「リモハラって何?」「リモハラが起こらないか心配」という企業は多いのではないでしょうか。
新型コロナウイルスの流行により、リモートワークの導入が加速する中、新しく浮上してきたハラスメントが「リモハラ」です。
リモートワークに慣れずにいるのに、新しいハラスメントの対策まで整えるのは難しいですよね。
しかし、適切なマネジメントを行い生産性アップに繋げるにはリモハラを理解し、対策を整えておかなければいけません。そこで今回の記事では、リモハラの具体例や発生する原因、防止対策を徹底解説します。
リモハラとは?
まずは、リモハラとは何なのかについてチェックしていきましょう。
リモートワーク中に起こるハラスメント
リモハラとは「リモートハラスメント」の略で、リモートワーク下で起こるハラスメントのことです。一般的なハラスメントでも知られる、「セクハラ」と「パワハラ」のリモートバージョンといえます。
そのため、普段からハラスメントに注意している人は「自分はリモハラなんてしない」と考えるかもしれません。しかし、受け取る側が不快感やショックを受けてしまえば、その行為や発言はハラスメントに該当します。
リモートならではの距離感やコミュニケーションに戸惑っているなら、知らず知らずのうちにリモハラを行ってしまう可能性は否定できません。
リモハラに該当するといわれる事例
以下のように、リモハラに該当する事例はさまざまあります。
- ウェブ会議を必要以上にやろうとする
- 過剰に仕事状況や態度についてチェックされる
- 上司が部下の画面背景に映り込んだ部屋の様子について口出しする
- 業務に関係ない通話やチャットを強要される
- リモート飲み会の参加を迫ってくる
事例を見てみると、問題ないと思っている業務や会話も、リモハラになってしまう可能性があるということがわかるのではないでしょうか。
リモハラが起こる原因
リモハラを発生させないためには、なぜ起こってしまうのかを理解しておくことが大事です。ここで、リモハラが起こる原因を押さえていきましょう。
仕事とプライベートの境界線が曖昧
リモハラは、仕事とプライベートの境界線が曖昧な環境にあるため起こります。Web会議やビデオ通話は相手のプライベートが垣間見えたり、1対1で話すことで距離が近くなったと感じたりなどすることがあり、仕事とプライベートの線引きが難しいです。
そのため、いつもと変わらない態度で接しているつもりでもハラスメントと誤解を受けることや、上司と部下の関係性を見失ってしまうことがあります。
世代による価値観のギャップ
世代による価値観のギャップも、リモハラが起こってしまう原因の1つと考えられます。ダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社が行った調査によると、年代別に以下のような認識の違いがあることが明らかになっています。
出典:世代別ハラスメントへの認識調査、50代と20代で「リモート会議での顔出し強要」への感じ方に19.3%のギャップありの実態
上司が部下に、テレワーク下で仕事をしているかを確認するため、日報送付を義務付けることに対して、パワハラにあたると感じる50代は2割ほど。その結果に反し、20代はおよそ5割がパワハラだと感じているようです。
こうした世代間のギャップを理解せずにいると、知らず知らずのうちにリモハラしていることもあると考えられます。
慣れない管理体制の中で過剰に対応してしまう
いきなりオフィスワークからリモートワークにシフトして、戸惑いを感じているのは部下だけではありません。管理職側も、慣れない管理体制に不安を感じることがあるのです。
「仕事をサボっていないか?」「連携をきちんと取らなければ」など過剰に気にし過ぎると、頻繁に報告を求めたり、監視するような振る舞いをしたりしてしまいます。そんな上司の態度に部下がストレスを感じてしまえば、リモハラだと受け取られることがあるのです。
新型コロナウイルス感染症の流行によるストレス
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、ストレスが溜まりやすい環境にあることも、リモハラの原因として考えられます。思うように外出できなかったり、我慢しなければならないことが増えたりする中で慣れないリモートワークを進めていれば、さらにストレスが溜まることもあるでしょう。
ストレスから普段では気にならない発言や態度も、不快に感じることがあるかもしれません。
リモハラ発生を防ぐためにできる対策
リモハラ発生を防ぐためには、ストレスが溜まりにくい仕事環境を整えることが大事です。他にも、企業としてリモハラ発生を防ぐためにできることがあります。ここでは、リモハラが発生しないためにできる対策をご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
リモートワークの業務体制作りや周知をする
リモハラ発生を防ぐには、リモートワークの業務体制を整えることが大事です。リモートワークに関する就業規則が明確になっていて従業員に知れ渡っていれば、慣れない環境下でも不安や悩みを軽減できます。
また、就業規則と併せてハラスメント防止に関する規程も、就業規則に盛り込んでおくことが有効です。上司も部下も頼れる指針を明文化することで、リモートワークをスムーズに進められ、リモハラに発展する可能性を低くすることができるでしょう。
業務に関係のない発言はしないよう徹底する
リモートワークでは、業務に関係のない発言は控えるのが無難です。仕事とプライベートの線引きがあやふやなリモートワーク下では、コミュニケーションを取るつもりの言葉でも部下に不快感を与えてしまう可能性があります。
雑談をする場合でも、業務の延長上やニュースなど、当たり障りない話題を振るのがベターです。上司の立場にある人を対象に、発言には注意することを周知しておきましょう。
部下の負担にならない連絡頻度を保つ
「仕事をしているか」といった心配な気持ちが先走ってしまうと、部下からの連絡を必要以上に求めてしまう上司がいます。しかし、部下の負担になるほどの過剰な連絡頻度であれば、リモハラにあたる可能性が高いだけではなく、生産性ダウンに繋がる恐れもあるのです。
リモートワーク下の進捗報告は朝のミーティングにする、定期的なWeb会議で報告するなど、負担にならない連絡頻度を決めておきましょう。連絡もグループチャットや自分のタイミングで入力できる管理表などを連絡しやすい方法を準備しておくと、より配慮できることでしょう。
ハラスメントの啓発や周知を徹底する
ハラスメント防止には、対処法や認識の啓発・周知が必要です。社内のハラスメントに対する理解・認識が高ければ、リモハラが起こる可能性は低くなります。
ハラスメントの勉強会や啓発セミナー、文書の配布などを積極的に行ってみましょう。会社がハラスメントに対する姿勢を示すことで、従業員の意識も大きく変わっていきます。
リモハラを報告されたときの対処法
リモハラ防止策を講じても、被害を報告されることがあるかもしれません。万が一、リモハラを報告された場合は、以下の対処は徹底しましょう。
- 加害者に対する対処:ハラスメント防止の研修に参加させるなど
- 管理職全体に対する対処:リモハラ発生事例を報告し、同じ問題を起こさないように注意喚起
改めてハラスメントに対する理解・知識を深めて、再発防止に努めることが重要です。
リモハラを防げる体制作り・周知を徹底しよう
リモハラは、どんな人でも知らず知らずのうちに行ってしまう恐れがあります。発生を防ぐためには個人の意識や理解も必要ですが、リモートワークが円滑に進むような業務体制を整えておくことが大事です。
業務体制が整っていれば、慣れない環境下で仕事を行うストレスを軽減することができ、起こらなくていいリモハラを防ぐことに繋がります。従業員が快適なリモートワークを進められるように、リモハラを防げる体制作りや周知を徹底してみてください。