワークの人の顔が見えず、気持ちが察しにくい
- テレワークの人に仕事を頼みにくい
- 電話応対など雑用の負担が大きくなった
- 感染リスクを犯して出社しているのに特に手当などが出ない
- テレワークの人と公平に評価されているのか不安
上記の他にも「自分たちの職種もテレワークできるようにして欲しい」「場所や時間が自由になるのはうらやましい」といった声も上がっています。
オフィス勤務の人たちは、出勤しなければできない仕事があるのは理解できるのですが、それでもテレワーカーの仕事内容が不透明なことから、不公平さを抱いてしまうのです。
テレワークの人が感じる不公平
一方のテレワーカーが感じている不公平はどのようなことか見てみましょう。こちらもパーソル総合研究所の調査結果を元に分析します。
出典:パーソル総合研究所「テレワークにおける不安感・孤独感に関する定量調査」
調査結果をまとめると、以下のようになります。
- 一人で仕事していると疎外感がある
- リアルタイムの情報が回ってこない
- オフィスワーカーの気持ちが察しにくい
- 相談しにくいと思われていそう
- スキルアップやキャリアアップに繋がる仕事を振ってもらえるか不安
- 社内異動の希望が通りにくくなるのではないか
- きちんと評価されるのか心配
- さぼっているのではないかと思われていそう
- 出社勤務の人から不公平だと思われていそう
- オンオフの区別がつきにくい
- 労働時間が長くなりがち
通勤時間がなく、時間や場所の制限がないというメリットもありながら、テレワークをしているとこのような不満が生まれてしまいます。これまで出社して仕事していただけに、オフィスの様子が想像できるので、孤独を感じてしまう場合もあります。
職場のテレワーク率が高いと不公平感が増す?!
パーソル総合研究所の同調査から、さらに興味深いことが浮かび上がってきます。それは、
「職場のテレワーク率と不安感や孤独感」です。下表を見てみましょう。
出典:パーソル総合研究所「テレワークにおける不安感・孤独感に関する定量調査」
調査結果によると、テレワークをする人の不安感も孤独感も、職場のテレワーク率が20〜30%で最も高くなることを示しています。逆にテレワーク率が10%程度の場合と、60%以上の場合では不満は低く同程度。つまりテレワークをしている人は、テレワーカーと出勤者が半端に混在している状況で、強く不安・孤独を感じているということになります。
テレワークの不公平をなくすためには、オフィスの「テレワーカー:オフィスワーカー」の比率も大きな要素となってくるでしょう。
テレワークの不公平をなくすための対策
テレワークと出社の不公平をなくすためには、どのような対策が必要でしょうか。両者が気持ち良く、不安や不満を抱かなくてよくなる対策を紹介します。
【対策①】業務の不透明さをなくす
テレワーカーとオフィスワーカーの最大の壁は「相手が見えない」ことです。ここまで挙げてきたように、テレワーカーがさぼっているのではないか、作業状況がわかないという不透明さを解消すれば、問題のほとんどがクリアできます。
そこで業務を可視化するためにツールを導入しましょう。おすすめのツールは「TimeCrowd」です。TimeCrowdとは、お互いの業務を見える化できる時間管理ツール。Chrome拡張によって文字入力せずに、チャットワークのタスクや閲覧しているWebサイトなどを共有できます。
チームを作成すればチーム内で時間を共有でき、誰が何をしているかもリアルタイムでわかります。相手の作業状況がわかるので、ちょっと話しかけることも可能。業務を振ったり、相談したり、少し雑談したりできるので、孤独を感じることもありません。
オフィスワーカー側としても、テレワーカーが何をしているか見えているので、ちゃんと仕事しているのかな?という疑念を抱くこともなくなります。
☆この対策で解消すること☆
- テレワーカーの疎外感・孤独感がなくなる
- テレワーカーがさぼっているのでは?という疑念がなくなる
- 上司から正当に評価してもらえる
- 相談や業務の依頼がしやすくなる
- コミュニケーション不足が解消される
- オンオフの区別がつきやすくなる
- 労働時間をしっかり管理できる
【対策②】テレワークの目的を明確にしてルールを徹底させる
そもそもテレワークを推進するのは、働き方をもっと自由にしようという目的からです。コロナ禍によってやむを得ずテレワークを導入した企業も多いでしょうが、今一度テレワークの目的をはっきりさせ、就業ルールを徹底させましょう。
業務の内容によっては出社しなければできないもの、テレワークでも可能なものがあります。また家庭の事情などでテレワークが働きやすいという人もいます。
それぞれがよりよいパフォーマンスを発揮できるようにするのがテレワークであり、多様な働き方のひとつであるという認識を、社内で共有することが大切です。
☆この対策で解消すること☆
- 社内異動の希望が通りにくくなるいう不安をなくす
- 上司にきちんと評価されるかという不安をなくす
- テレワークの人はずるいというオフィスワーカーの心情を変える
【対策③】オフィスの環境整備
テレワーカーに対して出社する人が抱く不公平感の中には「オフィスより自宅の方がいい」という感情があります。朝早く起き、満員電車に揺られて、オフィスに着いた頃にはヘトヘトという人も多くいる中、オフィスは「行きたくない所」となっているのです。
だからこそ、オフィスを魅力的な環境に整え「出社したい」と思うような場所にする工夫が必要。費用のかかることなので、今すぐは難しくてもテレワークとオフィスワークの立場を思いやり、オフィスワーカーの満足度を上げる解決策を模索しましょう。
☆この対策で解消すること☆
- オフィスワーカーの出社に対する不満をなくす
- 出社したくない気持ちをなくす
テレワークの不公平をなくし、働き方を自由に!
テレワークが図らずも急速に導入され、テレワーカーとオフィスワーカーの間で不公平を訴える声が上がるようになりました。なぜ不公平感を抱くのか、原因を探り分析したことで、解決策も見えてきます。
この記事で紹介した対策を参考に、双方がよりよく働けるよう、できることから工夫してみましょう。大切なのは、テレワークは多種多様な働き方のひとつの選択肢であるということです。
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