深刻な人手不足が叫ばれる昨今ですが、業務プロセスを見直し、サービスの品質や提供スピードの向上を図ることで、競合他社よりも優位にビジネスを進めることができます。
本記事では、業務設計の見直しを行う方法や注意点、活用できるフレームワークなどについて解説いたします。業務設計を行う経営者・人事担当者・管理職の方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
業務設計とは
業務設計とは、組織の目標達成に向けて、業務プロセスを最適化する活動のことです。業務の流れを明確にし、効率化・標準化・自動化などを通じて、生産性の向上やコストの削減、品質の向上などを目指します。
業務設計は、単に業務の手順を定めるだけでなく、組織構造や役割分担、情報システムの刷新など、幅広い視野で取り組む必要があります。対象となる業務は、製造・販売・物流・人事総務など、企業内のありとあらゆる活動が含まれます。
組織内の業務を可能な限りすべて可視化し、分析することで、課題や改善点を見つけ出し、より効率的な業務プロセスの構築を行います。
業務設計が重要な理由
業務設計が重要な理由は、主に以下の3点が挙げられます。
- コスト削減
- 働き方改革
- 競争力強化
近年では、テクノロジーの進化や市場の変化に伴い、業務設計の重要性はますます高まっています。とくに深刻な人手不足に悩まされる業種業界では、効率的な業務プロセスをいち早く構築することで、競合他社への優位性を図ることができるでしょう。
コスト削減
業務設計を見直すことで、無駄な時間やコストを削減することができます。たとえば、重複作業の排除や作業手順の標準化、自動化ツールの導入などは、人件費や残業時間の削減につながります。
また、業務の可視化を通じて、ボトルネックや課題を早期に発見し、対策を講じることで、手戻りやミスの防止にもつながります。なかでも人件費≒サービス原価となる、制作・開発・コンサルティングなどの企業では、業務設計の見直しによるコスト削減の効果は大きくなることが期待できます。
働き方改革
業務設計の見直しは、従業員の働き方にも大きな影響を与えます。業務プロセスが明確になり、効率化が進むことで、従業員はより付加価値の高いコア業務に集中できるようになります。また、リモートワークやフレックスタイム制度など、柔軟な働き方を導入するための基盤にもなります。
働き方改革の取り組みは、昨今では欠かせない取り組みのひとつです。2019年から「働き方改革関連法」が順次施行されたことで、時間外労働の上限規制が設けられ、各企業には「残業しないこと(=所定勤務時間)」を前提に、業務プロセスを構築することが求められるようになりました。その一方で、昨今はあらゆる業種業界で人手不足が発生しており、帝国データバンクの調査によれば、正社員の人手不足の割合は過去最高レベルの51.7%(2024年)に昇るようです。業務プロセスの見直しは、人手不足のなかで働き方改革を進めるために、もはや必須の取り組みだと言えます。
競争力強化
変化の激しい現代において企業が競争優位性を確立するには、常に業務プロセスを改善し、最適化することが求められます。
業務設計を見直すことで、顧客ニーズの変化に対応し、高品質な製品開発や効率的なサービス提供を実現します。また、業務の標準化や自動化を行うことで、属人化を解消し、安定した業務オペレーションの構築が可能となります。
業務設計を見直す方法
業務設計を見直す際には、以下のステップで進めることが効果的です。
- 現状の把握
- 課題の特定
- 解決策の検討
現状の把握
まずは業務プロセスを可視化し、現状を把握することから始めましょう。業務フロー図や業務記述書などを作成し、業務の流れ・担当者・使用ツールなどを明確にします。また、各業務にかかる時間やコスト、品質などのデータを収集し、定量的に現状を把握することも重要です。
業務時間の把握には、TimeCrowdのような工数管理ツールの活用がおすすめです。タスクの開始時と終了時にワンクリックで打刻をするだけで「誰が・どの業務に・どれくらい時間をかけているのか」を記録できます。
記録されたデータはリアルタイムでグラフ化されるため、集計に手間がかからず、瞬時に業務状況を確認することができます。
▼(例)TimeCrowdのレポート画面
また、メンバーごとの時間単価を設定することで、プロジェクトごと(タスクごと)の人件費を算出し、収益性を把握することも可能です。
少しでもご興味のある方は、下記のサービス資料から詳細な機能や料金プランをご確認ください。
工数管理ツール「TimeCrowd」の資料をダウンロード課題の特定
現状把握で得られた情報をもとに、業務上の課題を特定します。重複作業・手戻り・ミス・情報共有の不足など、共通するものがないかを確認しましょう。
課題を特定する際には、現場の従業員へのヒアリングやアンケート調査などを活用しつつ、さまざまな視点から分析を行うことが重要です。
解決策の検討
特定した課題に対して、解決策を検討します。まずは、さまざまな選択肢を並べて、それぞれのメリットやデメリット、費用対効果などを比較します。業務プロセスの変更・役割分担の見直し・ITツールの導入・アウトソーシングなど、ジャンルを問わずに、できるだけ可能性を狭めないことがポイントです。
また、解決策を検討する際には、関係する部署や従業員と連携し、実現可能性や影響範囲などを考慮することも重要です。
業務設計を見直す際の注意点
業務設計を見直す際は、以下の点に注意することが重要です。
- 数値に基づいた取り組みを行う
- 現場の意見をヒアリングする
- 見えない業務にも着目する
数値に基づいた取り組みを行う
業務設計の効果を測定するためには、数値に基づいた取り組みを行うことが重要です。
目標とする指標(KPI)を設定し、改善前後の数値を比較することで、効果を定量的に評価できます。たとえば、業務時間の短縮率・コスト削減額・顧客満足度の向上率などが考えられます。
先述したように、TimeCrowdのような工数管理ツールを活用すれば「どの業務に・どれくらい時間(人件費)をかけているのか」を計測できるため、時間や費用の観点でPDCAを回すことができます。
工数管理ツール「TimeCrowd」の資料をダウンロード現場の意見をヒアリングする
現場の従業員は、業務プロセスに関する貴重な情報を持っている可能性が高いです。
業務設計を見直す際には、現場の意見を積極的にヒアリングし、改善策に反映させることが重要です。現場の意見を取り入れることで、より実効性の高い業務設計が可能になるほか、新たな取り組みを行う際にも協力を得やすくなります。
見えない業務にも着目する
業務設計では、目に見える業務だけでなく、見えない業務にも着目することが重要です。たとえば、情報共有・コミュニケーション・意思決定プロセスなどが挙げられます。
これらの見えない業務は、業務全体の効率や品質に大きな影響を与える可能性があります。既存の手法(日報や工数管理ツール)では把握しづらい部分のため、従業員へのヒアリングを通じて把握することに努めましょう。
業務設計に役立つフレームワーク
業務設計には、さまざまなフレームワークを活用できます。代表的なフレームワークをいくつか紹介します。
- BPMN
- ECRS
- KPT
- バリューチェーン分析
BPMN
BPMN(Business Process Model and Notation)とは、業務プロセスを視覚的に表現するための標準的な表記法のこと。業務の流れ・意思決定・イベントなどを図で表現し、関係者間のコミュニケーションを円滑にします。
▼BPMNについては、 下記の記事を参考にしてください
ECRS
ECRSとは、業務改善の4原則(排除・結合・再配置・簡素化)のこと。これらの原則に基づいて業務プロセスを見直すことで、業務の効率化やコストの削減を実現できます。
- Eliminate:無駄な業務を排除する
- Combine:類似した業務を結合する
- Rearrange:作業手順や担当者を入れ替える
- Simplify:作業内容を簡素化する
KPT
KPTとは、業務改善を振り返り、次の成果につなげるためのフレームワークのこと。良かった点(Keep)・課題点(Problem)・改善策(Try)を洗い出し、継続的な改善を促進します。
業務設計を行ったあとは、現場の各マネージャー陣を一度集めて、KPTのフレームワークで振り返りを行うのがおすすめです。業務設計は一長一短に終わる取り組みではありません。企業が存在する限り、今後永続的に取り組むものですので、必ず決まったかたちで振り返りを行いましょう。
バリューチェーン分析
バリューチェーン分析とは、企業の活動を価値創造の連鎖として捉え、各活動における強みと弱みを分析するフレームワークのこと。企業内部の活動を、生産から消費に至るまでの「主活動」と、それを裏側で支える「支援活動」に分けて考えます。
事業活動を可視化することで、どこで・どのような付加価値が発生しているかを把握し、どの活動を重点的に改善するべきかを判断する際に役立ちます。
まとめ
業務設計は、企業が目標達成に向けて動くために欠かせない取り組みのひとつです。適切に行うことで、コスト削減・働き方改革・競争力の強化など、さまざまな効果が期待できます。
業務設計を見直す際には、現状把握から、課題の特定、解決策の検討のステップで進めていき、数値に基づいた仮説立てや現場のヒアリング、見えない業務への着目などを意識することが重要です。実際に取り組む際には、「BPMN」「ECRS」「KPT」「バリューチェーン分析」などのフレームワークを活用することで、より効果的な設計が可能になります。
また、業務設計を行う際にはTimeCrowdのような工数管理ツールの活用がおすすめです。タスクの開始時と終了時にワンクリックで打刻をするだけで「誰が・どの業務に・どれくらい時間をかけているのか」を確認できるため、数値に基づいた改善を行えます。
TimeCrowdは累計5,500社以上の企業様でご活用いただいています。少しでもご興味のある方は、下記のサービス資料から詳細な機能や料金プランをご確認ください。
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