組織全体の生産性向上や、働きやすい職場環境の実現を目指すには、業務課題を特定して改善することが重要です。
業務課題には、さまざまな種類や原因があるため、現状を可視化したうえで課題を洗い出し、的確な改善策を立てる必要があります。
この記事では、業務課題の洗い出し方や具体的な改善方法について解説します。
具体的なアイデアや、課題を深掘りするためのフレームワーク、業務状況の可視化におすすめのツールなどについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
業務課題の改善が重要な理由
業務課題の改善を行うことで、下記のようなメリットがあります。
- 生産性やモチベーションの向上
- コストの削減
生産性やモチベーションの向上
業務改善を行うことで、業務全体の効率化が進み、生産性の向上につながります。
また、職場環境が整うことで業務を行いやすくなり、従業員のモチベーション向上にもつながります。離職率の改善も見込めるため、人手不足が叫ばれる昨今では、取り組むメリットが大きいと考えられます。
コストの削減
業務が非効率なままでは、手戻りや長時間労働が発生することで、想定以上にコストがかさんでしまう場合があります。
業務課題を可視化して改善することで、過剰な経費や人件費を削減できるため、コストダウンにつながります。
業務課題の種類
業務課題には、おおきく分けて下記3つの種類があります。
- 発生型
- 潜在型
- 設定型
発生型の業務課題
発生型の業務課題とは、すでに発生しており、可視化されている業務課題のことです。
- 売上の低下
- クレームの増加
- 業務上のトラブル
- 納期遅延
すでに課題が可視化されているため、迅速に改善策を立案できます。
ただし、原因となる業務課題が別に存在していたり、複数の課題が絡みあっていたりなど、複雑な場合があるため、原因を適切に見極めることが重要です。
潜在型の業務課題
潜在型の業務課題とは、まだ表面化はしていないが、今後発生するリスクがある課題のことです。
- 働き方がアップデートされていない
- 顧客や市場のニーズが変化している
- 競合他社が増加、成長している
- 社会情勢や経済の動向が変化している
このように、社内の要因だけでなく、外部の要因に影響されるものも含まれます。
潜在型の業務課題は、深刻な課題として表面化していないため可視化が難しい場合があります。また、対応の可否や時期を定めるのが難しいことも特徴です。
問題が深刻化する前に、将来を見据えて早めに手を打つことが重要です。
設定型の業務課題
設定型の業務課題とは、企業が設定した目標に対する、現状とのギャップのことです。
- 売上◯◯%向上
- 残業時間◯◯時間削減
このように目標を立てて、達成するために改善するべき課題を洗い出します。
業務課題が発生する原因
業務課題が発生する、代表的な原因について解説します。
- オフィス環境やツールの不備
- マニュアルや業務フローの不整備
- 業務の属人化
オフィス環境やツールの不備
オフィス環境が整っていない場合、業務が非効率になり、業務課題が発生する原因となります。
- 関連部署との席が離れすぎている
- コミュニケーションの手段が乏しい
- 空調設備が整備されていない
このような状況では、従業員のパフォーマンスが落ちてしまいます。
また、業務ツールが使いづらい、機能が不十分であるといった場合にも注意が必要です。現場に即していない業務ツールは、かえって業務効率を低下させる原因となります。
マニュアルや業務フローの不整備
マニュアルや業務フローの不整備も、業務課題の原因となります。
マニュアルや業務フローが存在しない、古い情報のまま更新されていない場合、メンバーが入れ替わるたびにキャッチアップに時間がかかる恐れがあります。
業務の属人化
特定の情報やスキルが特定の従業員に集中している場合にも注意が必要です。
情報の共有不足や人材の育成不足などで業務の属人化は発生します。このような状況では、特定の従業員に業務が集中するため、効率が落ちてしまいがちです。
また、急な業務増加や欠員に対応できず、ミスや納期遅れなどの深刻なエラーにつながる可能性があります。
▼業務属人化の原因やリスクについては下記記事を参考にしてください
業務課題を改善する方法
業務課題を改善するには、下記のステップで進める必要があります。
- 現状を把握する
- 目標と現状のギャップを洗い出す
- フレームワークを活用して改善策を立てる
- PDCAを回しながら業務改善を行う
現状を把握する
業務課題を改善するためには、まずはどのような業務課題があるのかを把握する必要があります。
可視化する方法には、下記のようなものがあります。
- 業務データを取得する
- 従業員へのヒアリングやアンケートを行う
業務データを取得することで「誰が・どの業務に・どれくらい時間をかけているのか」を特定できるため、業務改善につながります。
また、ヒアリングやアンケートによって、従業員それぞれが感じている課題や不満を洗い出すことができます。データ上には現れにくい、定性的な課題や潜在的な課題を洗い出すことに役立つでしょう。
工数管理ツール「TimeCrowd」では、タスクの開始時と終了時にワンクリックで打刻をするだけで、従業員ごとの稼働状況を可視化することができます。下記のようなレポート画面から「どの業務に・どれくらい時間(人件費)をかけているのか」がリアルタイムでわかるため、すぐに課題を特定できる点が特徴です。
Google カレンダーやOutlook カレンダーと連携をすることで、カレンダーの内容に基づいて自動で打刻を行うことも可能です。レポート画面は自動で反映されるため、集計の必要もありません。
TimeCrowdはシンプルな操作性から、累計4,000社以上の企業様にご利用いただいています。少しでもご興味のある方は、下記のサービス資料から詳細な機能や料金プランについてご確認ください。
工数管理ツール「TimeCrowd」の資料をダウンロード目標と現状のギャップを洗い出す
現状を可視化できたら、つぎに目標や理想とのギャップを洗い出します。
- 売上アップ
- 残業時間の削減
- コスト削減
- 離職率・休職率の削減
このような目標に対して、現状と比較してどれくらいギャップがあるのかを洗い出します。
フレームワークを活用して改善策を立てる
目標と現状のギャップを洗い出せたら、改善施策を立案します。
その際には、フレームワークを活用するのがおすすめです。業務課題の可視化や改善に役立つフレームワークは下記の3つです。
- ECRS
- QCD
- ロジックツリー
ECRS
ECRSとは、下記4つの視点から業務フローを見直して、改善点を洗い出すためのフレームワークです。
- Eliminate(排除):削除可能な業務や工程がないか
- Combine(結合と分離):複数の業務プロセスをまとめたり、同時に行ったりすることが可能か
- Rearrange(入れ替えと代替):業務の順番や場所、担当者を入れ替えられるか
- Simplify(簡素化):業務フローの簡素化が可能か
ECRSは活用の幅が広く、さまざまな業種や職種で役立てられるのが特徴です。
QCD
QCDは、「Quality(品質)」「Cost(コスト)」「Delivery(納期)」の頭文字をとったフレームワークです。
Quality(品質)を維持・向上しながらCost(コスト)を抑え、Delivery(納期)を守ることを目標としています。主に製造業で使われていたフレームワークですが、さまざまな業種や職種に活用できます。
業務改善に取り組む際に注意したいのが、コストを抑えようとするあまり品質が落ちたり、リソースが不足したりした結果、納期を守れなくなることです。品質・コスト・納期のバランスを保つためには、どのように業務改善を進めていくべきか、しっかりと検討する必要があります。
ロジックツリー
ロジックツリーは、ツリー構造で業務フローや課題を分析するフレームワークです。
ツリー構造には「Whatツリー」「Whyツリー」「Howツリー」「KPIツリー」などがあります。
- Whatツリー:事象を分解して構成要素を可視化し、体系的に整理する
- Whyツリー:課題の原因を深掘りして体系的に整理する
- Howツリー:課題解決のための改善策を深掘りする
- KPIツリー:目標達成のために必要なプロセスを洗い出して体系づける
▼業務改善に役立つフレームワークについては、下記の記事でも解説していますのであわせて参考にしてください
PDCAを回しながら業務改善を行う
改善施策を立案できたら、すぐに実行に移ります。
実際に取り組む際には、業務改善の意義やメリットをしっかりと従業員に説明したうえで、協力してもらうことが重要です。
また、業務改善を行ったあとは効果を測定することも重要です。想定よりも効果が出ていなかったり、目標を達成できなかった場合には、もう一度改善施策を立て直して再度実行します。
業務課題の解決アイデア例
業務課題を解決するためのアイデアとして、下記のようなアイデア例があります。
- デジタル化・ペーパーレス化を進める
- 業務フローやマニュアルを見直す
- 一部の業務をアウトソーシングする
- 適切な人員配置を行う
デジタル化・ペーパーレス化を進める
社内全体でデジタル化が進んでおらず、アナログな業務が蔓延していると、やがて業務が非効率になってしまいます。
ITツールを導入していない場合は、導入をすることでデジタル化やペーパーレス化を進めることも1つの方法です。
ITツールを導入する際には、下記のポイントを意識して比較検討していきましょう。
- 予算に合うか
- 自社の業務フローに即しているか
- インターフェースが使いやすいか
業務フローやマニュアルを見直す
業務フローやマニュアルが不十分だったり、情報が不正確だったりした場合には、最新版に更新する必要があります。
また、フローそのものに非効率な箇所や無駄なフローが存在する場合には、フロー自体の改善も必要です。
デジタル化やペーパーレス化を進める際に、稟議・承認・連絡などのフローを変更しなければならないケースもあるため、必要に応じて見直しを行いましょう。
▼業務フローの改善方法については下記記事を参考にしてください
一部の業務をアウトソーシングする
一部の業務をアウトソーシングして、コスト削減を行うことも1つの方法です。
アウトソーシングは、定型業務や独自性の少ない業務に適しています。たとえばテレアポ・コールセンター・経理業務・給与計算といった業務です。これらの業務に特化した業者にアウトソーシングをすることで、効率化やコスト削減を図ることができます。
ただし「社内にスキルが蓄積しづらくなる」「セキュリティの管理を厳重に行う必要がある」といった点にも考慮が必要です。
適切な人員配置を行う
従業員の経験・スキル・キャリア志向などが、現在の配置に適していない場合、十分なパフォーマンスを発揮できずに効率が落ちてしまう恐れがあります。
従業員一人ひとりの特性を見直し、適切な人員配置を行うことも業務課題の1つの方法です。
▼人員配置を行う際のポイントについては下記記事を参考にしてください
業務課題の洗い出しには工数管理がおすすめ
業務課題を洗い出す際には、まずは現状から把握することが重要です。
時間がかかりすぎている業務がある場合、業務プロセスが非効率になっていると考えられます。業務ごとの所要時間を見直すには、TimeCrowdのような工数管理ツールの活用がおすすめです。
TimeCrowdは、シンプルな操作性で「誰が・どの業務に・どれくらい時間をかけているのか」を記録できるツールです。記録したデータはリアルタイムで可視化されるため、業務上の課題をすぐに特定することができます。
▼(例)TimeCrowdのレポート画面
メンバーごとの時間単価を設定することで、各業務にかけた人件費を算出できるため、プロジェクト(案件)ごとの収支管理にも最適です。
累計4,000社以上の企業様に導入いただいた実績から、各社の業務フローに合わせたご提案が可能です。
少しでもご興味のある方は、下記のサービス資料から詳細な機能や料金プランについてご確認ください。
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