コールセンターにおける目標設定(KPI設定)の方法とは?具体例や設定時のポイントなどを解説

コールセンターでは「どのように目標設定をするべきか」悩んでいる管理者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、コールセンターにおける目標設定(KPI設定)の方法や具体例、設定時のポイントなどを解説いたします。コールセンターを管理する立場にいる方はぜひ参考にしてください。

コールセンターで目標設定(KPI設定)を行うメリット

コールセンターでは、目標設定を行うことで下記のようなメリットがあります。

  • 業務効率が高まる
  • 適切な評価を行える
  • サービス品質が高まる

業務効率が高まる

具体的な数値目標を設定することで、従業員は達成に向けて効率的に業務を進めるため、無駄な作業を削減することができます。

結果として業務効率が高まり、生産性の向上や働き方改革の改善などにつながります。

適切な評価を行える

目標設定は適切な評価を行う上でも重要な役割を果たします。

従業員それぞれの貢献度を客観的に評価し、報酬や昇進に反映させることで、従業員のモチベーション向上につながります。

サービス品質が高まる

目標設定はサービス品質の向上にも貢献します。

顧客満足度を数値化して目標として設定することで、従業員は顧客視点を持って業務に取り組むようになり、より質の高いサービスを提供できるようになります。

コールセンターにおける目標設定(KPI設定)の方法

目標設定は、下記のステップで行われます。

  1. KGI(重要目標達成指標)を決める
  2. KGIの達成に必要な要素(KSF)を洗い出す
  3. KPI(重要業績評価指標)を決める
  4. KPIの達成に必要なタスクを整理する

KGIを決める

まずは達成したい最終的な目標(KGI)を明確にします。たとえば「顧客満足度を◯%向上させる」や「営業利益を◯%増加させる」などが挙げられます。

ビジネス上の目標を定量的に表すことで、関係者の目線を合わせて、向かうべき方向性を揃える役割を果たします。

KGIの達成に必要な要素(KSF)を洗い出す

KGI達成のために必要な要素をKSF(重要成功要因)といいます。たとえば「顧客満足度を◯%向上させる」というKGIに対しては、「応答率の向上」「処理時間の短縮」「オペレーターの知識向上」などがKSFとなります。

KSFは、後述するKPIの設定に重要な役割を果たします。まずはKGIの達成に必要な要素をMECEに(漏れなくダブりなく)洗い出すことから始めましょう。

KPIを決める

KSFを数値化し、具体的な目標を設定します。たとえば、「応答率を95%にする」「平均処理時間を5分に短縮する」などがKPIとして挙げられます。

KPIとは、KGIの達成に必要な各プロセスにおける中間目標となるものです。KPIを設定することで活動指針が明確になり、各メンバーの取るべきアクションに迷いがなくなるほか、目標設定に向けた振り返りを短期的に行いやすくなるといったメリットがあります。

KPIの達成に必要なタスクを整理する

各KPIを達成するために、どのような行動が必要なのかを具体的に洗い出します。たとえば「応答率を向上させる」ためには「オペレーターの研修強化」「電話システムの改善」などが考えられます。

さまざまなタスクが洗い出されるため、緊急度や重要度、費用感や工数感などを考慮したうえで優先順位をつけてから取り組みましょう。

コールセンターにおける目標設定(KPI設定)の例

コールセンターでは、下記のような観点からKPIが設定されます。

  • 生産性の向上
  • 顧客満足度の向上

生産性の向上

コールセンターで、生産性の向上を目指す場合は「稼働率」「AHT」などが主要KPIとなります。

 

稼働率

稼働率とは「オペレーターが勤務時間のうち顧客対応にどれくらい時間をかけているのか」を表すものです。

  • 稼働率(%)=通話時間+他業務時間/総勤務時間×100

他業務時間としては、通話の保留時間や通話後の事務処理に当てられる時間などが挙げられます。ここでは会議や研修などの顧客対応以外の時間は含まれません。

一方で、稼働率と似た言葉に「占有率」という言葉があります。稼働率との違いは待機時間(お問い合わせを待つ時間)を分子に含めるか否かにあります。待機時間は直接顧客の対応をしていない時間です。そのため、占有率はコールセンターとしてより正確な稼働時間を算出するにあたって重要な指標となります。

ただしこれらの指標はあくまで参考値であり、100%を目指すものではありません。あまり高くなりすぎると現場のキャパオーバーを招き、かえってトラブルを起こす原因となるため注意が必要です。


稼働率を算出するには、従業員一人ひとりの業務時間を計測する必要があります。

工数管理ツールTimeCrowdを活用すれば「誰が・どの業務に・どれくらい時間をかけているのか」をリアルタイムで可視化することができます。

▼(例)TimeCrowdのレポート画面

一部のCTIツールとは連携が可能で、たとえば通話の開始時と終了時にはシステムと連携して自動で打刻が行われます。また、通話の終了時には、次に着手するタスク(例:通話内容の記入作業)を自動で打刻することも可能です。

オペレーターの運用負担を抑えたうえで工数計測に取り組みたい企業様は、下記のサービス資料から詳細な機能や料金プランについてご確認ください。

工数管理ツール「TimeCrowd」の資料をダウンロード

AHT/ATT/ACW

AHT(Average Handing Time)とは、通話1件あたりにかかる平均処理時間を表すものです。

AHTは、通話の開始から終了までにかかる時間=ATT(Average Talk Time)と、通話後に必要な後処理時間=ACW(After Call Work)の合計値で算出します。

AHTを短縮することで、オペレーター1人あたりが対応できる通話件数が増えるため、顧客の待ち時間の減少につながります。ただしAHTの短縮を目指した結果、ATTの短縮に追われてしまうと、かえって品質の低下を招きかねません。また、ACWの短縮も入力ミスなどを誘発するため、適正な値を見定めて設定する必要があります。

顧客満足度の向上

近年、CS(顧客満足)やCX(顧客体験)などが注目を集めるなかで、コールセンターは顧客と直接接点を持つことから非常に重要なタッチポイントであるといえます。

顧客満足度の向上を図るには「NPS」「CES」「SL」などのスコアや、応答率などが主要なKPIとなります。

 

NPS(ネットプロモータースコア)

NPSとは、顧客満足度やロイヤルティを表す指標のことです。

一般的にはブランド調査で用いられる方法ですが、コールセンターの現場でも実施されるケースがあります。

具体的には、まずは「あなたはこのサービスを知人にどの程度すすめたいと思いますか」と質問し、0〜10の11段階で回答をもらいます。その後、推奨者(9,10)と中立者(7,8)と批判者(0~6)の3つにクラスタリングし、推奨者の割合から批判者の割合を引いて算出します。

NPSの向上に努めることで、口コミの創出・顧客単価の向上・解約率の低下など、さまざまなメリットが期待できます。一方で、通説として日本では(国民性から)低い値が出やすいと言われています。そのため、あくまで絶対的な指標ではなく、参考値として扱うのがおすすめです。

CES(カスタマーエフォートスコア)

CESとは、別名「顧客努力指標」と呼ばれるもので、顧客がサービスを利用する際にどれくらいのストレスを感じたのかを表す指標のことです。NPSとは異なり、顧客の不満を算出するのが特徴です。

具体的には、まずは「サービスを利用する際にどれくらい負担がありましたか?」と質問し、1〜7など任意の数値幅で回答をもらいます。その後、1〜3を上位区分、6〜7を下位区分として割合の差分を引いて算出します。

CESの向上に努めることで、クレームやトラブルの減少が期待できます。また、従業員の心理的負担も抑えられるため、離職率の低下や長時間労働の削減にもつながると考えられます。

SL(サービスレベル)

SL(サービスレベル)とは、あらかじめ設定した時間内に応答した割合を表すものです。一般的には、20秒以内に80%の電話に対応することを目標とするケースが多いです。

SLが向上することで、顧客の待ち時間や放棄呼率が減少し、顧客満足度の向上につながります。

応答率

応答率とは、入電数のうちオペレーターが対応できた割合を表すものです。

応答率が低いままでは顧客のストレスが増加し、クレームにつながる恐れがあります。

また、オペレーターの業務が回っていない証拠でもあるため、可能な限り90%以上の値を維持できるような体制づくりが求められます。

コールセンターにおける目標設定(KPI設定)のポイント

コールセンターの目標設定では、下記のようなポイントに注意をする必要があります。

  • SMARTの法則に従う
  • 従業員に理解/納得してもらう
  • 定期的に振り返りを行う

SMARTの法則に従う

目標設定を行う際には「SMARTの法則」に従うのがおすすめです。

SMARTの法則とは、目標設定時に重要な下記5つのポイントの頭文字を取ったフレームワークです。

・Specific(具体的)
・Measurable(測定可能)
・Achievable(達成可能)
・Relevant(関連性がある)
・Time-bound(期限付き)

いずれかのポイントが欠けてしまうと、設定した目標が形骸化する恐れがあるため注意が必要です。

従業員に理解/納得してもらう

目標は設定して終わりではなく、達成に向けて関係者が向き合い続ける必要があります。

そのためには、設定した目標を従業員に周知し、目標達成の重要性を理解してもらうことが重要です。

目標を周知する際には、目標達成による従業員側のメリットも伝えます。昇給やボーナスなどのインセンティブ付与、長時間労働の削減による働き方の実現など、納得感のある還元を用意しましょう。

定期的に振り返りを行う

目標を設定したら、必ず定期的に振り返りを行います。

「KPIを達成できているか」「できていない場合は何が原因なのか」を確認し、目標達成に向けた改善を行います。

また「KPIの未達成が続く」「KPIを達成したけどKGIの達成につながらない」場合は、必要に応じて目標を修正することも重要です。振り返りのタイミングは、事前に設定しなければ風化してしまうため、必ず最初に決めておきましょう。

まとめ

コールセンターにおける目標設定は、業務の効率化や従業員のモチベーション向上、そして顧客満足度の向上に不可欠な取り組みです。

本記事で紹介した方法を参考に、自社のコールセンターに合った目標設定を行い、より質の高いサービス提供を目指しましょう。

▼その他にも、コールセンターの管理に関する情報は下記記事を参考にしてください

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