従業員一人ひとりが、どれくらいの成果をあげているのかを表す「労働生産性」。日本企業の労働生産性は、先進国の中でも非常に低い数値であると言われています。
本記事では、日本企業の労働生産性が低い理由や、労働生産性を高める方法についてご紹介します。
日本企業の生産性
「日本人は労働時間が長い」というイメージを持たれる方も多いでしょう。しかし、その労働生産性は主要先進国のなかでも非常に低い数値であるのが実態です。
実際に、公益財団法人 日本生産性本部が2021年に実施した調査内容によると、日本の時間当たり労働生産性(就業1時間当たりの付加価値)は49,9ドルで、OECDに加盟する38カ国のうち27位のようです。これは米国の85ドルと比較すると、6割弱にあたります。また、同調査によると、1人あたりの労働生産性は81,510ドルで、OECDに加盟する38カ国のうち29位のようです。これは1970年以降で最も低い順位であり、生産性が年々低下していることが伺えます。
そもそも生産性とは何か
そもそも「生産性」には、下記の2種類があります。
- 資本生産性
- 労働生産性
資本生産性とは、企業が保有する設備や機器などの資本がどれくらいの成果を出しているのか、を示す指標のことです。一方で、労働生産性とは従業員一人あたり(1時間あたり)がどれくらいの成果を出しているのか、を示す指標のことです。
▼生産性の意味や計算式については下記記事も参考にしてください
本記事では、多くの企業で課題として挙げられている「労働生産性」に注目して解説していきます。
労働生産性とは
労働生産性とは、生産要素(インプット)に対して、生産物(アウトプット)がどれくらい得られたのか、を示す割合のことです。
<計算式>
- 労働生産性=生産物(アウトプット)/生産要素(インプット)
生産要素(インプット)とは、労働量を意味します。例えば、1製品の商品開発に投入した従業員数や総労働時間のことです。一方で、生産物(アウトプット)とは、労働したことによって生産される成果を意味します。例えば、製品の生産数量や付加価値額の数値化が挙げられます。
製造工場で例えると、1つの製品を完成(アウトプット)させるのに、どれくらいの時間と労力(インプット)を費やしたのかにより、労働生産性が決まるということです。
つまり、労働生産性を高めるためには、インプットに対してアウトプットを大きくしなければなりません。同じ製品を少人数かつ短時間で完成できるようになれば、生産性が高まるといった仕組みです。
「付加価値労働生産性」と「物的労働生産性」とは
労働生産性は、生産物(アウトプット)に応じて下記の2種類に分けられます。
- 付加価値労働生産性
- 物的労働生産性
付加価値労働生産性では「労働者一人あたりがどれだけ付加価値の高い仕事を行っているのか」を数値で表すことができます。
<計算式>
- 付加価値労働生産性=付加価値額(※1)/(労働者数)または(労働者数✖️労働時間)
※1:営業利益から人件費、減価償却費を引いた値
つまり付加価値労働生産性とは、実質「一人あたりが生み出した粗利益」とも言いかえられます。
一方で、物的労働生産とは「一人あたりがどれだけモノやサービスを生成できているのか」を示す指標のことです。事業の生産能力や生産効率を確認する目的で利用されます。
<計算式>
- 物的労働生産性=生産量/(労働者数)または(労働者数✖️労働時間)
日本企業の生産性が低いと言われる原因
日本企業の生産性が低いと言われる原因としては、以下の3つが挙げられます。
- 長時間労働が蔓延しているから
- モチベーションが上がりづらい評価制度だから
- 効率化が進んでおらず、本質的な業務に集中しづらいから
それぞれ具体的に解説します。
長時間労働が蔓延しているから
生産性の低い企業の特徴として、労働時間が長く残業が当たり前になっている風潮が挙げられます。大きな問題は、仕事量が多くて残業するのではなく、上司や同僚、部下が残業しているから自分も残業しなければならないといったマインドです。
「どうせ残業するのであれば自分の仕事を定時までに終わらせる必要がない」といったマインドや風潮が長時間労働に繋がってしまいます。その結果、インプット(労働時間≒人件費)が増えてしまうため、アウトプット量が比例して増大しない限り、生産性は低下してしまうのです。
モチベーションが上がりづらい評価制度だから
生産性の低い企業は、昇給やボーナスの評価制度に原因があるかもしれません。多くの日本企業では、効率よく成果を出した従業員よりも、長時間働いた従業員を評価する“年功序列”の風潮がまだまだ根強く残っています。
労働生産性を高めるには、いかに効率よく短時間で成果を生み出せるのかを考えて働かなくてはいけませんが、現状の評価制度では報酬を得るために長時間働くことを余儀なくされているのが実情です。
当然、この評価制度が変わらなければ、労働者のモチベーションが上がらず、インプットに対するアウトプット量も増えないため生産性は上がりません。同時に労働生産性の高い従業員のモチベーションが下がり、優秀な人材の流出にも繋がります。
効率化が進んでおらず、本質的な業務に集中しづらいから
ここ数年の社会変化のなかで、社内でDXが一気に普及した企業もあるでしょう。一方で、紙文化・ハンコ文化がまだ根強く残っている企業も数多くあります。
経費申請やデータ更新などの雑務に従業員の働く時間がとられてしまうと、どうしても本質的な業務(=利益に直結する業務)に当てる時間が減ってしまいます。
また、古くからあるメール文化もそのひとつです。特有の冗長表現ルールや、送信へのハードルの高さから、コミュニケーションのスピードが遅くなってしまいがちです。情報共有が遅れてしまえば、意思決定が遅れるため、重要な業務をなかなか前に進められなくなります。
生産性を高める3つの方法
こうした問題を改善するためには、以下のような施策が必要です。
- 業務内容を可視化して、ボトルネックを特定する
- 業績連動給与・賞与などのインセンティブ給を導入する
- 業務効率化ツールを導入する
それぞれの改善方法について解説します。
業務内容を可視化して、ボトルネックを特定する
そもそも「なぜ長時間労働が蔓延しているのか」そのボトルネック(原因)を特定することが重要です。前述でご紹介したように、長時間労働の原因として残業が当たり前のマインドであることが一つ挙げられます。
しかし「業務量が多い」「人手不足」「マネジメント不足」などが原因である場合も考えられます。従業員の業務内容を日報で管理する企業も多いですが、就業時間中にリアルタイムで確認できないほか、提出と確認に手間がかかり、実施自体が形骸化している場合が多いでしょう。
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従業員がワンクリックでタスク内容を登録して打刻するだけで「誰が・いつ・何をしているのか」、そして「どの業務に・どれくらい時間をかけているのか」をリアルタイムで確認することができます。
時間のかかっている業務(=ボトルネック)を特定できれば、改善策を検討できます。また、業務内容や業務時間を社内で可視化することで「そもそも無駄な業務を発生させないようにしよう」という心理が働き、組織全員で業務効率化に取り組む雰囲気を作れるでしょう。
さらにはタスク開始時に打刻をすることで、従業員に時間意識が芽生えて、労働生産性の向上にも繋がります。
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給与・賞与での還元は、従業員のモチベーションに大きな影響を与えます。
高い成果を生み出した従業員へインセンティブを付与することで、各従業員が成果を目標として、限られた時間のなかで業務に最大限取り組むようになるでしょう。評価制度には「就業時間内に達成できたのか」という項目を加えると、残業時間の発生を防ぎつつ、労働生産性を高めることができます。
業務効率化ツールを導入する
労働生産性を高めるためには、アウトプットに結びつく本質的な業務に専念しなければなりません。そのためには、ITツールを活用して、できるだけその他の業務を効率化する必要があります。
たとえば経費精算であれば「楽楽精算」がおすすめです。
出典:楽楽精算
楽楽精算は、経費申請に関わる業務を効率化できる経費精算ツールです。領収書などの帳簿書類を撮影すれば自動で保存・仕訳・管理をクラウド上で行ってくれます。
いつでも・どこでも申請できるため、テレワークの推進に繋がる効率化ツールです。初期費用10万円+月額費用3万円からご利用いただけます。
また、電子印鑑であれば「シヤチハタクラウド」がおすすめです。
出典:シヤチハタクラウド
シヤチハタクラウドは押印業務を電子化できるツールです。「ハンコ文化」を無くすだけでも、平均3日かけていた社内決裁を30分間に短縮することができると言われています。1人あたり月額110円(税込)からご利用いただけます。
また、事務作業(毎日のデータ更新やお問い合わせ対応)の効率化を図りたい企業には「Robo-Pat」がおすすめです。
出典:Robo-Pat
Robo-Patは、事務作業を自動化することで作業時間を削減できる効率化ツールです。プログラミングや技術に関する専門知識がなくても、簡単にロボ(RPA)を作成できます。1か⽉の無料トライアル期間があるため、ご興味のある方はぜひお試しください。
また、情報共有であれば「DocBase」というツールがおすすめです。社内のマニュアルを電子上で一元管理できます。
出典:DocBase
DocBaseは、高いセキュリティが特徴で、操作履歴の保存やメンバーの権限変更などの安全性を高める機能が搭載されています。30日間の無料トライアル期間もあるため、ご興味のある方はぜひお試しください。
▼その他にもおすすめの業務効率化ツールは下記記事でご紹介していますので、あわせて参考にしてください
▼生産性を向上させる方法や、おすすめのツールは下記記事も参考にしてください
企業が生産性を高めるためには、業務可視化が欠かせない
本記事でご紹介したように、日本企業の労働生産性が低いことは実際の数値を見ても明らかです。その要因としては、古くからの労働環境や評価体系が挙げられます。
しかし、国際的な市場競争の激しさや国内の人手不足の影響から、各社は本気で生産性向上に向き合わなければならない時代になりました。
生産性向上に向けた取り組みとして、まずは「何の業務がボトルネックになっているのか」を特定することから始めましょう。
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