最近、働き方改革の影響で、「”残業する=効率が悪い”という風潮になり、残業しにくい空気になった…。」という声を聞きました。
残業がしにくいせいでサービス残業をしたり、仕事を家に持ち帰ったりと、逆に大変な状況になっている人もいるのではないでしょうか。
働き方改革と終わらない仕事
私の以前の職場は、残業がとても多い環境でした。私の部署はまだ残業は少ない方でしたが、隣の部署は繁忙期に徹夜で働くこともしばしば。隣の部署の同僚も徹夜をすることが月に何度かあったので、健康面がとても心配でした。
働き方改革の影響で、会社はなるべく残業せずに帰れといいますが、そうは言ってもあの仕事量が定時に終わるわけがありません。いくら優秀な人でも、毎日定時に帰っていてはあの量の仕事が片付くわけがないでしょう。
なぜ残業をしてまで働くのか
いくら政府が働き方改革の実現のために「長時間労働を是正する」と法律を整備しても、このように残業をせざる得ない状況にいる人はまだまだ多いと思います。
おそらく、サービス残業や持ち帰りの仕事をしてでも、自分にまかされた仕事はきちんとこなしたいという考え方の人が日本には多いのではないでしょうか。日本人は責任感が強く真面目だと、海外の人からもよく言われますが、そんな国民性が残業してまで働く一つの理由なのかもしれません。
海外では残業しないで帰ることを認め合っている!?
日本のサービスは世界でもトップクラスです。それは、先ほどの「責任感が強く真面目」という日本人の国民性が理由の一つなのだと思います。
しかし海外旅行に行くと、日本ではありえないようなサービスや接客に驚くことがありますよね。
例えば、海外に住んでいる私の友人は、自宅のインターネット回線の修理を頼んだところ、午前中に約束したにも関わらず、修理業者が来たのは夕方だったそうです。しかも修理の途中で終業時間をむかえたらしく、途中で帰ってしまったとのこと…。
日本ではあり得ないことですが、その国ではよくあることのようで、文句は言えなかったそうです。
消費者にとっては大変不便ですが、「終業時間になったら仕事の途中でも帰る」とうことが当たり前の環境であれば、逆に働き手にとっては負担が減ります。その国では、オフィスで仕事をしている人も、たとえ仕事が残っていても残業しないで帰ることをお互いに認め合っているのかもしれません。
不便を受け入れると働き手が少しは楽になる
「消費者にとっては不便ですが、働き手にとっては負担が減る」というエピソードで、あるニュースを思い出しました。2017年の年末、百貨店大手の三越伊勢丹ホールディングスが、これまで新年は元日のみ休業し、1月2日から初売りを開始していていたところを、「正月三が日は休業することを検討している」と発表し、話題になったニュースです。
結局、三が日を休業してしまうと売り上げが減ってしまうことなどから、2018年は三が日の休業は断念しています。しかし、あるテレビ局の視聴者アンケートでは、三越伊勢丹の三が日休業の検討に対し、9割近くの人が賛成したようです。
毎年三が日にデパートへ行くことを楽しみにしていたという人にとっては、三が日の休業を不便と感じるかもしれません。しかし、このように消費者が少しだけ不便を我慢していくことができれば、デパートに限らず様々な業界で、働き手が少し楽になるのではないかなと感じました。
さいごに
日本のおもてなし文化や、日本人の責任感や真面目さは世界に誇れるものです。一方、日本はサービスが良いのが当たり前になってきているからこそ、宅配便の時間指定が遅れたり、お店で待たされたりするとイライラしてしまうこともあると思います。
しかし、働き方改革をすすめる上では、消費者がその不便さを受け入れていく必要もあると感じました。
また、サービス業以外でも、許容範囲の不便はみんなで受け入れ、「仕事が途中でも定時だから帰る」という考え方がもっと浸透していけば、残業の量も減っていくのかもしれません。
日本の良いところは失われずに、ちょうど良い「ほどほど感」で働くことができるといいですね。