コールセンターの業務状況を把握する指標のひとつとして「稼働率」があります。稼働率は、オペレーターが勤務している時間のうち、どれくらいの時間を顧客対応にかけているかを表す数値です。
この記事では、コールセンターでの稼働率と、その計算方法について解説します。稼働率の水準を適正に保つ方法や、稼働率を把握するうえでおすすめのツールなども紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
コールセンターでの顧客対応時間を示す稼働率
稼働率とは、オペレーターがコールセンターで勤務している時間のうち“顧客対応”にかけている時間の割合を指します。
電話での案内や、場合によってはメールやチャットなどの応対、対応終了後の事務処理、待機時間などが該当します。ここでは研修やミーティングの時間は含まれません。
また、稼働率のなかでも顧客対応にあてている時間を「生産時間」と呼びます。顧客対応以外の業務にあてている時間については「非生産時間」と呼び、研修・ミーティング・待機時間・休憩時間などが該当します。
これらの値を適正な水準で維持することで、業務の効率化や生産性の向上、働き方の改善などにつながります。
占有率との違い
稼働率と同じく、顧客対応にかけた時間を表す指標として「占有率」があります。占有率とは、“オペレーターが稼働している時間のうち”顧客対応にあてた時間の割合を指します。たとえば通話時間・対応後の事務処理・保留時間などが該当します。
稼働率には待機時間が含まれますが、占有率には待機時間は含まれません。つまり、稼働率が高く占有率も高い場合は、顧客対応に割く時間が多いということになります。一方で、稼働率が高く占有率が低い場合は、待機時間が長いということになります。
応答率との違い
応答率とは、顧客の問い合わせに対してオペレーターが応答した割合を指します。たとえば電話がかかってきた回数が100の場合、応答した回数が50回なら応答率は50%、80回なら80%ということになります。
応答率は、オペレーターの人員配置が適切かどうかを判断する指標です。応答率が低い場合はオペレーターが不足しているか、1回の顧客対応に時間がかかりすぎている可能性などが考えられます。
コールセンターの稼働率の計算方法
稼働率は、下記の方法で計算します。
- 顧客対応をした時間÷勤務時間×100=稼働率(%)
(例)
- 顧客対応時間6時間÷勤務時間8時間×100=稼働率75%
- 顧客対応時間5.5時間÷勤務時間8時間×100=稼働率約68%
- 顧客対応時間7時間÷勤務時間8時間×100=稼働率87.5%
顧客対応時間の計測方法は、コールセンターによって異なります。計測のルールを現場で統一することで、より正確な状況を把握できます。
コールセンターの稼働率の内訳
コールセンターの業務改善を行うには、顧客対応時間の内訳を把握することも重要です。
同じ顧客対応の時間でも、内訳が細かいほうが改善すべき課題が見えてくる場合があります。
(例)稼働率75%の場合
- 顧客対応率6時間(通話時間3時間+事務処理1時間+待機時間2時間)÷勤務時間8時間×100=稼働率75%
- 顧客対応率6時間(通話時間2時間+事務処理1時間+待機時間3時間)÷勤務時間8時間×100=稼働率75%
2つ目の例のように、待機時間が長い場合には、人員配置を見直したり、待機時間を研修にあてたりなど、何かしらの業務改善を検討する必要があります。
コールセンターにおける適切な稼働率の目安
コールセンターの稼働率は、一般的に80〜85%程度が適正な水準と言われています。
稼働率が高すぎる場合や、逆に低すぎる場合には、業務フローが非効率だったり、オペレーターに負荷がかかり過ぎていたりなど、人員配置が適切でない可能性があります。
稼働率が高すぎる、もしくは低すぎる場合のデメリットについて解説します。
稼働率が高すぎる場合のデメリット
オペレーターの稼働率が高すぎる場合には、顧客対応にかけている時間が過剰に長い可能性があります。
ただし、稼働率が高く応答率が低い場合には、放棄呼(オペレーターが応答する前に顧客やシステムが切断したコール)率が高かったり、顧客の待ち時間(保留時間)が長いおそれがあります。
また、稼働率と占有率が高く、応答率が低い場合には、オペレーターが顧客対応にかけている時間が長すぎる可能性が考えられるため、人員配置や業務フローの見直しが必要です。
稼働率が低すぎる場合のデメリット
稼働率が低すぎる場合には、オペレーターの人員が多い・生産性が低い・業務効率が悪いなどの原因が考えられます。
稼働率が70%を切る場合には、オペレーターの数が過剰になっていないか、研修やミーティングなどの顧客対応以外の業務に時間を使い過ぎていないかなどを確認してみるのがおすすめです。
また、稼働率・応答率・占有率の関係性も重要です。稼働率が高いにも関わらず応答率が低い場合には、オペレーターの数以上のコールが鳴っていることになるため、人員配置の見直しが必要です。一方で、稼働率も応答率も低い場合には、業務フローが非効率になっている可能性があります。
コールセンターでの稼働率を適切に保つ方法
コールセンターの稼働率は、高すぎる場合でも低すぎる場合でも、それぞれにデメリットがあります。
適正な水準を保ちつつ、生産性の向上やオペレーターの負荷軽減に取り組む方法について解説します。
こまめなステータス管理
単純に稼働率の数値だけをチェックするのではなく「どのような業務に・どれくらいの時間をつかっているのか」を管理することが重要です。
通話中・情報入力中・待機中・離席中・研修中といったステータスと、それぞれにかけている時間をこまめに管理します。ステータスを管理することで、時間がかかりすぎている業務を把握できるため、適切なフォローや業務フローの改善につながります。
ステータスごとの時間を記録するには、時間管理ツールの導入がおすすめです。
TimeCrowdではタスクの開始時と終了時にワンクリックで打刻をするだけで「誰が・どの業務に・どれくらい時間をかけているのか」を記録することができます。記録されたデータは自動で集計・可視化されるため、リアルタイムで業務状況を確認できる点が特徴です。
▼(例)TimeCrowdのレポート画面
メンバーごとに稼働単価を設定することで、プロジェクトごと・タスクごとに人件費を計算することもできます。非効率なプロジェクトやタスクがあれば、すぐに詳細を確認して改善に移せる点が大きなメリットだといえます。
また、Amazon Connectと連携することで、通話時間を自動で記録することも可能です。
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工数管理ツール「TimeCrowd」の資料をダウンロード TimeCrowdの無料トライアルに申し込む適切な人員調整
稼働率が高すぎる、もしくは低すぎるといった場合には、人員配置が適切でない可能性が考えられます。
稼働率が高くても待機時間が長い場合には、オペレーターの人数が多すぎる場合があります。また、稼働率と占有率がともに高い場合や、稼働率が高いのに応答率が低い場合には、オペレーターが不足している可能性も考えられます。
適切な人員調整を行うには、シフト制にしたり時短勤務を取り入れることなども1つの方法です。また、スキルが偏っている場合も稼働率や占有率に影響が出るおそれがあるため、スキルや経験の偏りを均一にするように人員配置を行う必要があります。
▼人員配置の方法やポイントについては、下記の記事をご確認ください
閑散期や待機時間の有効活用
閑散期や時間帯によっては、やむを得ず待機時間が増える場合があります。
その際には、待機時間を有効活用して研修を行い、スキルアップを通じて生産性を高めることで、全体的な稼働率の改善につながります。
オペレーターへの適切なケア
オペレーターは心身に負担を感じている場合が多いため、ストレスで生産性が下がったり休職や退職してしまったりしないように適切にケアを行うことが重要です。
とくに稼働率だけでなく、占有率や応答率が高い場合には、キャパシティを超えている可能性があります。オペレーターに過剰な負荷がかかっているおそれがあるため、フォローやケア、人員調整、配置転換などでオペレーターの負荷軽減を検討してみましょう。
▼コールセンターのマネジメントについては、下記の記事をご確認ください
コールセンターの稼働率の適正化には現状把握が必要
コールセンターでの稼働率は、勤務時間に対して顧客対応をした時間の割合を指します。
ただし、待機時間も含まれるため、稼働率だけでコールセンターの業務実態を正確に把握することはできません。応答率や占有率など、複合的に業務実態を把握し、改善施策を講じる必要があります。
コールセンターの稼働率の適正化には、正確な現状把握が欠かせません。TimeCrowdのような時間管理ツールを使って、稼働時間の内訳を把握することをおすすめします。
集計した時間はレポート画面から確認できるため、管理コストを抑えつつ時間管理を導入することができます。2週間の無料トライアル期間もご用意しているので、少しでもご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
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