「テレワークとは?」と聞かれたら、「在宅で仕事すること」という感じで簡単には答えられても、詳しく説明するのは難しいですよね。テレワークの定義や働き方については意外とあやふやなままで、導入の検討をきっかけに改めて疑問に思った人も多いのではないでしょうか。
テレワークとは、簡単に説明すると「インターネットを利用して通常のオフィスから離れた場所で働くスタイル」のこと。今回はそうしたテレワークの定義からメリット・デメリット、導入のポイントまで詳しく解説します。本記事を読んでテレワークに関する疑問を解消し、導入を進める際のヒントを見つけてみてください。
テレワークとは?簡単に解説!
冒頭でテレワークについて簡単に説明しましたが、さらに詳しくチェックしていきましょう。
場所や時間にとらわれない柔軟な働き方
テレワークとは、「情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用して場所や時間の制約を受けることなく働けるスタイル」を指します。
テレワークという言葉は、「tele(離れた場所)」と「work(働く)」の2つの単語を合わせた造語。1970年代のアメリカ・ロサンゼルスにて、自動車による大気汚染や石油危機といった問題を解消するため、導入されたのがテレワークだといわれています。
「雇用型」と「自営型」の2つに分けられる
テレワークには、以下のような「雇用型」と「自営型」の2つの形態があります。
- 雇用型テレワーク:事業者と雇用契約を結んだ労働者が行うテレワーク
- 自営型テレワーク:注文者から委託を受けてインターネットなどを活用し、離れた場所から成果物の作成やサービスを行う就労
企業に勤める社員がテレワークを行う場合は「雇用型テレワーク」に該当。雇用を結ばずに仕事を発注し、離れた場所にて作業するような場合には、「自営型テレワーク」に該当します。
働き方は3タイプ
テレワークという働き方は、働く場所によって以下の3タイプに分けられます。
- 在宅勤務:自宅
- モバイルワーク:顧客先や移動中
- サテライトオフィス勤務:勤務先以外のオフィススペース
在宅でテレワークしているなら「在宅勤務」のタイプに該当。顧客先や外回り中、カフェなどで働く場合は「モバイルワーク」、本拠地以外の事務所やシェアオフィスなどの場所でテレワークしている場合は「サテライトオフィス勤務」と呼ぶことができます。
サテライトオフィス勤務については、都心に拠点のある大企業が災害や電力不足などで、業務ができなくなるリスクを回避するために採用するケースが多いです。
テレワークのメリット
テレワークとは、オフィス勤務にはないメリットがある働き方です。そのメリットは、企業側にも従業員側にもあります。ここでは、テレワークのメリットを「企業側」「従業員側」別にチェックしていきましょう。
企業側のメリット
企業側がテレワークを導入するメリットは、以下の通りです。
- オフィスコスト(電気代やペーパーなど)を削減できる
- ワークライフバランスを実現し、社員のモチベーションアップや作業効率アップが期待できる
- 育児や介護などによる社員の離職を防げる
- 場所を問わず優秀な人材を確保できる
- 災害や感染症流行に備えることができる
テレワークのメリットは、会社が抱える問題・課題の解決に効果を発揮します。また、社内だけでなく環境負荷軽減や雇用増加といった社会貢献に繋がることもあるのです。
従業員側のメリット
企業がテレワークを導入すると、従業員は以下のようなメリットを受けられます。
- 通勤や移動の時間を削減できる
- 育児や介護などで仕事を諦めずに済む
- 家族とのコミュニケーションやプライベートの時間が増える
- 通勤ラッシュに巻き込まれない
- 自分の仕事だけに集中できる
- 災害や感染症流行の際にも、外出の危険性を回避しながら仕事できる
従業員がメリットを受け取ることにより、モチベーションアップや生産性アップも見込めます。
テレワークのデメリット
メリットがある反面、テレワークにはデメリットもあります。テレワーク導入を進めるなら、デメリットのことも理解しておくことが重要です。ここでは、テレワークのデメリットを「企業側」「従業員側」別に見ていきましょう。
企業側のデメリット
テレワーク導入による、企業側のデメリットは以下の通りです。
- 労働時間の管理・把握が難しい
- 従業員の理解が得られない場合がある
- セキュリティを確保する必要がある
- テレワークのための評価基準やルールを定める必要がある
- チーム体制の案件は働きにくい
テレワークは従業員が離れた場所で働くため、従来通りのルールや環境では通用しないことがあります。情報漏えいのリスクが高まるので、セキュリティ面も課題に挙げられるのです。テレワークの導入は、このようなデメリットを考慮し準備を進めていくことがポイントになります。
従業員側のデメリット
企業がテレワークを導入することで、従業員は以下のようなデメリットを受けることも考えられます。
- オン・オフの切り替えが難しい
- コミュニケーション不足
- 相談や連絡が会ってできない
- 仕事の過程が評価されにくく、成果を上げる必要がある
個人差はありますが、在宅勤務のタイプではプライベートの場所で仕事することになるため、オン・オフの切り替えが難しいでしょう。育児や介護との両立がしやすい分、そちらに気をとられてしまう可能性も考えられます。従業員が受けるデメリットも理解しておくと、テレワークの導入に気をつけるべきポイントが見えてくるはずです。
テレワーク導入のポイント3つ
テレワークの導入には、以下のポイントに気をつけて行いましょう。
- 労働管理方法
- 情報通信システム・ツール
- 従業員の作業環境
それぞれ詳しく説明していきます。
労務管理方法を考える
テレワーク導入の際には、労働管理方法について見直しを図る必要があります。週に1、2回のテレワーク導入の場合は、現在取り入れている労務管理方法でも通用しやすいです。
しかし、フルでテレワークを導入するのであれば、通常の労働時間制から裁量労働制に変更したり、テレワーク独自の評価制度を整えたりなど検討が必要になってきます。
自社に合った労働管理方法を整えることで、テレワークがスムーズに進められるでしょう。
情報通信システム・ツールを考える
情報通信システムやツールについても、テレワーク導入を進める際に検討しておきましょう。離れた場所で働くには、情報システムやツールが仕事をスムーズに進める鍵となります。
ITC環境についてどのシステム・サーバーを利用するか、携帯電話の支給は必要か、Web会議システムやチャットツールは何を導入するかなどを検討しましょう。とくにセキュリティ面については、しっかり配慮しておく必要があります。
従業員の作業環境を考える
テレワーク導入には、実施する従業員の作業環境について配慮しておくことが大事です。テレワークが辛いと社員が感じてしまえば、モチベーション低下に繋がることもありえます。
プライベートに配慮しつつ、作業しやすい環境の配備ができないかを検討してみましょう。通信環境や光熱費の経費負担の取り決めや机やイスの支給など、対応できる範囲を考えてみてください。
「テレワークとは?」を理解して制度を整えることがポイント
テレワークとは、簡単に言うとインターネットを利用し、通常のオフィスから離れた場所で働くスタイルのこと。テレワークにはメリット・デメリットがさまざまあるので、導入の際には理解しながら環境配備を進めましょう。
企業の状況やコストも考慮しつつ、自社に合ったテレワークの制度・スタイルを検討してみてください。