休暇の取得促進、在宅勤務制度の導入、さらには株式会社オトバンクで出されたという満員電車通勤禁止令など。最近、働き方改革のための企業のさまざまな取り組みが話題になっています。そんな中、「ABW」という言葉を聞いたことはありませんか?ABWは、年間平均労働時間が最も少ないとして知られるオランダの企業、Veldhoen + Companyによって世の中に広められたワークスタイルで、日本でも導入する企業が増えているそうです。今回は、この「ABW」について調べてみました。
ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)とは?
ABW(Activity Based Working)とは、簡単にいうと、働く人自身が、仕事の内容(Activity)に合わせて、いつ、どこで働くかを選ぶ働き方です。たとえば、集中する作業は静かな部屋を選んだり、みんなでアイデアを出し合うような打ち合わせはソファでしたりするなど、自由に場所を選んで働くことが特徴です。
このABWの考え方をオフィスの空間作りに取り入れる企業も増えているそう。たとえば、集中して作業ができる個人スペースや、少人数のオープンミーティングスペース、カウンター席や気軽にコミュニケーションが取れるようなラウンジ、電話ブースなど…。ひとつのオフィスの中でも、仕事の内容・目的によって場所を選ぶことができます。
従来のフリーアドレスは、オフィス内でどのデスクで仕事をするかを選ぶだけという企業も多かったと思いますが、ABWはフリーアドレスよりも仕事内容(Activity)に特化したもの。
ABWの考え方を取り入れた企業では、個人個人がその日の仕事内容に合わせて働くスペースを決めることができるため、より集中してより効率よく仕事ができそうですね。
ABWはオフィスの中だけのものではない
ABWの考え方を取り入れると、働く場所はオフィスの外だって選ぶことができます。パソコンさえあれば、どこでも作業可能という仕事だってもちろんありますよね。
私もオフィスに出勤した日に、「今日の作業、オフィスに来なくても家でもできたんじゃない?」と思うこともあります。通勤時間が長く、満員電車でストレスを感じながら通勤している人も多いと思います。最近は、フレックスタイムを取り入れている企業も多いですが、仕事後の家事や子育ての関係で、どうしても通勤ラッシュ時に出勤しないと勤務時間が足りないという人も多いのではないでしょうか。
ABWの考え方を取り入れると、その日の仕事内容によって、終日在宅勤務を選ぶこともできます。また、「午後のミーティングに合わせて、午前中は家で仕事、通勤ラッシュを避けてオフィスへ向おう」「クライアントの会社で打ち合わせがあるから、打ち合わせ後はその近くのカフェで少し作業をして直帰しよう」というような働き方も選べます。
ABWを取り入れることによるメリット
ABWを取り入れるとさまざまなメリットがありそうです。仕事の内容に合わせてふさわしい場所を選び作業ができるため、もちろん生産性はあがるでしょう。また、自ら仕事内容に合わせて働く場所を選ぶということは、日々、自分がやるべきことを積極的に考えながら仕事を進める必要があるので、自然と自主性が高まります。
他にも、移動時間の無駄がなくなるなどのメリットも期待できそうですね。その結果、仕事以外で使える時間も増え、ワークライフバランスの向上にも繋がります。また、通勤時間に感じるストレスが減るということも大きなメリットだと思います。通勤時間によるストレス以外でも、従来の固定の席で仕事する場合、集中して仕事をしている時に、隣の人の電話の会話に集中を妨げられるというようなストレスもなくなります。もしかしたら、仕事をする場所を選べることにより、人間関係のストレスが減るという人もいるかもしれません。さまざまなストレスが減ることで、仕事の生産性向上以外にも、何かしらのストレスが原因で仕事を辞める人も減るというメリットもありそうです。
ABWの考え方を取り入れる企業が増えると、仕事の効率があがり、労働人口も増え、働き方改革にもいい影響があるかもしれませんね。