ライターのりんごです。
私の夫は、決して「家庭を顧みない」という人ではありません。現在は単身赴任中ですが、毎日必ず電話をかけてきて、起きている時間だったら子供とも話します。また、月に一度は家に帰ってきて家族で過ごします。
しかし、一緒に暮らしていたころ、私がフルタイムで働いていたころも家事分担などは一切なく、それらは妻である私だけの仕事でした。
なぜなら、夫は仕事に時間を取られ過ぎて、そんな余裕が全くないのです。
自分の時間が確保できない日本の労働世代
私の夫の1日はこんな感じです。
7:00 起床
8:00 出勤
8:30〜20:30 仕事
21:00 帰宅・食事・入浴
25:00 就寝
通勤に往復1時間として仕事に12時間、睡眠に6時間。残りの5時間が自分の時間です。とは言っても、そのうち2時間ほどは朝の支度や食事・入浴に使うので、実質テレビを観るだとか、好きなことをできるのは3時間程度しかありません。
休日は週に2度ありますが、社用携帯は曜日を問わず鳴りますし、持ち帰り仕事もあります。休日は自分や家族との時間を楽しむためというより、疲れをとるためのものです。
私の夫が特別忙しいというわけではなく、日本人であれば同程度の時間を仕事に割いている人は大勢いるのではないでしょうか。日本人の労働世代、20~50代の人は「自分や家族のために使える時間があまりにもなさすぎる」と感じます。
だからと言って、老後が心配なく過ごせるほどの収入を得られるかというと、そうでもない。労働しているときは時間がなく、退職して労働を終えたらお金がないなんて、悲しすぎますよね。
ライフワークバランスは個人の問題?
もちろん日本国内にも、会社などの組織に所属しながら仕事以外の時間を充実させている人は数多くいるでしょう。
ライフワークバランスという言葉があります。仕事と仕事以外の生活とのバランスがちょうどよく、両方が充実している状態のことだそうです。現在の日本においては、かなりの人が、このライフワークバランスに偏りがあるのではないかと私には感じられます。
会社によっては、個人の努力ではどうにもならない場合もあります。月2回、半日以上かけて行われる会議や、計画表の提出、どれだけ時間があっても足りないほどの雑務……決して個人の要領が悪いからというだけではないと思うのです。会社側の業務効率化への努力も大事では?と思えてなりません。
そんな中、理想的なライフワークバランスを実現している企業があることも事実です。そして、それらの会社の業績がアップしているというから、やはり…と考えずにはいられないのです。
充実した生活が仕事にも活力を与える
たとえば「マナラ化粧品」でおなじみの「株式会社ランクアップ」は、従業員の約半数が子育て中の女性だとのこと。定時退社時刻は5時半ですが、業務を終えていれば5時退社してもOKなのだそうです。
お給料が同じなら、社員は早く帰れるように集中して短時間で業務を終わらせますよね。実際に、ほぼ全員が5時には退社しており、その習慣ができてから売上高は約3倍近くアップしているとのことなのです。
また、社員が日本一幸せな会社として有名な、岐阜県の電機資材メーカー「未来工業株式会社」は、原則1日7時間15分勤務、年間休日140日(有給休暇別途あり)。
仕事と同じだけの睡眠時間と自分のための時間をそれぞれ確保でき、創業50年間赤字ゼロ。超高給というわけではないようですが、社員がそれなりに満足のいく収入を得られて、理想的なライフワークバランスを実現している超ホワイト企業です。
つまり、適切な労働対価を得ることは絶対条件ですが、超高給というわけでなくても「時間の自由」を与えられれば、人は集中して仕事ができ、よりよい結果を生み出すことができるのではないでしょうか。そして、これらを叶える企業は、やみくもに時短を促すのではなく、社内資料のシンプル化や報連相の最適化、会議の短時間化など、時間の無駄・非効率を排除するルールを徹底しているのです。
仕事をする時間、自分のための時間、家族との時間、休息するための時間。これらのバランスがとれて初めて、人はすべての時間を充実したものにできると思うのです。そして、私生活の質を高めることによって、仕事の質もまた高められていくのでしょう。
人が働きやすい環境を作れば、企業力もアップする、私はそう思えてなりません。
夫の会社もホワイト企業に習ってくれないものだろうか、そんなことばかり考える今日このごろです。